TS関係のオススメ本06-04
*アップロードする際に在庫を確認してから行ってはいますが、なにぶん古い本が多い為、時間が経過することで在庫切れになる場合もございますのでご了承下さい。 真城 悠 |
「能瀬くんは大迷惑」(1994年〜1998年・辻よしみ・徳間書店) 「能瀬くんは大迷惑Jr.編」(1998年〜2002年・辻よしみ・徳間書店) |
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能瀬くんは大迷惑!! 1 |
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予想が当たった方はいらっしゃるでしょうか? 真城 悠がTSファンとして推す作品の生涯一位の座を獲得したのは「能瀬くんは大迷惑」「能瀬くんは大迷惑Jr.編(ジュニアへん)」でした(何故か「大迷惑」の第1巻だけamazonリンクが張れないのですが、項目は存在しているのでご購入の方はそちらで)。 勿論これは幾つかの条件がついた上でのランキングです。 それこそ「自分の作品」がこのランキングでは除外されています。 「商業作品その他に不満があるから」自分で自分の為に小説書いたりイラストをつけてもらったりしているのです。要は自分で読みたいのが無いなら作っちゃえ、という動機です。ですから、その理屈で言えば「華代ちゃん」とか「おかしなふたり」が必然的に第一位に来ることになります。 しかし、流石にそれでは意味が無いでしょう。 また、エロの有り無しでも区分されます。ま、流石にその程度では覆されませんが、しかし個人的には決して嫌いではない「バランスは崩れてるけど煩悩炸裂しまくりの情熱系」とか、破壊力抜群の「アホ系」。 また、耽美と頽廃が魅力の「破滅系」また趣向の似ている「不条理系」など様々な区分があり、それぞれにランキング出来るでしょう。 そうそう、忘れちゃならない「一発ギャグ系」やシミュレーション要素を前面に押し立てた「ワンアイデア」ものなどもあります。 このランキング一位というのは「少年少女文庫」的な価値観に基づく「18歳未満閲覧禁止」表現を含まないことを前提とした「性転換萌え系」のつまり「王道系」(そして自作を含まず)とでも言うべきもの。 そして、「僕と彼女のXXX」や「続・革命の日」などで示されたような「全く考えていなかった新たな価値観の提示」が最も大きな評価基準になります。「そんな考え方があったのか!」と驚かせてくれないと駄目。 個人的にはムチャクチャ好きな絵柄と展開とノリを持つ「3レボリューション」は、紹介したのは結構前なのに今でも毎日の様に売れる優良コンテンツですが、唯一「新しい価値観の提示」という意味ではアピールする点がありません。 そして最大のポイントが「自分がその立場になれるかどうか?なってもいいと思えるかどうか?(そこに無理はないか?)」というもの。 この点で「続・革命の日」が頭一つ抜けていることは先日記述した通りです。あれなら毎日男の子とデートもしたくなるってもの(爆)。 「アリス」の破滅編の背筋が凍る様な蜜の味は魅力的ではあるんですが、現実に自分があんな目に遭いたいかと言えば否に決まっています。 「らんま」みたいな可逆体質?う〜んどうだろう。「ジェイル」みたいな変身能力?どうやって使うんだって。じゃあ数々ある入れ替わってそのまんま女として生きなくてはならないとか、不可逆の変身もの系統は? 最初の一週間とかはいいかもしれないけど、後々大変すぎるのでパス。 「ミスタークリス」みたいに超人かつ美女ってのも悪くないけど、あれって老後には凄く孤独になると思う。 もう連載が10年以上続いているらしい「名探偵コナン」ですが、あの漫画の最大の問題は「子供の姿から元に戻った時に子供になって出来た仲間たちと分かれなくてはならない」ということ。 つまり、一番の望みがかなった瞬間バッドエンドになってしまうんです。かといって、今のままの関係をずるずる続けるというのはそれはそれで不幸な状態であるのは間違いないでしょう。そう、こと「ハッピーエンド」と言う意味では八方塞(はっぽうふさがり)で身動きが取れなくなってしまっているのです。 ならこの「能瀬くん」は違うのかって? そこでご紹介してまいりましょう。 言って置きますが、何しろ全10巻もありますので、物凄く駆け足であることはご了承下さい。 そして、思い入れが半端ではないのでちょっと長くなる可能性がありますが、ご了承下さい。 まず、前日談(本当はこっちが「本編」で「Jr.編」が後日談なんですが)である「能瀬くんは大迷惑!」から。以下「能瀬くんは大迷惑!」を「能瀬くん」。「能瀬くんは大迷惑!Jr.編」を「Jr.編」と呼称します。 掲載雑誌は月刊「Chara」という少女向け雑誌で、強引にカテゴリ分けするならば「少女漫画」の系統に属するでしょう。 こちらにはTS描写は殆ど登場しません。一応学芸会での女装シーンはあるんですが「全身像」すらないという「ランク外」の一品でここだけ取れば「パッパラ隊」にも劣ります。 元々「やおい」「ボーイズラブ」系のお話を編集部としては希求していたらしく、とにかく可愛い「能瀬くん」が可愛らしさを周囲にふりまきまくって周囲があたふたする…というほのぼのしたゆる〜いコメディです。 周囲の人間が能瀬くんの可愛らしさにおどおどしまくるために「大迷惑!」というタイトルになっているんですねえ。 能瀬くんは中学時代に校庭の噴水の水を飲んでしまいます。 |
