BUGについて
真城 悠



 さて皆さん、アマチュア小説家のビジュアル企画としては前代未聞(…と、自分で言い切っちゃいましょう)の大型企画第一弾、「バグ」をお送りいたしました。楽しんでいただけたでしょうか?

 当「真城の城」はTS(性転換)の創作サイトとして、「ビジュアル」の面を全面に押し出すポリシーを持っております。
 その方針で短編小説に挿絵を配したり、「ハンターシリーズ」という独自のシェアードワールドにおいては日々増え続ける「新キャラ」に独自のデザイン画を付けるという試みを常に行なっています。

 しかし、それらはあくまでも「現代日本」を舞台とした「ちょっと変わった日常風景」を切り取ったものでした。

 今回は何と「宇宙を舞台にした未来SF作品」です。
 しかも
登場人物も膨大なら枚数も膨大。一度に画面に登場する人数もかつてない規模を誇る「大作」です。
 というか、一介のアマチュアがここまで「大変」な作品作りに手を出すなど
「無理」「無茶」「無謀」の三点セットみたいな話です。

 しかも、
その全てが「集団強制女装」のためなのです。

 この「バグ」は
「老若男女が全員強制的に純白のウェディングドレスを着せられてしまうシチュエーションになったら面白いだろうなあ…」という真城の妄想からスタートしています。

 折角なのでこれまでの経緯を解説させていただきます。


 完成状態の制服案。
 主役(?)2人のキャラクターデザインも兼ねています。

 デザインは「ありそう」なものという発想で特に奇をてらわない方向で。
 老若男女が着るために、派手すぎず地味すぎずというラインを狙う。
 真城の最初の指示は「学校指定のジャージみたいな」感じだった。
 ウルトラシリーズの「ウルトラ警備隊」系の制服のイメージも。

 岩澄さんのデザインはほぼ一発で採用。色は地味に寒色系で。

 男女のデザインが違うのも岩澄さんのアイデア。真城はスカート状までは思いついても黒いタイツまでは思いつかず、ビジュアルのセンスのある人は違うなあ、と感心しきりでした。

 ちなみに、ここに到達するまでにもかなりの数のメールのやりとりがあり、最初に上がってきた具体的なビジュアルイメージであるこの制服デザインを見た時に「遂に長年の夢が適う!」と興奮気味になったのでした。

 私の物語内における「女装」のスタンスはあくまでも「突飛なシチュエーション」の小道具であり、シュールな笑いを誘うツールです。

 出来れば
何の関係も無い人を大勢「強制女装」に巻き込みたい訳です(ヒドイ)。
 それこそ
「ドリフ大爆笑」の「もしもシリーズ」みたいに「もしも人類全員にウェディングドレスの毎日着用が義務付けられたら」とか「もしも法律で制服の男女逆転が決議されたら」とか「超現実」な話が、まずは発想の原点でした。

 しかし、女装する意思の無い人間までを強制的に女装させる…という突飛な展開に持っていくには「追い込み方」が生ぬるいんですね。感覚的に。

 そこで考え付いたのが
「物質転送装置」の「衣類のみ」の機械でした。

 人間を分子レベルまで一旦分解してから再構成するという機械は一昔前の未来SFにはよく登場していました。
 現在の技術では難しいでしょうが、数百年が経過した時代に、しかも「無生物」である衣類だけならばどうにかなるのではないか?

