TS関係のオススメ本03-03
*アップロードする際に在庫を確認してから行ってはいますが、なにぶん古い本が多い為、時間が経過することで在庫切れになる場合もございますのでご了承下さい。 真城 悠 |
「めたもる伊介」(中津賢也・角川書店・1990年) |
皆さんおめでとうございます(^∀^)ノ! いきなり祝福から始まってしまいましたが、この連載を始めて以来、絶対に紹介したいと思っていたこの「めたもる伊介」の在庫がamazonに残っていました。いやあ、これは嬉しい。 この物語の主人公である絵描きの伊介(一巻表紙の青年)は生まれつき変身能力を持っています。 何と、頭に強く思い描くことで対象に変身出来るのです。 その変身対象には殆ど制限が無く、動物ならば何でもありみたいで、犬や熊、象や鳥なども可能。果ては巨大化して大魔神みたいなのになって家を破壊したり出来るというムチャクチャさ。 |
このカラスも変身した後の伊介の一形態。「海坊主」などの架空の妖怪にまでなれます |
TS漫画は数ありますが、ここまで無制限で自由自在の変身能力というのは珍しいのではないでしょうか。だって「らんま1/2」は言うに及ばず、「ふたば君チェンジ」「フレックス キッド」だって“一応は”制限付きで、場合によっては戻れなくなったり色々するのに、「思い描くだけ」というのは前代未聞では無いかと。 ですので、これは物語を転がすギミックとしては殆ど何の役にも立っていません。実際、伊介は全くピンチにならないし、どんな窮地でも変身能力で切り抜けます。 …ま、もうお分かりでしょうが、「何にでも変身出来る能力があったらどうするか?」そんなの女に変身するに決まっているでしょうが!!。 |
いざ風呂に行こうとするとこの様に女装して登場します。間違いなくこの服とカツラは私物でしょう(^^;; |
実際、彼は何かというと常に女に変身しっぱなしです。一応時代劇なので和装なのもポイント高いですね(*^^*。 ポール・バーホーベン監督の「インビジブル」という映画をご存知ですか? 要するに透明人間になる薬を開発するお話なのですが、いざ透明人間になった人物が何の躊躇(ためら)いも無く鬼畜になって悪行の限りを尽くすのがスゴイです。監督の人間観なのでしょうか。 よく「女になる能力があったら何をしたいか?」なんて想像した時に「女湯を覗く」とか「女子更衣室に入る」とかありますよね(*^^*。男の欲望をそのまんま剥きだしにした感じです。 この漫画はそういう系統の漫画です。 伊介は女になって女湯にもぐりこんでよだれをたらし、女子更衣室に入り込んで鼻の下を伸ばします。 これまた「女になったらこんなことをする」という欲望の発露なんですが、そのリビドーが見事に男性的というか男子中学生的なんですわ。 女への憧れとかではなくて、「うほっ!女体だっ!遊んじゃえ!」的な。 自由自在に変身出来るということで「不可逆」みたいな追い込まれたシチュエーション好きな方には響かないかも知れませんが、逆にTS願望の無い一般読者には最も感覚的に近いかもしれません。 |
ごく普通に女体をひけらかして男のパーソナリティ(人格)で叫ぶ伊介。 「肉体と精神のギャップ」に萌えるTS漫画の真骨頂! |
この漫画を読んでいて思い出したのが、「ゲーム」がムチャクチャ上手い人のこと。 どの世界にも「スタープレイヤー」というのは存在していまして、大勢の輪の中で平然と超絶テクニックを疲労する彼に本当に憧れたものです。或いは嫉妬していたというか…。 この場合の伊介も殆ど同じですよ。 「自由自在に女になれる」ことがこのシチュエーションで「特技」「才能」で無くて何ですか! 美女は城を傾かせたり国を傾かせたりすると申します。 実はそれ以外に「裸」だけでも直接「武器」ですので、この様に純情な男をノックアウトすることも可能! これまで紹介してきた「美しさ(可愛らしさ)を武器」にするのとちょっと違って、「女体のビジュアル」を武器にするという辺りが逆にスポーツの様な爽やかさがあるというか何と言うか…。それこそ「プ○イボー○」的な直情的なアピールというか…。 ほら、よくいるじゃないですかラテン系の美女で自らの美しさをひけらかして「男どもはあたしにひざまずくのよ!」みたいなタイプ。女性だからといって決して受身なばかりではないんですね。 だって、伊介が「あん( *´Д`)!」とか言って恥ずかしそうに身をよじっているところとか、鏡をみてぽっと頬を染めているところとか想像できないですから。 ちなみに福主人公と言ってもいい総一郎が伊介と知り合うきっかけになった時、伊介はこの様に撃退(??)しました。 |
刀を抜いて向かってくる相手にいきなりおっぱい見せ付けることで撃退できる。素晴らしい 自分のおっぱいをもみながら会話している男の主人公 という普通の漫画ではまず見られないシュールな構図。 この“興味本位”ぶりはもう赤ん坊レベルか!? |
ある意味非常に卑怯な漫画です(褒めてますよ(^^;;)。 何しろこれだけ自在に変身出来る(「シュヴァリエ」でも苦しんでいる)となると「月のもの」とかも無いでしょう。つまり、男のいいところは当然享受し、女の美味しいところも全て享受した上、女のデメリットは全部回避というご都合主義にもほどがある展開なのです。てゆーか「キックアウト・ラヴァーズ」の爪の垢でも煎じて飲みなさいと言いたくなります。 ですが、よく考えれば漫画なんてのは現実逃避の為に読むものです(よね?)。 だったら、物語的な展開がどうこう枷(かせ)がどうこう言う雑音を一切無視して「望みを全て思いのままにする主人公」というのも感情移入出来ていいのではないかと(*^^*。 何しろその能力には制限も反動も何も無く、こんなことまで出来ます。 |