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何の疑いも無く噴水の水を飲む能瀬くん。この頃は時間厳守の為には暴力も厭わない乱暴なキャラでした(^^;; |
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そして…ここが一番分かりにくいのですが…この時に水棲の妖精(?)たちの「世界」を丸呑みしてしまった、ということらしいんです。 ここに関してはそれほど詳しい説明がある訳でもなく「そういうものなんだ」ということで納得しなくてはなりません。また「Jr.編」においては何の説明も無いので、要注意。 噴水周辺で頻繁に目撃されていたという妖精(?)たちはこの「世界」から出没していたというのです。 この「世界」が具体的にどういうものなのか?物理的な大きさはどの程度のものなのか?何故噴水の中にあったのか?そもそも人間が飲み込むことが出来るのか?飲み込んだことで悪影響は出るのか? といったことを厳密に考えてはいけません。 この漫画の世界観はある意味非常に観念的で、正しく“少女漫画的”なファンタジーなのです。 |
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ちょっと分かりにくいですが、頑張って付いてきてください |
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私は高校時代に文芸部の先輩(女性)が話して聞かせてくれていた自作のストーリーのことを思い出してしまいました。 半ば心象風景を切り取った様にも感じられる国籍不明の世界観は、オカルト雑誌の読者投稿コーナーにある「転生前の世界」すれすれでした。剣と魔法のファンタジーでありながら主人公達の名前は流麗な漢字が多用され、物理的に正しい剣の使い方よりも「思い」による魔法が重要視されます(参考文献:「ぼくの地球を守って」(日渡早紀・白泉社)←超名作!)。ちなみにその先輩は「ドラゴンランス戦記」のレイストリンの熱狂的なファンで、開けても暮れてもレイストリンの素晴らしさ(?)を説かれ続けたものです。 私が読んだ時には正直この陰気臭い上にネズミ男みたいに裏切りまくって行動原理もよく分からん魔法使いのどこがいいのかと思ったんですが、今だと少し理解出来ますね。 何と言うか自分自身の存在が不安で、精神的にも安定していない状態の少女が心象風景から立ち上げた現実感が乏しいファンタジーに熱狂…いや心酔するのってそれはもう甘美な体験ですから。 閑話休題。 ともあれ、「異世界を丸呑みする」という突拍子も無いことをやってしまった能瀬くんの周辺には色々とおかしな存在が跋扈する様になります。 |
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*この髪の長いのが後に生涯の伴侶となるタロ。こんな姿なのに名前はタロ(*^^* |
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彼らは能瀬くんにしか見えず、普通の人間がこの存在を見ようと思ったならば能瀬くんの触れている水を触るか、永続させるならば「血液を飲む」ということをしなくてはなりません。あ、大丈夫ですよ。別にホラー漫画ではないので(^^。 中学から高校に舞台は移り、謎のマッドサイエンティスト(定番!)からも逃れることに成功した能瀬くんは相変わらずの可愛らしさを周囲に振り撒いて「大迷惑」(?)を掛け続けます。 |
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…はい。頑張ります( *´Д`)… 味方選手を下から覗き込んで励ます能瀬くん。そりゃ鼻血も出るっての! 同感です |
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身体の中に入った世界の住人からの要請で「後継者を作る」ことを求められた純真無垢な能瀬くんは「可愛い可愛い」と愛でてくれていた周囲の女子に片っ端から「子供を作って!」と懇願するんですが、流石に結婚となると二の足を踏む彼女達。 そんなこんなで無事に卒業するまでが描かれるんですが、面白いのは終盤に至って遂に結婚を成し遂げるという点。 あくまでも「大恋愛の末」とかでは無く、照れ隠しなのか強引なギャグ調で結婚まで説明するあたりも少女漫画…ってこの辺は寧(むし)ろ少年漫画に近いノリかもしれません。 |
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これが能瀬夫人の冬生さん。冬生さんとの恋愛模様(?)も面白いので是非どうぞ |
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ここで「能瀬くん」は一旦終わります。 無事に高校を卒業することが出来たクラスメートもエピローグではそれぞれ成長した姿で集合し、ハッピーエンドを迎えます。 そして、遂に(個人的)TS漫画の金字塔である「Jr.編」が始まるのです! あの周囲に「大迷惑」を掛けるほどの萌えを振り撒いた能瀬くんにも遂にお子さんが生まれます。「Jr.編」と言うからには一応彼が主人公。 |
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彼が能瀬くんジュニアの龍彦くん。良くも悪くも普通の少年です…最初の内は |
