TS関係のオススメ本01-09 10


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真城 悠

ふたば君チェンジ(1991年〜1997年・あろひろし・集英社)
   
   
ふたば君チェンジ [少年向け:コミックセット](amazon)
 

 いきなり始まってますが、今日紹介するのが「ふたば君チェンジ」です。
 一言で言えば
男性作家が描いた「らんま1/2というところでしょう(^^。

 典型的な「可逆もの」で、
性別変化が常態化している一族みたいですね。しかも子供も生むことが出来るというかなり便利な能力を持ちます(^^。

 
勢いだけでエラいカミングアウトしているロマンスグレーのパパですが、こういうノリが深刻なものではなくて「こんな調子のコメディなのだ」と捉えるのが正しい読み方でしょう(^^;;。私がもしこんなこと父に言われたらショックで心臓が止まりますね(核爆)。

 ベテランのあろひろし先生による意欲作ですが、これまた「一度でいいからこういうの(男の子が女の子になる漫画)が描いてみたかった!」
願望の発露みたいな作品です…ってまたか(爆)。
 何しろ登場人物に
まともなのが殆どいません
 意味無く熱いプロレス研のおっさんみたいな学生とか、先生はガチのホモだし…う〜ん。
 勿論お姉さんは
男になってしまう体質を持ちます。

可愛い女の子になっている弟にいきなり男になって迫る素敵な(!)お姉さま

 これを読みますと「らんま1/2」がいかに絶妙なバランスの上に成り立っていたかがよく分かります。
 「ふたば君チェンジ!」においては性別変化トリガーは「性的に興奮すること」なのですが、これは
非常に危険なのですね。というのは、一見すると非常に目的に合致しているかのように見えるこのきっかけは「かなり意識的に変身することが出来る」という結果を招きます。

 「可逆もの」をTSファンが警戒する最大の理由は「自由さ」にあります。
 言ってみれば「
不随意に女の身体になってしまう」という身に降りかかる不幸をいかにかいくぐり、或いは屈服して(^^;;、いくのか?を楽しむのがTSものの醍醐味なのに、「変身が自由自在」というのは「なりたくないときにはならない。なりたいと思えばなる状況を現出させることが容易であるということに他ならず、これでは「女の身体に変身してしまう」ことがメリットにしかなりません。純粋に能力がプラスされているに等しいからです。


 実際、この頃の可逆ものには「女の身体になる」ことが「純粋なメリットの獲得」として描いているとしか思えない作品が多いです。ま、気持ちは分かるんですが(核爆)、そこには本来まずは
「男性で無くなる」というデメリットとの抱き合わせによって獲得する“いたしかゆし”な感触こそが最大の読みどころではないでしょうか!(力説)。

 恐らくその内紹介することになるであろう「らんま1/2」の最大の功績は「水に濡れると女の身体になる」という「
純粋に物理的な要因」を制定したことに尽きるでしょう。

 これならば、いきなり水を掛けられて性転換!という「
他人の手によって強引に女の身体に性転換させられる」という展開が可能になるからです。実際、そういうシチュエーションも多いでしょ?

 とはいえ、この「ふたば君チェンジ」に関しては余り深く考えることは無いのかもしれません(^^。
 というのは、個人的な見解では「
もしも自分がある日突然女の子になってしま(う体質になってしま)ったらどんな感じなのだろう?」という「妄想を漫画の形で具現化した」という、非常によくある作品であるようにしか思えないのです。

 何しろ物語において「何らかのきっかけによって男が女の身体になってしまったら?」という
最大のタブーを最初にぶっちぎってしまっているので、その後は「刺激」という意味では右肩下がりにならざるを得ません(;´Д⊂…。もしも主人公が女の子になっちゃったらどうしよう?…いや、もうなってるし。しかもしょっちゅう。それでいてすぐ戻れるし。

 何の脈絡も無く主人公が性転換した状態で女装(?)して「転校してくる」という手続きを取ってみたり(元の自分は「いなくなる」ことになるんだけど、その辻褄は?)、果てはヒロインを男性化(!!)してみたり、迷走を繰り返し、長期連載の宿命でマンネリ化していくことになります。

 ですが!
 であるからこそ、一番最初に性転換体質が不随意に発現する第一話が収録されている「第一巻」の
力の入り方は尋常ではありません(*^^*
 「この部分を描く為だけ」に発想されたと言い切っても過言ではない緻密にして大胆な場面の数々はかなりオススメです(*^^*。
  

 上記右のお風呂で自分の身体を弄(もてあそ)ぶ女の子状態のふたば君なんて、単行本を所持していらっしゃる方でも「
こんな場面あったか?」というところではないでしょうか(^^;;。その後のグダグダな展開を知っている人間からすれば「作品が違ったよう」な性転換萌えスピリッツに溢れた場面です(*^^*。

 そんなこんなで作品全体を通しての評価は「中の中」というところですが、第一巻だけはかなりの高得点を付けられます。
 これをもって
「TS漫画の長期連載は第一巻を狙え!」の法則と名付けましょう(*^^*。「らんま」とか。
 かなり売れた漫画だと思ったんですが、現在は絶版状態みたいですね。という訳でマーケットプレイスでのご案内になってしまいます。恐らくもうすぐで文庫版とかで再販されるんじゃないかと思います(^^。
 それにしても表紙をずらりと並べるとこれはこれでいいもんですね(^^。(2006.11.14.Tue.)
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