 ということで、「トランスポーテーションマシン」から「TSマシン」という語呂合わせで「もしもボックス」状の機械を構想するに至ります。
 ぶっちゃけて言うと、私的には完全に
「強制女装マシン」であるのは言うまでもありません(爆)。

岩澄さんによるイメージイラスト。ストーリー展開からしかめっ面が多い男の子ですが(^^;;、
本当は可愛らしいイメージでした。


 これを応用したエピソードを何篇か執筆していますので、興味のある方はこちらも併せてお楽しみ下さい。

 さて、「TSマシン」が完全に普及した近未来を描けば「意思に反する女装」をさせることそのものはそれほど難しくありませんし、学校や職場など
「制服」を着る必然性のある学校・職場などで制服が男女逆転して配布されてしまう…という状況は容易に想像できます。

 ただ、「TSマシン」という機械の性質上「もっとも考えられる事故」が「相応しくない衣装を意思に反して着せられてしまう」事故ですので、相当程度
対策が練られていないと設定として論理的におかしいことになります。

 また、接客業の職場の制服ならばともかくも、ごく普通の会社とかましてや学校などにおいて、男性が
女子・女性職員の制服を着たまま過ごさなくてはならない状況は不自然です。

 復旧するまで何度もトライするでしょうし、メインテナンス要員が即座に飛んでくるでしょう。それに「普通に着る服」が根絶されることも考えにくいので、もしもの時のことを考えて予備の衣装を用意することは当然なされていると考えるべき。

 それに、その職場や学校以外にもTSマシンはありふれているのですから、それこそ「ちょっと隣に行って」使わせてもらえばいいのです。
 それこそ「もう一度通せば終わり」です。

 「データ室」の皆さん。
 右下の肥えたお兄さんは画面には余り出てきませんでしたが、ちゃんといます。
 とにかく「バラエティに富んだ」メンバーを集めようとして色んなキャラクターをお願いしています。
 女性が一人と、美少女に見える少年が一人…というのは絵が付く段階で考えて追加。

 ワイルドなあんちゃんやら、おじいさん系はブリッジで補完。
 この「主任」がある意味一番の被害者なので、とにかく格好よく。
 40代の壮年キャラというのは私が書くお話では非常に珍しいのですが、絶対に必要な人材でした。

 つまり、一時的に
女物を着せられて動揺するところを描くことは出来ても、それを復旧させないことに説得力を持たせるのは並大抵では無い…ということが言いたかったのです。

 極論すれば学校なんて「どうしても誤作動が解消しない」ならば休校しちゃえばいいんですよ。
 それに、着ているだけなんだからどうしても嫌なら脱いじゃえばいい。

 さて困りました。
 「意思に反して女装させる」ことの出来る「小道具」たる「TSマシン」という設定こそ出来たものの、
「事故」以上のことを起こすのは中々難しい、という結論になってしまいそうです。

 深夜のホテルの一室、といった「閉塞状況」はもう描いてしまいましたし、「自ら望んで」飛び込んで行くクイズ番組も描きました。
 「厳密な決まりの穴をついて策略にはめられる」というストーリー展開の案も考案はしました。

 ですが今回は
なるべく大規模にやりたいんです。
 私の常日頃からイメージしている
「無差別集団異性装」です。

 
「老若男女あらゆる人々が純白のウェディングドレス姿で過ごさざるを得なくなる」というシチュエーションが欲しかったんですね。

 艦長と副長のデザイン。原作を読んだ方はご存知の通り、この後副長はかなりみっともないところを見せてくれます(*^^*。

 右の図は艦内のカラーリングと大きさのバランスを決める為に人物を配置した状態で描いてもらいました。
 曲がり角の所にあるのは艦内放送用のスピーカーという設定。
 「ガンダム」などと違って1G環境(要は重力がある)ので、無重力化で移動するためのガイドはなし。
 廊下のラインは単なるアクセントのための模様です。

 これ(「無差別集団異性装」)が
どれほどややこしく転倒した状況かは書くまでも無いでしょう。

 突如宇宙人が飛来してこの世のあらゆる服をウェディングドレスに変えた?
 …そもそも「服」なんてものは布切れをつなぎ合わせて作ったものですから、布を切り出して新しい服を作ればいいだけのこと。

