第505回(2004年02月08日(火)) 手がぶるぶると震える。 明らかにサイズが合っていない。 男の頃に比べればウェストが細くなっているということもあるが、何と行っても止める位置が違う。 とんとん、とノックをする。ここは廊下、聡(さとり)の部屋の前である。 「さとりー、終わったぞー」 ![]() ![]() 「はいはーい」 がちゃ、とドアが開く。 その時、ぶかぶかの男物の制服を着た華奢な美少女はドアに向かって背中を向けていた。 「じゃ、これ・・・」 適当に畳んだ女子高生の制服を背中の方に向かって差し出す。 「ありがとー・・・ってなんでそっち向いてるの?」 視線どころか身体の向きすら合わせない兄・・・今は姉をいぶかしむ妹・・・今は弟。 「うるさいなあ、いいから早くしろよ」 文字で見ると乱暴だがそれほどとげとげしくは無い。むしろ鈴の様な声が可愛らしい。 |