TS関係のオススメ本02-07
*アップロードする際に在庫を確認してから行ってはいますが、なにぶん古い本が多い為、時間が経過することで在庫切れになる場合もございますのでご了承下さい。 真城 悠 |
「たるとミックス! 」 (2005年・芳文社・神崎りゅう子) |
今で言う「ライトノベル」の歴史の中で大いなる転換点となった作品といえばアニメにもなって大ヒットし、主演を勤めた林原めぐみさんの代表作ともなった「スレイヤーズ!」シリーズがあります。確かにあの作品は衝撃でした。 それまでの「ファンタジーもの」と言えば「当時の中学生は全員読んでいる」とまで言われた「ロードス島戦記」が正に代表作。後は「ロード・オブ・ザ・リング」こと「指輪物語」か、ギリギリ「ドラゴンランス戦記」を読んでいればいい方でした(かなりどうでもいいプチ情報ですが、真城はエルフが嫌いなのでドラゴンランス戦記の第二巻に登場するエルフ嫌いのベルミナルド卿を尊敬していたりします)。 「ロードス島戦記」という小説は所謂(いわゆる)「第二次RPGブーム」と呼ばれる「世界観そのものを作ってしまう」ムーブメントの落とし子でこの時期の和製ファンタジー小説というのは「一作家一世界」とでも言うべき乱立ぶりを見せていたものです。 注目すべきはその生真面目ぶりで、明らかに「ロードス」には「ファンタジーを書くには最低この程度のレベルを維持するという矜持を見せ付けねば!」という「使命感」みたいなものが溢れていました。いやホントに。 ですから、魔法によって常に浮かんでいるナムというキャラが登場するアニメ版「ドラゴンクエスト~勇者アベル伝説~」とかに「あの魔法はどういう原理なのか!」と激怒していたりしたもんです。うん、若かったなあ。 そんな時に突然変異の様に登場した「スレイヤーズ!」は正に画期的でした。 主人公のリナ・インバースは「街ごと吹っ飛ばす」様な魔法をポンポン撃ちまくり、呪文の詠唱は面倒くさいからと省略し…とやりたい放題なんです。 要するにある世代から上のファンタジーファンが呆気にとられたのは「ファンタジーであることへの屈託の無さ」だったのです。 どうしても「ロードス世代」みたいなのって「ファンタジーとはかくあらねば!」という思いが強すぎるんですよね。ところがファミコン版の「ドラゴンクエスト」みたいなので育った世代って「ファンタジー」は別に特別なものではないんですよね。 当時せいぜい高校生位だったと思うんですが、ジェネレーションギャップを感じた瞬間でした。 今回紹介する「たるとミックス! 」も、ジャンルは違えどその様な感慨を齎(もたら)してくれる一冊。 実はこの世界ではありそでなかった「TS4コマ漫画」なのです。 |
兄と妹の入れ替わりものです。お兄ちゃん一応びっくりしたりはしているんですが、もう当たり前に次の四コマで学校に行きます。 何というか、これまで私はこういう「無造作な描写」って余り褒めては来なかったんですが…何というか「TSなんだから当然そのまま通うでしょ?」みたいな可愛らしさというか…。そんな異常事態なんだったら休みなさい学校。私なら絶対休みますよ。社会人じゃないんだから。 これはもう、「ファンタジーなんだから魔法使うでしょ?」的なあっけらかんとしたありようというか…正にジェネレーションギャップ。 こういう作品も多いのは知っていますが、たまたま真城が読んだのがこれだった、というところです。 実はギャグ四コマでTSネタって少なくないんですが、単行本二冊に渡ってそれがモチーフというのは結構珍しいんではないかと。 確かに無造作ではあるんだけど、決して手抜きでは無いというか…要するに世の中にTSものがある程度は存在していることを前提に描かれている世代の漫画なのではないかと推測するんですね。 少なくとも「おれがあいつであいつがおれで」も存在していない状態でいきなりこの漫画は描かれないのではないかと…。 確かに現代の漫画ファンで「らんま1/2」を読んだことも無ければ「転校生」(同原作のリメイク含む)も見たことも無い…という人はむしろ少数派に属するでしょう。 つまり、「読者の間にある程度のコンセンサスがあるんだから、一からいちいち心理とか丹念に描写すること無いよね?」的なノリが古いタイプのTSファンである真城にはとても新鮮に見えたのです。 |
徐々に入れ替わり生活の方が長くなって来た二人はこういう「お約束」も普通にこなします(爆)。 しかし、「元の習慣が抜けない」といったギャップ・ギャグはかなり面白いのも多数。 絵柄が可愛らしいので決してエグくないのがかなりポイント高し。 だってこれって結局は「女装ギャグ」なんだけど、ちゃんと「入れ替わり」でギャグになっているので。 |
絵があるんですが、ここは目一杯想像(妄想とも言う)の翼を広げて楽しんでみましょう(*^^*。 お兄ちゃんは余りにも女子高生の制服姿でいることが長いもんだからすっかり慣れてしまって、最早背中に手を回してワンピースを着るとかお手の物だし、ブラジャーをしていても脱ぐまで違和感を感じない体質になってしまっています。 …大変そうだなあ…。 こんな調子だと、男に戻っても脳内で普通に普段着のレパートリーにスカートルックが入っていたりしそうで怖い(゜Д゜*)…。 でもお兄ちゃんはそれでもブラジャーが苦しくてすぐにノーブラで学校に行くし、妹はいつものクセで身体が男でも構わずにブラジャーをして学校に行ってしまいます。これは単行本を読んでのお楽しみ。 …真城には妹はいないんですが、こんなことになったら本当に大変です。これは辛い(;´Д⊂…。 しかし!中には何かが降りてきたのか、かなりそそるシチュエーションもあります! 何と、ずっと妹の身体に入っているせいか、それに影響されてか「精神も女性化」し始めるのです! |
これがどう展開するかはナイショ。流石にこれは書けないでしょう。ったってギャグ四コマだからなあ…。 しかしこれはウマい!です。この深刻になりすぎない適度なドキドキ感! 私にとってはTS作品を鑑賞するというのは気軽に出来る絶体絶命なので、この背筋が凍るようなシチュエーションはお見事! そうなんですよ、この神崎りゅう子さんって決してTS魂が薄い方では無いんです。にも関わらずこのはっちゃけぶりと屈託の無さ!最近は本当にこういう方が多い!私は勝手に「TS新人類」と呼んじゃいます(^^。 物語が進むにつれて、同級生が女装マニアだと判明したり(爆)、お約束の「変態ばかり」状態になってしまいます。 |
更に兄の精神が可愛い人形に閉じ込められたり、と別のマニアがいそうな美味しいシチュエーションも!Σ(゜Д゜*)コ、コレハオイシイ…。 |
新世代のオタクってとても自己言及性が強いんです。言い方を変えれば冷めているというか、自分にツッコミを入れるというか…。 最後にそういうコマを紹介してお別れです。ここまでに紹介したのはほんの一部で、全編に渡ってこんな調子のTSギャグが満載なので、ピン!と来た方なら選んで間違いないでしょう(*^^*。2006.11.21.Tue. |