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何しろパパが「異世界を丸呑みしている」という妙な設定なので彼にもその体質が遺伝してしまっており、今は彼の体内に「世界」は存在します。 …え?何のことやら分からない? まあ、確かに分かりにくいです。ここはもう抽象レベルが非常に高い概念の理解が求められる漫画であると割り切ってください。しかも「Jr.編」では「大迷惑」でのこの一連の設定は当たり前の様に引き継がれたことになっており、これといった説明はありません。 実はお恥ずかしい話ですが、真城も「Jr.編」から入った読者なので最初は「訳分からん漫画だな」と思っていました。 ただ、慣れてしまえばこれが当たり前に感じられる様になります。最悪、理解はしていなくても大丈夫。色んなファンタジー系キャラが一杯出てくる学園コメディだと思えばいいんです。 パパにタロがいた様に、龍彦くん(Jr.ね)にもパートナーが出現します。 |
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それも美少女仕様…なのですが、漫画の中の世界全体が萌えに包まれているこの作品は一筋縄では行きません。 男の子だったのです…引かないでぇ(爆) |
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もう一人の重要人物がジュウイ。 とても美形なので一躍学年のアイドルになる彼ですが、極端な女性アレルギーの為に多少の騒動を引き起こしたりも。 色々あって、ジュウイはまた海外へ移住。 |
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小さい頃のジュウイ。成長して戻ってきてからが見もの |
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そして…「Jr.編」の目玉である龍彦くんの体質変化が始まります。 何でも体内の世界が繁殖期を迎える為に「メス化」してしまい、宿主がその影響を大きく受けるらしいんです。 …簡単に言うと、龍彦くんは突発的に性転換する体質になっちゃうのですね。 |
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余りに素晴らしすぎるイメージ。女になるってことはドレスですよ? 風呂場でいきなり発動した後の修羅場。なんだか「う○お○と○」みたいだな |
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この女の子になった後のたっちゃんが可愛いんだこれが! |
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しかし、人一倍“たくましい男”に憧れている龍彦くんが不随意に肉体が完全に性転換してしまう現象に諾々と従うはずもありません。ひたすら荒れまくります。 やっぱこうでないと!嫌がってるのを性転換させるから楽しいんですよ(鬼)。 一応すぐに戻れることも多かったのですが、長引く時は長引くので仕方なく女子の制服に身を包み、そのまんま学校に通わされる羽目にもなっちゃいます。 |
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こ、この嫌がっている感じがもお…(鬼) こ、これは屈辱… |
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はっきり言って中盤から後半にかけての龍彦くんの不随意性転換にまつわる萌え描写は抜粋が不可能なほど凄すぎるんです(;´Д⊂…。 その美貌を活かしてモデル業をやっているタロの職場に付いて行ったら引っ張り込まれて美少女モデルに仕立て上げられてしまい、しょっちゅう性転換するので、「こうなったら物理的に性転換手術を受けるぞ!」(勿論女→男の)と一念発起し、益々美少女モデル業に熱を入れるという壮絶な本末転倒を引き起こしたり…。 その間にも、どんどん美少女力が上がっていく龍彦くんは、パパの少年時代とは違って美少女としての可愛らしさで周囲に迷惑を掛けるようになっていくのでした…という展開。 名場面は全部と言いたいところなのですが、まさか全ページスキャンする訳にもいかないので、中でも「初ブラ」に関する場面をご紹介。 |
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ぐ、ぐああああっ!最早コメント不要っ!! |
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こ、このリアリティと皮膚感覚に訴える描写…女性作家である強みを最大限に活かした正にガード不能攻撃っ!これはたまりません…。 そうこうする内にすっかり美青年に成長したジュウイが帰ってくるんですが、何と美少女状態で街角で運命の出会い! |
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画面左の美少女が龍彦くんです(爆)。間違いなく作者の辻先生は読者を萌え殺す気です |
