TS関係のオススメ本02-04
*アップロードする際に在庫を確認してから行ってはいますが、なにぶん古い本が多い為、時間が経過することで在庫切れになる場合もございますのでご了承下さい。 真城 悠 |
「ストップ!!ひばりくん!」(2004年(文庫時)・江口 寿史・集英社) |
当方の読者さまから「え〜あんなメジャー作品を?」と不満の声が聞こえて来そうですが、余りにも定番過ぎて逆に一度は紹介しておかないと私のこの作品に対するスタンスを一々説明する羽目になると思うので。 一応紹介しておきますと、「ストップ!!ひばりくん!」とは「週刊少年ジャンプ」誌上にて連載された江口寿史氏によるギャグ漫画で、主人公のひばりくんは一応男の子なのですが常に女装しており、周囲も女として生活していますが、主人公の耕作と家族などの関係者だけはその事実を知っている…という設定。 ひばりくんは正に「小悪魔的な魅力」を振り撒いて耕作に迫ったりするんですがさてどうなる?というお話です。 ご覧になってお分かりの通り、江口氏の描く「美少女」は本当に可愛らしく、美少女と同じ文法で描かれている「ひばりくん」も当然とても可愛らしい外観。 この漫画はそれまで少年…というかオスガキばかりだった「週刊少年ジャンプ」の読者として「女性の漫画ファン」を大量に引き込んだといわれています。…今ではやおい狙いの腐女子漫画ばかりで「少年」ジャンプとは名ばかりになっている同誌も当時はそんなんだったんですね…(遠い目)。 何しろこの頃はこうした「TS」系の漫画は珍しかったこともあって、同好の士には非常に珍重されたものです。 そういえば田舎者の真城には見た記憶が無いのですが、この頃同名の「女装美少年アイドル」が活躍していた…と聞いたことがあるんですが誰かその情報知っている人います? ともあれ、「女装漫画」といえばこれ!というほどの知名度を誇り、江口寿史氏の代表作であるのは間違いないでしょう。もしかしたら「らんま1/2」や映画「転校生」と並んで人口に膾炙したTSものかも知れませんね。 しかし…真城的価値観から言うとあんまり関心出来ませんでした。うん、メジャー作品はけなすのに気が楽だ(^^。私の愚痴程度では評価がびくともしないので。 何故かと言うと…ひばり君って劇中であんまりスカート履かないんですよね(爆)。 今読むと結構履いてはいるんですが、当時(小学校…かそれ以下)の私にとって「女装」と言えば「スカート」だったんです。ですから「女装漫画」という割にはスカートも履かないとは何事か!とまだ旧フォントの表紙だったジャンプを叩きつけ…はしないもののかなり不満でした。 たまに履いていても、何でしょうねあの「スパッツ」みたいなのを履いているというとてもオシャレな格好で、「これではあの“スカートのすーすーする感じ”がしないではないか!」とまたおかんむり。うるさい読者ですね(爆)。やれレオタードとか何とかっていうのは齢数歳の真城には「女装とは言えぬ!」と思われていた模様。 というかそもそも「ひばり」というキャラが問題です。 耕作君は矢鱈(やたら)にうろたえていますが、これだけ社会にニューハーフだの「そっち系」の人が増えてくると「まあ、そういう人なんだよな」で終わりです。「男に生まれついたからには何が何でも男らしくあらねば」というのは当時にしてもアナクロだったのではあるまいか。劇中でも「男っぽい挙動のひばりくん」を想像して「ありえない」という結論になってますし。 そもそも一番の不満は、要するに「ひばりくん」って今風に言えば「性同一性障害」なのですよ。要は精神は完全に女の子でしかないんです。 ですからひばりくんが仮に女装していても「女の子が女装している」風にしか見えません。私には。 女の子が女装するのは至極当然のことであって、何もおかしい事ではない訳です。「TS萌え」というのは「ギャップ萌え」な訳ですから、自ら望んで女装したり性転換したりするキャラは鬼門なのですよ。 「北斗の拳」のウイグル獄長ではありませんが「はぁ〜?聞こえんなぁ?! 嫌がる奴をむりやり女装(女への性転換)させるから楽しいんだ!」 …ということなんですよ(ヒドイ)。 自分で言うのも何ですが、流石は(?)「華代ちゃん」とか「フォスター」書いちゃうセンスの持ち主だけのことはありますな。…って、まったく自画自賛になっていない…orz。 その意味では真城の個人的評価ということになると星三つが満点だとしたら「星一つ」というところ。 ただし!! 実はあるんですよ。「嫌がる奴を無理矢理」女装させる場面が。 「女装」というよりは「メイク」だけですけど、まあ該当場面をごろうじろ(右から左へ)。 |
この後は相変わらずのシュールすぎるギャグでぐだぐだになっていくのですが、この場面は「他者による強制的な女装」の醍醐味に溢れていて好きです。ちなみに旧ジャンプコミックスで言えば第三巻に収録されています。 ちなみにこの漫画、どういう風に終わったかご存知ですか? 元々本編中に平気で入り込んでくる作者本人と編集者とのしょーもない掛け合いだの、シュールすぎて気色の悪いだけのキャラだのが沢山入っていた漫画ではありますが、「落とし」と呼ばれる「締め切り破り」はこの頃から横行していたみたいで、打ち切り同然の尻切れトンボもいいところで突然終わってしまっています。「新世紀エヴァンゲリオン」なんかかすんで見えるヒドさ! 今は旧ジャンプコミックスでは手に入らないみたいですけど、文庫本もありますし作者による自選集もあるみたいでその意味では恵まれた作品。 何しろ殆ど漫画なんか描いていない今でも収入は全盛期と殆ど変わらない(!!)という印税生活ぶりらしいので、如何(いか)に息の長い売れ方をしているかが分かりますね。 とりあえずTSについてちょっとした薀蓄(うんちく)を語りたい方には好みに合うかどうかはともかく必須の文献であるのは間違いありません。この機会にいかがでしょうか?2006.11.17.Sat. |