 国中のTSマシンが一斉に誤作動を起こしてウェディングドレスしか変換できなくなった。
 …悪くないんだけど、
だったらTSマシンを使わなきゃいいだけの話。

 さっきも書いたけど「制服」のある職場だったらちょっと困りますが、それ以外の施設ではTSマシンが使えなかったとしても特に困りません。
 学校なんかはその日は私服にすればいいし、接客業でも銀行とかなら私服でも大きな問題ではないでしょう。
 ウチの近所の銀行は夏は何故かアロハシャツで業務を行なう日がありますよ。最初「ふざけてるのか?」と思いました。

 色々考えて、
「どうしてもTSマシンを日々使わなくてはならない状況」を作り出す為に思いついたのが「集団生活を営む巨大宇宙船の内部」という設定だったのです。

 これならば
「TSマシン以外では服そのものを支給しない」設定に無理がありません。

 宇宙空間においては航行する艦の総重量は大問題。私物の持込も厳しく制限されますから、「私服」そのものを誰も持ち込んでいないことに論理的破綻が無いのです。
 つまり、
TSマシンが誤作動を起こしたとしても諾々とTSマシンの配布する服を着続けるしかないのです。何しろすぐ外は宇宙ですので逃げ出せません。「普通の服」そのものが全く存在しないので着替えることも出来ません。

 とはいえ、
配布された服を律儀に全部着続けるというのも不自然です。

 例えばウェディングドレスならば、あの大きなスカートは明らかに運動性を阻害します。
 ですから、一旦着せられたとしてもスカートは脱いでしまうなりメイクやアクセサリーは外すなり、「対処法」は存在します。
 「完成品」の花嫁姿ではなくて、その残骸みたいな下着姿の方が
よっぽど「さうさまじい」姿であるという話はあるかもしれませんが、まあ例え話です。

 そもそも「TSマシンが誤作動を起こしているらしい」情報が駆け巡ればある程度の人数が花嫁姿にされた段階でそこから先の被害が拡大することがありません。

 色が付く前の状態。
 制服案はいきなりほぼ完成といってもいい状態。

 特に男の方が年齢がより若く、鋭い感じのデザインなのが面白いですね。
 一番最初に岩澄さんからこのラフデザインを受け取った時の興奮をお分かり頂けるでしょうか?
 その後一週間くらいは気分が昂揚したままでした(^^。

 そこで、「衛生面・保安面の観点」からあらゆる廊下や部屋の出入り口全てにTSマシンを取り付けてしまい、
「TSマシンを通過しないことには艦内を全く移動することが出来ない」状況を作ります。
 更に同様の根拠から「クルーは6時間に1回は必ずTSマシンを通過しなくてはならない」というルールも作ります。

 「宇宙船の艦内」というごく限られたクローズド・サークル内ならば艦全体を単一のプログラムで管理することが不自然ではない…という訳。

 その管理プログラムが誤作動を起こし、あらゆる人間に純白のウェディングドレスを着せまくる状況になってしまったらどうでしょう?


これは完成品の室内イラスト。この時はまだサイズが400*500です。
この後画面がより映(は)える様に500*800サイズでお願いすることになります。

背後のドアみたいなのがTSマシン…ではなくてユニットバス。
画面左にちょっとだけ見えている銀色のがTSマシンです。



部屋の位置関係はとても大事でした。
宇宙船そのもののデザインに関わってくるし、「TSマシンを通さないと出入りできない」構造を決めておく必要があったのです。
この時のいちゃつき場面は2案あったのですが「1」を採用。
「2」も悪くないですね(*^^*。



一応こういう構造になっています…が、これは準備稿。
「TSマシン」はその後画面右の出入り口を塞ぐ形に変更。
完成稿はありません。2人でやっているのでこの時点でもう合意は取れている訳です。
これは数十人が関わるアニメ製作ではありえないこと(*^^*。
いや〜私もアニメ現場を辞めてから10年を経て設定制作の真似事が出来るなんて夢みたいです

