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TS関係のオススメ本09-05


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真城 悠


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月の子
(連載1988年〜、文庫化1998年〜1999年
・全8巻・清水玲子・白泉社文庫)
月の子 (第1巻)
月の子 (第2巻)
月の子 (第3巻)
月の子 (第4巻)
月の子 (第5巻)
月の子 (第6巻)
月の子 (第7巻)
月の子 (第8巻)
月の子-MOON CHILD-
[少女向け:コミックセット]

 恥ずかしながらつい最近まで買ってはいたけども「積ん読」状態になっていたんですが…これが
大変なことになっていました。
 余りの素晴らしさに腰を抜かしそうになり、忙しい生活の真っ只中であるにも関わらず強引に更新しようと心に決めました。

主人公の一人、アート・ガイル。待ち軍人ではありません(えー。
かつて天才と持てはやされたものの、現在は伸び悩んでいるところ。
プライドだけは高いのですぐに手が出る…という設定。

 本編の人間側の主人公はダンサーのアート・ガイル。
 天才ではあるのですが、機会に恵まれず、恵まれても怪我にたたられたりして中々芽が出ません。

 ある日、街中で不思議な少年と偶然に出会うところから運命が回り始めます。

ジミーの初登場の頃。この後はかなり“可愛らしさ”先行のイメージになります(*^^*

 アートは彼を車で轢き掛けて事故を起こし、ダンサー生命が更に危機に瀕することになってしまうのですが、自分の正体の記憶も何も無い無垢な少年の魅力に惹かれて奇妙な同居生活がスタートします。

 この漫画はどこからか「TS漫画らしい」という情報を仕入れて購入したものです。
 直前に地雷(TSっぽいのに実際はそうじゃない作品のこと)に引っかかっていた為に最初の1巻だけ購入して様子見がてら読み始めたのです。

 正直、少女漫画にありがちなとても美しくはあるけども、似たような容貌の登場人物たちが大量に登場して淡々と進んでいくお話だなあ…と思っておりました。

 ニューヨークを舞台にした売れないダンサーと美少年の同居物語…と言われても一般の漫画ファンにそれほど訴求するものでもありません。

 しかし…徐々に
様子がおかしくなってきます

 ジミーと名付けられた美少年は人知れず物を浮かす超能力を使い、
登場人物たちは次々に奇妙な幻覚を見るようになります。

 どうやらこの世界には人間そっくりの別世界からの住人がいるみたいなのですね。
 映画「ゼイリブ」みたいなもんでしょう。

 人間世界に古くから
「人魚姫」として伝えられている伝説は実は彼ら彼女らの生態を模写したもので、おとぎ噺ではなくて事実なのです。
 彼らは数百年のスパンで地球に里帰りし、種族を残す為にここで産卵・生殖行為に及ぶのです。

 …そこのあなた、引きましたか?
 別にこれはノンフィクションの体裁を取って書かれているトンデモ本では無くて完全なフィクションの漫画ですのであんまり気にしないように。

 要するに、ごくごく普通の少女漫画だと思っていたものが
実はSFだったというのが驚きなのですね。
 簡単に調べてみたんですけど、作者の清水玲子先生は恋愛要素のある漫画を描くことが多いのですが、
その大半がSFという実に素晴らしい方だったのですね(*^^*。

 そして…ご想像の通り、記憶を失っていた謎の少年・ジミーもまた「人魚族」の一員だったのです。

 ではここで問題。
 彼らはどの様に生殖するのでしょうか?

 ここで登場するのが、インターネット黎明期から「性転換」で検索すると必ず引っかかるキーワードである「クマノミ」です。
 つまり、種族の中でたった一人が
男性→女性の性転換を起こし、「子供を生む役」をおおせつかることになるのです。

 これが、何の自覚も無い少年の身に降りかかるのだから
実に素晴らしい…じゃなくてさあ大変

とある月夜にぼーっとしていると…






























Σ(゜Д゜)!!



















 「男→女」の変身は今まで星の数ほど見てきましたが、
「小学生くらいの少年 → 大人の美女」というのは実に凶悪なほど美しい構図。
 しかも不随意に変身ですよ!。

 更に畳み掛けるほどいいのは、
「少女漫画風の絶世の美女」で描かれているということなんですね。これ、男の子が変身した姿ですからね!

 たったの2ページしかスキャンしていませんが、これは是非原寸大の漫画を手に取っていただきたいです。
 ため息が出そうなほど
美しい美女の姿になった少年が全裸で(といってもいやらしさは全くなし)おろおろしたり、困って泣き出したりという場面を延々堪能することが出来ます。


 複雑な運命が絡みあう長編なので要約が難しいのですが、「女性化」する候補は複数人が存在しており、それぞれが
その座を巡って権謀術数を繰り広げることになります。

 偶然その座にいるジミーですが、まだまだ完全な女性体に安定している訳ではなく、
しょっちゅう戻ったり変わったりを繰り返しています。
 この、
ジミーの境遇を堪能するのが正に醍醐味ですよ!

 さて、同居人にして居候させてもらっている家主(…という感じでは全くありませんが)のアートも、念願の大役を掴むことが出来ます。

 が、これがどうしたことか
女装してバレリーナとして踊る役だったりするのです。
 アート本人ではありませんが、舞台の内容を解説する下りをご紹介しましょう。


このバレリーナは男性です


こんな具合に途中で「女→男」へと「早変わり」するのが売りなのですね。
ちなみにコマの下で困っているのがジミー。アートはダブルキャストの一人。

 えー、何ですかこの漫画は?
 