もー「あーはいはい」状態。モノマネ芸人とか声優になったら凄いだろうなあ… |
江戸時代という設定なので女に化ける際には髪型まで完全に変わってしまいます。 更に頻出する銭湯のシーンでは常に全裸に近いのでよくよく注意していないと「こいつは実は男」ってのを忘れそうになります。見所は沢山あるのですが、ここはとある入浴シーンをご紹介。日本髪の美少女(?)が伊介の変身した姿ですので、そこを忘れずに(*^^*。 |
このページだけ読んだ人は男だって言われても何のことやら?でしょう |
序盤では「唯一の能力者」だった伊介ですが、物語が進んで行くと「同じ能力を持った敵(?)」が現れる様になります。「北斗の拳」のジャギとかトキみたいなもんでしょう。 ちなみに「能力を見せる」ということで変身してみせるのがやっぱり性転換(爆)。 やっぱこの能力あったら女になって見せないと(^^。確かにある意味一番アピールする…か |
この後全裸で破壊された銭湯の女湯の女たちにまぎれて逃げるカットあり。これも萌え(*^^* |
この漫画の能力者たちは完全に興味本位で変身します。何度も書きますが、「1日○回まで」とかの回数制限も何も無いので、とりあえず変身しとけということもありあり。 この後伊介とこの刺客は一緒に旅をするんですが、「立ち話もなんだし」みたいな感じで川で水浴びをしながら話すんですけど、お互い女になって全裸で会話。 この回殆どこのままで過ごしたんです。う〜ん。 |
ヌードグラビアみたいなあられもない格好で会話する主人公たち。こいつら両方とも男ですからね! |
ちなみにこの漫画が連載されていたのは「月刊コミックコンプ」(角川書店)。「コミックコンプ事件」で有名なこの雑誌を買っていたのは当時テーブルトークRPGを一緒にやっていた友人だったのですが、私はそいつの家に行くたびに「伊介」目当てで読んでいたものです(*^^*。 そして!次のコマこそが当時中学生程度だった真城に深刻なトラウマを与え、この漫画の評価を決定的なものにした一コマなのです! |
これまでも刺激的なコマは沢山あったのですが、全裸でも日本髪だったり和装だったりしたのですが、このコマでは「アイデンティティ」を示す顔(首から上)部分は完全に元の男のもので、それでいて身体の、特に乳房は完全に女性のパーツという「TS漫画でしか見ることが出来ない」イラストレーションだったのです! 物心付いた時からTSものは好きでしたが、これは本当に衝撃的でした。 誤解されるのは承知の上でこの号のコンプを借りて帰って一晩中むさぼり読んだものです。 ちなみになぜこんなに面白そうな漫画が全二巻しかないのか?と申しますと、ある号で読み切りの「ちぇりーげいる金 」という作品を描いた作者が壮絶に落っことし、延々数十ページに渡って下書き同然の漫画が載ってしまったのです! 単行本二巻を読んでみると分かるのですが、明らかに物語りは続いたままで、しかもこれから結構大きな展開になりそうだったのにぶっつり状態です。 要するにあの「落とし」以降に雑誌そのものを降ろされてしまったみたいなんですね(;´Д⊂…。 ですから、単行本未収録の数話が存在します。いずれにしても未完であるのは変わりないのですが。どうしても読みたい方は国会図書館でバックナンバーを漁って見るしかないですね。 ただ、美味しいところはコミックスに殆ど入っているのでその点はご安心を。 ちなみに中津先生はこの後も「桃色サバス」(その内やりたいです)などをお描きになってますがこの長期連載でも何度もTSネタをかましてます。相変わらずカラっとしていますけどやっぱりお好きなのは間違いないですね。個人的にもっと評価されてもいい方だと思ってます。 打ち切りになったお陰で全二巻しかなく、「不条理感」とかとは全く無縁ですが、とにかくその欲望に直結した気軽な性転換ぶりは必見!だって「何にでもなれる」っつってんのに女にばっかりなってるし。いや、もしかしたら「何にでもなれる」というのは「女になる」という能力の為の煙幕じゃなかったのかと思うほど。 実はこの漫画の存在を最初に知ったのは雑誌「ウォーロック」の背表紙の広告だったのですが、「何にでも変身出来る主人公」のあおり文句を見て「これはもしかして!」と内容に辺りを付けることが出来たのです。 そしてそれは当たりだったと(*^^*。 結構色んな古本屋にあるので(両方揃っていることはちょっと珍しいですが)入手難易度はせいぜい5段階評価で「2」(簡単)位ですけど、マーケットプレイスで手に入るのはお得!個人的にはかなりオススメの一品。 あなたも自由自在に性転換して女湯を覗いてみたくないですか? 2006.11.27.Mon. |
*追記。それにしても伊介は“美乳”ですな(*^^*。ま、そこは欲望の赴くままの漫画ですので… |
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