 「どうやっても逃れられない」上に
「しょっちゅう着付け直されてしまう」状況になりますから、「(ウェディングドレスを)着たまんまで過ごさざるを得なくなる」ことに必然性が得られる訳です。

 ウェディングドレスを着るのが嫌だと言っても、艦内を移動するには絶対にTSマシンを通過しなくてはならないのです。隣の部屋に行くことも出来ません。
 ならば一歩も部屋を動かずに引きこもっていればいいのでしょうが、そうは問屋がおろしません。6時間に一度は必ずTSマシンに掛かる必要があるので絶対にウェディングドレスを着せられてしまいます。
 その上、
着せられた状態でドレスを脱ぎ、アクセサリーを剥ぎ取ったとしても6時間後にはまたバッチリメイクの花嫁姿に復元されてしまいます。
 その内「どうせ脱いでもすぐに着せられる」と観念するでしょう。

 後は、その原因を作れば完成です。

 という訳で、かくして
「宇宙船を舞台にした壮大な集団強制女装狂想曲」という前代未聞のSF女装作品「バグ」が生まれたのです。


 データ室全景。
 ここも重要な舞台なので、かなり綿密に打ちあわせがなされました。

位置関係はこんな感じ。
これを頭にいれてもう一度本編を読み直すと印象が違うかも知れません。
上部にある「ドア」は外部の廊下などには勿論繋がっていません。出るには手前のTSマシンを通らないと駄目。

 これはある意味「小説」というメディアの強みを最大限に活かした作品だったと言えます。

 もしも漫画だったならば
「宇宙船」だの「集団」だのといった膨大な作画の設定を作る必要が出てきます。

 アニメも同様。一応アニメ業界の末席を汚していたものとして知識と経験があるのですが、これだけの架空世界を舞台にし、登場人物もかなりの数に登る…となれば
「電話帳みたいな」設定資料が必要になるでしょう。

 ですが、「小説」ですからどれほどビジュアルイメージが壮大でも「巨大な宇宙船だった」の一言で終わりです。後は読者の想像力に演出をお願いするのみ。

 ということで、妄想が突っ走っていた私は
あっという間に「老若男女が全員純白のウェディングドレスを着せられる」シチュエーションを描いた「バグ」(小説版)を書き上げます

 これは「ファンタジー女装の部屋」ということで「真城の城」の中でも地味なコンテンツとしてひっそりと公開されました。

 隠しリンクでその続編が次々に書かれていき、ウェディングドレスの次はバニーガール、その次はバレリーナ…最後にはあらゆる女物の衣装がシャッフル状態…という「お祭り」作品でした。個人的には。

 しかし、こういう「学園祭女装」みたいな
ニッチ市場を狙った作品はこれといったビジュアルイメージも無いこともあって忘れられた作品となりつつありました。

 これは「椅子」の設定。
 何故こんな設定が必要かというと、「ずらりと座った状態」でちゃんと女装姿がカメラの位置から見える様にする必要があったから。
 本編を読んでいるだけでは分かりにくいですが、そこまで考えているのです(*^^*。

 ちなみにこれによってどういうことになるかというとこうなります。


*後続作品でも共通のアングルから描かれる場面。
 花嫁姿の哀愁を誘う男盛りの室長の悲哀が出ているといいのですが…。

 私がプロ/セミプロの方々にイラストを依頼する様になった顛末を書いているとキリが無いので飛ばします。
 ただ、色んな作品にイラストを付けたり、投稿されたオリジナルキャラに設定画イラストを添付したりしつつも、
「いつかは『バグ』を完全にビジュアルでフォローしたいなあ」という欲求は持ち続けていました。

 
「集団強制女装」という本当にレア(希少)な作品なので、具体的に見た目で分かりやすく示さないと「どういうものなのか」が分かってもらいにくいのだろうな…と常に思っていました。