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とにかくもう全ての場面、コマが見所でどこをスキャンするべきなのか悩む悩む(^^;;。 もうこれは現物をご覧下さいとしか言えません。結局男と女を行ったり来たりする体質のまま龍彦くんは無事に学生時代を乗り切ります。 |
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その勢いで鼻血を出していたら出血多量で死ぬと思います |
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龍彦くん最大の見せ場は高校も卒業し、美青年に成長したところですね。 |
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何故かキスされそうになっている龍彦くん |
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彼らの関係はどうなったのでしょうか?ジュウイは龍彦が突発的に性転換する体質を持つ少年であることを承知の上でその女状態にハートを射止められてしまい、求婚までした間柄です。 彼らは何故この年齢になってすら尚この関係を保っているのか…その理由をスキャンしますが、心臓の弱い方は注意して下さいね。 余りの性転換萌えシチュエーションにショックで心臓が止まるかも知れません。 |
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定番にして真城が大好きな「性転換現象前の前兆」場面。 さあ皆さん!心の準備はよろしいですか! Σ(゜Д゜*)!!ノ、ノセクンダヨネ!? |
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もう、ぐだぐだ説明は要らないですね。 「大迷惑」では封印していた性転換描写を全開にした「Jr.編」において辻先生はもう目一杯ジュニアを可愛らしく描くことに心血を注がれたのです。 ということで、ここまで紹介した絵柄がOKな方は是非どうぞ!以上、「能瀬くんは大迷惑!」でした! …はい、申し訳ございません。 実はこの「Jr.編」をご紹介するに当たって、物凄く大事な要素を敢えて紹介せずにここまで来てしまいました。 そうなんです。 実はこの漫画で最も萌えるキャラは龍彦くんではありません。 というか、「生涯一位」の作品ですよ?こんなもんで終わるはずがないではないですか。 ぶっちゃけた話、ここまでの説明でもこの作品の魅力の半分も解説していません。 では、この「Jr.編」の真の主役とは誰でしょうか? それは「大迷惑」で主役を張っていた能瀬発彦さんこと「能瀬パパ」です(以下「能瀬パパ」と呼称します)。 |
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「父」です。誰が何と言おうと「父」ですから! “奥さん”違和感ねえ…orz。 |
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スキャンした画像はほんの少しでしたが(だってキリが無いんだもん)「大迷惑」で国すら傾けかねない愛嬌を振りまき続けた能瀬パパはそのまんま成長し、父親になった現在でも一向にその美貌は衰えていなかったのでした。 |
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妻のことでのろける夫の図。ご、誤植じゃありませんよ! |
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もしこの能瀬パパが実在したならばどんな感じなのか想像も付かないんですが、相変わらずその美貌と愛嬌で周囲に迷惑をかけまくっているのは全く変わらないのです。 実はこの第二部である「Jr.編」においては正統派(?)TS萌えキャラとされた龍彦と能瀬パパのダブルパンチ状態なのです! では、以下に能瀬パパの大迷惑ぶりのホンの一部をどうぞ。 |
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…これは誤解されるだろ。罪の意識の全く無い能瀬パパが憎い こ、これはキレる!流石にこれはキレるぞ! そもそも娘じゃないし、あなた確かに一応父親だけどさあ… |
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この漫画の真の主役は間違いなく能瀬パパです。 というか、私が言っていた「画期的なビジョン」がこれです。 TS漫画、アニメ、小説等々は「TS」そのものの演出などについては示すことが出来ても、「TS後の人生」についてまで言及したものは殆どありません。 稀にあるのが入れ替わったまま夫婦生活を送るタイプですが、これは従来の「男が社会的にも女に順応する」というモデルを踏襲したに過ぎません。いや、それはそれでいいんだけど「新しく」は無いんです。 「革命の日」「続・革命の日」が決定的に「新し」かったのは、「男性の意識を完全に残したまま、年上の女として年下の可愛い美少年を愛でる」というビジョンを示し、それを無理なく演出していた点が凄かったんです。 物語として良く出来ているのみならず、「自分でもそうなってもいい」と思えるかどうかというのも大事なんです。 ここでの評価ポイントはこの二つ。「新しいビジョン」と「自分がそうなってもいいと思わせてくれるシチュエーション」を示してくれるかどうか?何ですよ。 よく考えてください。能瀬パパは結婚してるんですよ。人間の女性と。 それでいて周囲には付かず離れずタロがいてくれます。 |
