「パートナー」
作・真城 悠
*「華代ちゃん」シリーズの詳細については
http://geocities.co.jp/Playtown/7073/kayo_chan00.htmlを参照して下さい
最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんな皆さんのために私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。 報酬ですか?いえ、お金は頂いておりません。お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。 さて、今回のお客様は…。
「ふう」 その青年、春日のため息が響く。 彼はフォーマルスーツに身を包んでいた。決して悪くない風貌である。が、これといった特徴も無い。良くも悪くも平凡な造形である。 「おにーちゃん」 はっ!とそちらを見やる春日。 そこには小学生程度の少女がちょこん、といるではないか。 面食らっている春日。 「はいこれ」 差し出される名刺。そこには「ココロとカラダの悩み、お受けいたします 真城華代」とある。 「な、何?君は」 「セールスレディよ」 「セールスレディ?」 「ええ。困ってることがあったら何でも言って」 「はあ…」 明らかに乗り気でない春日。 「どうしたのよ?元気無いわねえ」 「ふん…いいよ別に…もう出席終わったし」 「出席?」 「君って参加者じゃないの?今夜のパーティーの」 「うんにゃ」 その屈託の無さに思わず苦笑してしまう春日。 「そうねえ、じゃあパートナーを世話してもらえるかな?」 「パートナーね。よし、分かったわ」 「本当に分かってる?」 「うん…多分ね」 「分かってないじゃない」 「あはは、そうね」 「なかなか可愛いね」 「ありゃ、参ったなこりゃ。えへへ」 赤くなって照れている少女。 「うちの大学って体育会系で殆ど男子校なんだ」 「へえ」 「一年に一度の機会だからね。隣の短大から独自に異性を調達…って言うと失礼かな、約束して来てもらうんだ」 「素敵…」 「それは相手がいれば…さ」 「はいはい、なーる」 「まあ、噂じゃこの学校で一番の二枚目も彼女が風邪引いて欠席らしいからな、いい気味さ」 「それでこんな時間になっても男子更衣室でため息ついてるのね。とにかくこっち来て」 立ち上がって姿見の前まで行く少女。 やれやれ、と立ち上がる春日。 「じゃあ、目つぶって」 まあ、毒食らわば皿までと言うし…と、目をつぶる。 …それはいいんだが、いつまでたっても「開けて」などの合図が無い。かつがれたかな? 「華代ちゃん」 声を出してみた。もちろん返事は無いが、…何か変な感じがする。何か声が変だ。それに俺って手袋なんかしてたっけ?それに何か胸が締め付けられる様なこの感触… 春日は思いきって目を開けた。 そこには目を疑うような美人が、イブニングドレスに身を包んで立っていた。 「え?」 驚いて手を動かすと、その女性も手を動かす。そう、それは姿見に映った自分自身だったのである。 「え?…こ、これが…僕?」 間違いなかった。下を、自分の身体を見下ろすと、そこには美しいドレスと女性の身体がある。 「き、君は…!?」 背後から聞こえたその声に振り返る。そいつは相手にすっぽかされてあぶれた学校一の二枚目野郎だった。 「え…あ、あの…これは…その」 春日…だった女性はシドロモドロになりながら言った。 二枚目は、突如男子更衣室に現れた美女に戸惑いながらも、毅然とした態度を取り戻して言った。 「一緒に踊って頂けますか?お嬢さん」 かつての春日は不随意に耳まで赤くなった。
いやー、いい人でした。それだけにちょっと張り切っちゃいました。うん。素敵な「パートナー」が見つかって良かったですね!あたしも応援しちゃいます。いやー、いいことをするって本当にいい気持ちですねえ。 明日は、あなたの街に行くかも知れません。 それでは! |