 アマチュアのイラストレイターさんを次々に勧誘する中、
「SF的な美術(背景)が描ける」「成人男性を描き分けられる」方をどうにかして探し続けます。
 しかし…正直中々難しかったです。

 皆さんご謙遜もあるのでしょうが、「若い可愛い女の子や、美少年ならば得意だけども中年のおじさんやおじいさんは無理」とおっしゃる方が多数。
 無理も無いと思います。
 ましてや「一気に発表する」ことを考えていましたから、ある程度の枚数を量産してもらわなくてはなりません。

 そんな中、当「真城の城」の中では歴史的な段階を迎えます。
 それが2006年(平成18年)の10月です。
 かねてからデイリーのHit数及びトータルHit数で猛追されていた「あむぁいおかし研究所」(http://okashi.blog6.fc2.com/)さんが遂に追いつき追い越される寸前まで迫ってきたのです。
 今はもう日々のHit数で5〜6倍の差を付けられ、トータルでも倍近くに引き離されているので余り気にならないのですが、当時は本当に焦りまくっていました。

 そこで考えたのがイラストレイターさんの数を大幅に増員して内容を充実して対抗することでした。
 というかそれしか思いつかなかったのです。

 落書き好きの(*^^*、岩澄さんが描いてくださった主役2人のSD版。
 ( *´∀`)…カ、カワイイ…。

 ということで、2〜3度に分けてかつて無いほど大幅にイラストレイターさんを大増員したのです。
 これは主にビジュアル面のフォローが追いつかなかったハンターシリーズへのてこ入れという側面が大きかったのですが、同時に「一枚ずつイラストを小出しに発表する」形式に対する限界が見えてきていた為、
かなりの枚数のイラストを一度に発表する「大作」へと乗り出すという意味もありました。

 さて、いざ
「バグ」を完全イラスト化すると言ってもそれほど簡単なことではありません

 何しろこちとら大手のアニメ製作会社でも何でもありません。

 一つの作品を大人数で「手分けして」一斉に取り掛かることが出来ないのです。
 必然的に1つの作品について
お一人のイラストレイターさんに専従で掛かってもらう形を取らざるを得ません。

 理論上は可能ではあるのですが、アクシデントによる交代が起こった例(「合宿」)を除けば未だに二人以上で同時に一編の作品を手掛けた例は無いのです。

 ということは、同じくアマチュアであるお一人に少なくとも数十枚に及ぶ枚数をお願いしなくてはならないことになります。
 
この枚数ではどれだけ多作な方であってもかなりの時間が掛かることになります。

 実はかつて、遥か以前に「バグ」にイラストを添付する計画が立ち上がったことがありました。

 ウチにも何枚か掲載されていますが、WEB上でオリジナルイラスト作成を請け負う会社が存在していたので、イラストを付けようにも人様に見せられる絵など描けない私は、どうしていいのか分からず、仕方なくその会社を通して独自コンテンツの製作に乗り出したのです。
 「ギャラリー」とかに入っているのですぐに分かっちゃいますが、ぶっちゃけその会社によるイラスト製作は全く満足行くものではありませんでした。

最初は完全に艦内のみで展開することも考えたのですが、最初と最後に登場する宇宙船の外観までお願いしてしまいました。
能天気SFなんですが、とりあえずこんなイメージで。

 イラストレイターさんの質の問題ではありません。
 実際、その後個別に接触を持って仕事をお願いし、未だにその関係が継続しているイラストレイターさんもいらっしゃいますから。
 何と言っても打ち合わせを全くすることが出来ず、注文は基本的に投げっぱなし。指示も文字情報のみという閉鎖具合ですから、極論すれば
「立っている」イメージの絵が「座っている」状態で上がってきても全くクレームを受け付けてくれないのです。
 要は会社の体制の問題ですね。

 そもそもオリジナルイラストは受け付けていましたが、これは自社で展開するオンラインゲームにおいてイラスト製作が売りの一つであり、その「片手間」でオリジナルも一応受け付けていますよ…というスタンスであったためにサポートがどうしても手薄になりがちだったことも原因だったみたいです。