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でも実際そうなんだよなあ… |
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私もしばらくしてから気が付いたんですけど、能瀬パパって人類でほぼ一人だけの特殊な立場に身をおいているんです。 そう、実際問題夫と妻の両方がいる存在なのですよ。 奥さんの冬生さんはずっと海外赴任中なので劇中では余り出てきません(らんまのママみたいなもんだと思ってください)。 TSするってのは男が女になるってことだから、例え「続・革命の日」みたいに「理想の異性」を見つけることが出来たとしても、確かにそれはそれで幸せには違いないんだけど男としての幸せは捨てないといけないんですね。 恵はきっと実琴と結婚して「夫」は得ることは出来るけど、「妻」を得ることは出来ません。 それは普通に考えれば当たり前ですよね?両方取るなんで出来る訳がありません。 ところが能瀬パパは愛する妻と、モデルやってる逞(たくま)しい守護精霊をはべらせているんです。 つまり、両方のいいとこ取りをしちゃってるんです。 そもそもあの美貌ですよ。てゆーかTSファンが憧れるのって能瀬パパの境遇でしょ(^^? あれ以上何を求めるんですか。肉体が女じゃない?そんなの小さな問題ですよ。 あれほど画期的だった「続・革命の日」ですら為し得なかった「何一つ失わずに男性としても女性としても幸せを得る」ことに成功しているんです。 こんな考え方があったのか!と目から鱗が落ちまくりですよ! しかもタロとは肉体関係が無い。どうしてもそこが欲しいって人は不満かもしれないけど、真城は基本的にTSものにそっちは求めないので全く問題なしです。 殆ど老けず、美貌を保ったままの男性が精霊と人間の妻を得て幸せに暮らす、というのは私なんかには想像も付かないビジョンです。 それを示してくれた「能瀬くんは大迷惑!Jr.編」はもうぶっちぎりのナンバーワンなんですよ。 |
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46歳になっても中学生みたいな能瀬パパ。現代のエルフですな |
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何がいいって、登場した全ての人間が幸福になるということ。 これまでこちらで紹介する作品では「巻数が多い」ってのはマイナスポイントだったんですが、今回ばかりは例外。だってこれだけあればたっぷり読めるでしょ? 正直、購入する環境に恵まれているとは言いがたいのが残念至極です。 リアルタイムで「Jr.編」を購入していたんですが、「これはパパ編も絶対に買わねば!」と注文したのですが、なんとその時点でパパ編の大半が絶版・品切れ状態。2002年の話です。とある親切な方の協力にてやっと全部揃えることが出来ました。 ところが今はマーケットプレイスがあるので安心!いつもは「いいなあ…」とみっともない嫉妬の感情を書き付けるところなんですけど(爆)、今回は一方的に祝福します。 もうこの為にクレジットカードを契約してでも買うべし! 私はこのコミックスを探す目的で古本屋通いはせずに済んだのですが、入手難易度は…結構高いんじゃないかと思います。5段階評価で「3」(難)くらいかと。 今回の紹介では本当にどのページをスキャンするか悩みまくりました。実際に手にとって読まれた方は下手すると印象そのものが違うほどです。 ほぼラストカットがこちらです。 |
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この時点で能瀬パパは46歳。別に人生の黄昏ではないですけど、かといって前途洋洋たる若者でもありません。もう龍彦くんたちの間に出来る孫の話題を出しつつ物語を収束させるところです。 画面下の方で手を繋いでいるのが若き日の能瀬パパとタロですね。あの楽しかった過去を振り返りつつ、子供たちによる輝かしい未来に思いを馳せる最高のラストシーンです。これ以上何が必要だというのでしょうか。 もしも私が死ぬ前に一作TS漫画を読んでいいと言われたら「能瀬くんは大迷惑!Jr.編」を選びます。 とりあえず駆け足ではありましたが、全体を通してご紹介出来たと思います。 ここに至って、私はこれ以上言葉の必要性を感じません。手に取る環境がある方なら迷うことは無いと思います。2006.12.28.Thu. |
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*11月5日から始まったレビューは2006年については当作にて一段落です。 正直この「能瀬くん」を紹介しちゃったらもう他に無いんじゃないかと思っていたんですが、まだまだ沢山あります。 これは山の頂であるのは間違いないのですが、別の山はまだまだ沢山ありますので。 ということで来年もよろしくお願いいたしますm(_ _)m。よいお年を(^∀^)ノ! |
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