私を狂喜させるために描かれているのですか?(違

 さて、一時期くすぶっていたアートはこの舞台の成功で再び名声を博し、祝賀会が開かれるのですが、ここでちょっとしたトラブルが起こります。

 パーティ会場にもぐりこんだジミーですが、

 何と突然女性化してしまったのです!

 この女性化現象は、
同時に全裸になるのがセットという厄介極まりないものです(爆)。
 さてここで問題です。

 もしもあなたが小学生くらいの男の子だったとします。それが
突如絶世の美女に変身し、しかも全裸になって倉庫に引きこもってしまった場合どの様な行動を取りますか?

 ちょっと考えてから次の画面をご覧下さい。





























































 はい、正解は
「その辺にあったドレスを着てパーティ会場に戻る」でした。

 誰か当たった人はいたかな?

 この
TS萌え展開マシンガンの様な連打を読んでいた私の興奮が想像して頂けるでしょうか?
 つーか普通に考えたら無理です。こんなこと。
 私は「おかしなふたり」の取材でリサイクルドレスショップで色々話を聞いたりしたのでドレスの構造などについてそこそこの知識があるんですが、ごく普通の少年がいきなり着られる様なもんじゃございません。

 しかし、
そんなことはどうでもいいのです!

逆に目立ちまくってます。この“自分が美女であるという自覚の無さ”は
この後も数々のトラブルを引き起こします。素晴らしい。

 TS萌えの部分ばかりスキャンしてますが、この後全世界を巻き込んだ熾烈な人魚族対人類の生き残り闘争へと発展していきます。

 「人魚族は人魚族を直接殺すことが出来ない」という枷(かせ)があるため、ジミーを亡き者にして自分の愛する相手を女性化しよう(ジミーが死ねばクマノミと同じく次の優先順位を持つ個体が女性化するため)という目標を持つキャラは、社会的に高い地位にある人間に成り代わって恐ろしい陰謀を企てるのです。

 彼ら人魚族は地球そのものが滅びようと構わないため、人類を死滅させるための大惨事を企てるのですが…それが何と
チェルノブイリ原発なのです!

 「チェルノブイリ」が聖書の「黙示録」に登場する「にがよもぎ」のロシア語発音であるというのは某「な、なんだってー!漫画」で皆さんご存知でしょうが、このアイデアにはやられました。

 何しろ読者の我々はチェルノブイリ原発事故が実際に起こる…いや、起こったことを
既に知っているのです。

美女に変身している状態でジミーは口を聞くことが出来ません。
“人魚姫”伝説がモチーフであるためです(あっちは女性ですが)。

 何度も変身してしまうジミーなのですが、
その姿が余りにも変身前と違うため、アートに自分がジミーであると気が付いて貰えません。
 この辺りのすれ違いによる切ない展開が本編のもう一つの泣かせどころ。

 何しろ読者としては避けようが無いチェルノブイリ事故が最後に待っていることを知っている上に、
「人魚族は人間とは決して結ばれない運命にある」ことを何度も聞かされるのです。

 何度もケンカし、何度も仲直りするアートとジミーですがお互いに深く相手を求めていることに気が付いていくくだりがもお…。
 後半に突入すると常に鼻づまり状態は必至です。


 私は既に「能瀬くんは大迷惑!Jr.編」とかを知ってしまっていたのでその地位は揺るがないのですが、人によっては生涯のベストTS作品と言い切るであろう感動のエンディングが待っています。
 仮にもTSファンを名乗るのならば
絶対に読むべき傑作漫画です。
 それこそ最後まで読んで後悔は絶対にさせません。

 私がやったように、「少しずつ買い足す」とかはまずやらない方が懸命です。
 買うのならば
一気に全巻買って一気に最後まで読むのをオススメします。
 仮に4巻だ5巻だで「とりあえず様子見」などとやってしまった場合、読み終わった瞬間に続きを速攻で注文し、到着するまでの間に
待ちきれずにそこいら中をのた打ち回って苦しむことになりかねません。いや、マジで。


 嗚呼!まとめの一言を書きたいのですが書き方によってはオチを割ってしまうので書きにくい…。
 先ほど「一気に読むこと必至」と書いたのですが、人によっては「これでアンハッピーエンドだったらどうしよう!?」と胸が詰まって
怖くて読めない人もいるかもしれません。
 それほどに登場人物たちに
深く深く感情移入してしまうのです!

 まさか、こんなお化けみたいな傑作が20年近くも前に描かれていたとは思いませんでした。本当に「素晴らしい作品を読めて良かった…」と生きていたことに感謝したくなります。amazonの書評には「完璧な物語」と書かれていますが、確かにそうかも知れません。

 一つだけ付け加えるならば、私はこの作品を読み終わった後、
一週間くらいは“ぽわ〜ん”と幸福感に包まれた状態で過ごすことが出来ましたし、あの幸福を追体験したくて何度も何度も味わっております(*^^*。

 分厚いくて文字の小さな文庫で全8巻と、決してコンパクトではありませんが、この内容に比べたら全く問題になりません。
 読んでいない方は是非!

2007.03.21.Wed.
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