 その当時にこの大変な企画を行なおうとしていたのですから無謀もいいところです。
 当然ながらその企画はあえなく潰れ、年月が経過しました。

 さて、かつて無いイラストレイターさんを同時に増員することに成功した私はどんなことを考えたでしょうか。
 それは
「沢山の作家さんにそれぞれ「大作」をお願いし、同時平行に大量の「大作」の製作を進める」という方法論です。

 これならば、最終的な完成までは時間が掛かるものの、「数を稼ぐ」ことが可能となるのです。

 先日その「大作」の内の一作のビジュアルイメージが先行公開され、お陰様で好評をもって迎えられた上に海外のサイトに勝手に転載されるというところまで発展してしまいました。

 この「バグ」もまた2006年10月時期に行われたイラストレイター大量雇用時期に立ち上がった「大作」の一環なのです。
 つまり、
現在も平行して進められている作品が幾つもあるということですのでご期待下さい。

 さて、毎週の様にハンターの新規イラストが発表される現状からは信じられないことかも知れませんが、「男性職員」を描いていただけるイラストレイターさんに巡り合うのはかなり難しい相談だったのです。
 これは私がイラストを依頼する際にどうしても自分好みの可愛らしい絵柄の方にお願いするということも原因の一つだったと思います。

 最初にウェディングドレスが登場したイラスト。勿論最初は女性から(*^^*。



 ラフ案の段階。ドレスのデザインがちょっと違います。特に胸を強調したデザインは女性が着るのはともかく、男性が着るには辛いので、露出度を下げる方向で調整しました。
 にしても男が着た状態をイメージしてウェディングドレスの打ち合わせをするってのも凄い話です(*^^*。

 そんな中、遂に岩澄さんとめぐり合いました。
 この頃にお仕事をし始めさせていただいた方々には皆さん「TSゲーム」のオチの部分を一枚イラストでお願いしていました。

 実は岩澄さんは遥か以前に一枚だけ「真城の城」上でイラストが公開されています。
 それがこれ。
 皆さん憶えてます?

 どうしても最初は打ち合わせの方法論などに慣れてもらうために「お試し」で何か描いてもらう必要があったのです。
 ということで、準備万端整いました。
 愈々岩澄さんを何らかの作品に割り当てる時期がやってきました。

 記録を調べてみると、この段階で2006年10月。
約15ヶ月前です。

 岩澄さんはご自身のサイトでかなりの数のイラストを掲示なさっていますが、その中に逞(たくま)しい男性を描いたものやSF的な意匠のものもありましたので、思い切ってこの「バグ」のことを切り出してみました。

 すると、「SFです」「成人男性を描きわけて貰います」「枚数がかなり多いです」といった「無茶」でかつ「無謀」な企画内容をどれだけ聞かされても全く動じずに
「問題ありません」とおっしゃるのです。

 遂に腹は決まりました。
 一応小説そのものは発表されてはいたものの、長年に渡って私の脳内妄想のみでしかなかった「集団強制女装パニック」ものである
「バグ」の製作が本格的にスタートしたのです!

 
とにかく設定が膨大で、人数も多いためにいざ本編を描き始めるに当たってまずは「設定資料」作りから取り掛からなくてはなりません


 これは完成品ですが、ここではラフ案をご紹介。
 ちなみに全てのイラストにこれと同程度か或いはそれ以上の試行錯誤があります。





 これまでも「おかしなふたり」などで、着替えさせられた後の衣装デザインを打ち合わせたことはありましたが、この作品は
「未来の宇宙空間の宇宙船の中」という設定です。

 極論すれば
画面に入ってくるもの全てに新規設定を起こさなくてはなりません

 正直、勇んで始めたものの
どこから手をつけていいのかも分からない状況ですが、まずは一番最初の「制服」をデザインするところから始まりました。

 「ウェディングドレス」→「バニーガール」→「バレリーナ」→「ランダム」と進む女装模様をご存知の方ならばお察しの通り、この「制服」は本当に最初の方にしか出てきません。
 途中から哀れな彼らはずっとコスプレめいた女装のみになってしまうのですから。
 とはいえ、最初はこの制服状態で出てこないことには話しになりません。

 この「バグ」という作品の製作に於いて何が一番大変だったかと言えば、これらの「設定資料」を完成させ、いざイラスト製作を開始するところまで漕ぎ着けるのが大変だったのです。
 何かどっかのオリジナル劇場アニメの製作秘話みたいですけど、本当にそんな感じ。

 「バグ」のオリジナル(現在は削除されています)を読んだことがある方ならばご存知の通り、今でこそ立派な固有名詞を獲得している登場人物たちですが、実はオリジナルでは全員が「名無し」でした。
 ビジュアルイメージが破天荒…というかナンセンスすぎて元から想像がしにくいというのに(見渡す限りの老若男女が全員純白のウェディングドレス姿!)、キャラクターの個性が埋没しているのですから、オリジナルが評判を呼ばなかった理由も分かろうというものです。

 徐々にイラストが仕上がっていくに従って現在の「シナリオ形式」に近いものになります。
 元々「アニメ映画」をイメージしており、シナリオの勉強をしたこともあった私はこれまでの「小説の挿絵」とは位置付けの違う「絵が無い状態では意味をなさない」形に文章を改変し、全ての台詞の前にキャラクター名を付けるなど工夫を重ねて行きました。


 この場面もラフ案をご紹介。ちなみに3人の名前の元ネタが全部分かったらあなたはかなりの映画マニアです(*^^*。


 まだ完全とは言い難いのですが、これで「
文字のみのTSコンテンツ」から「文字中心のTSコンテンツ」への進化の過程に「文字と絵によって構成されるTSコンテンツ」という一つの到達点を加えることが出来たと自負しております。

 やがては「その先」も考えておりますので期待してください。

 さて、
「バグ」シリーズはあと3作存在しています。

 なのでまずは継続して「バグ」シリーズの製作を進めて行くことになります。
 現在はオリジナル文章のままなのですが、これも最終的にはシナリオ形式にする予定です。

 つらつら書いてきましたが、今はとにかく無事に完成したことでかなり安堵しております。

 もしもこのコンテンツに直接リンクを張りたい方がいらっしゃいましたら別に構いませんのでどしどし張って下さい。ウチはリンクフリーですので。
 ただし、出来ましたならばトップ(http://kayochan.com)も「同時に」張って下さい。

 というのは、将来引越しを行なった際に取得したドメインからのリンクのことを考えてあります。ディープリンクのみだと見失ってしまう可能性がありますので、是非お願いします。
 リンクの許可はいりませんが、掲示板などでご一報いただけますと嬉しいです。

 そして、この「バグ」は全ての設定から一枚一枚のイラスト全てが完全に「真城の城」のオリジナルコンテンツです。
 よってリンクや「引用」の範囲の紹介ならばともかく、無断転載・無断複製及び配布などは固くお断りします。

 ご意見・感想などは掲示板にて受付しておりますのでお気軽にどうぞ。
 また、連絡用のフリーメールではありますが一応メールアドレスもありますのでそちらにも。
 日に数十通のスパムが届くメールアドレスですので、タイトルに「真城の城」などを必ず入れてください。英語のみだったりすると間違いなく読まずに捨ててしまいます。

 それでは、また次回作でお会いいたしましょう。
2008.01.31.Thu.













「バグ」製作スタッフ



企画・監督・演出・脚本

真城 悠



真城の城:http://kayochan.com



キャラクターデザイン・メカデザイン・美術・背景・
その他作画全般

岩澄



B.D.O:http://www.geocities.co.jp/poteto1213/