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TS関係のオススメ本10-09


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真城 悠


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世界で一番不思議なあの子
(2007年・森山侑紀・講談社)
世界で一番不思議なあの子 (講談社X文庫 もF- 1 ホワイトハート)
世界で一番不思議なあの子 (講談社X文庫 もF- 1 ホワイトハート)

 出版社のサイトにある紹介文によると以下の通り。裏表紙にある紹介文と同じ文面です。ちょっとだけ読みにくいので改行など工夫してあります。

*****

「男の子? それとも女の子?
水野和也、17歳。一見普通の男子高校生、のはずだったのに!?

「真澄くんは和也くんの婚約者だよ」
 清く正しい男子高校生として、水野和也は父親とふたり慎ましい生活を送っていた。
 ところがある日、突然、意識を失い倒れてしまう。
 そして、目覚めたとき、男のはずの身体はとびきりの美少女になっていて、おまけに婚約者まで現れたから、さあ大変!!
 男の子? それとも女の子? 美少女と美少年をいったりきたりの世界で一番不思議な物語、登場!」

*****

 ここだけ読むと「朝起きたら」パターンで、しかも入れ替わりではなくて「変身」みたいですね。
 ちなみに「父親と(のみ)同居」ってのも最近のパターンなのでしょうか。これは先日紹介したリヴァースキス(レビューはこちら)と同じ家族構成だったりします。

 まあ、この辺りまでは単なる前提条件。
 趣向そのものはもう出尽くしたものなので、後は展開で
どれくらい目新しいものを見せてくれるのか?早速見てみましょう。

 主人公は「水野和也」(みずの・かずや)くん。特に変わった名前ではありません。
 でもって面白いのは、彼は「校内一の美男子」と呼ばれ、女の子には常にキャーキャー言われる立場ということ。


 これは中々珍しい趣向です。
 大体、それだけ
「モテモテ」でありながら「彼女がいない」という訳の分からん設定。む〜ん、これも願望の発露と見ればいいんでしょうか?



 冒頭、
食事中にいきなり倒れる和也くん
 そしてここで簡単に解説できないほどややこしい状況にいきなりぶち込まれてしまいます。
こんなに唐突にいろんなことが起こるのはちょっと久しぶりの読書体験。
 箇条書きにまとめてみます。

 @ 気が付くと枕元で父親と謎の人物が口論している
 A その人物はとても美しい人である
 B 父親はその人物を「43歳の男である」と紹介する
 C 自分の身体に違和感を感じる。というか女になっている
 D その上、
しゃべろうとすると語尾が勝手に「だっちゃ」になってしまう

 …な、なんじゃこりゃあ!

 先日「桜ish」で「口調やモノローグまで勝手に変換されてしまう」というギミックを紹介したばかりなんですが、まるでシンクロにシティみたいに次々に類似の傾向を持つ作品が登場してきたってことなんでしょうか?

 それにしても
「だっちゃ」ってのは…。

 これは
ベタなのか何なのか。何とも判断が付きかねるところです。
 私としては作者がTS描写に照れてしまって、語尾を「女言葉」にすることが出来ずに、「特徴的な語尾」を模索したところ、突飛すぎる「だっちゃ」に落ち着いたんではあるまいかと。
 これが「わ・よ・かしら」系や「ですぅ」「にょ」系では恥ずかしいので、ちょっと
「ありえない」くらいに「変」にしようとしてこうなったと。

 最近の読者には分からないかも知れないので敢えて釈迦に説法みたいな記述をしちゃいますが、「だっちゃ」という特徴的な語尾といえば何と言っても
「うる星やつら」のラムちゃんが我々オタク第二世代には即座に連想されるのです。

 「うる星やつら」といえば、革命的なギャグ漫画であり、アニメ版も含めてその影響はホンの数行で語れるものでは到底無いのですが、
TSファンとしても「神」と呼んで差し支えないほど「該当」描写がてんこもりである作品であることも強調させてください。

 その辺りの解説はこちらで目一杯やっておりますので興味のある方は是非どうぞ。

 ちなみにこの「だっちゃ」という語尾ですが、仙台弁(宮城県)に由来するという説が最も有力だそうです。人工言語ではありますが、幾つかの方言を組み合わせた形となっています。

 私の大好きな漫画「花の慶次」で佐渡を舞台にした場面があるのですが、ここで登場人物たちは老若男女問わず「〜だっちゃ」という語尾で会話します(ちなみに高橋留美子先生によるとラムの語尾は佐渡弁由来ではないそうですが)。


 
話を戻します
 ここで「変身後の狼狽」という「TS物語の醍醐味」部分が
たっぷり味わえます。私はこの部分に力を入れていない物語はちょっと興ざめなんですが、この作品はかなり力が入っていると言えるでしょう。
 個人的ランキングでは僕を殺した女(レビューはこちら)くらいのめりこんで読ませていただきました(^^。
 それにしても、身長がある程度縮むのは必然なんだけど、三十センチ(本文より)も縮むってのは凄いなあ。「頭二つ分」位に相当するんでは?元々かなりの長身だったんでしょうか。


おっぱいの谷間を強調したこの場面のイラスト。流石分かってらっしゃる(^^。

 そして、これまでこの手の「変身もの」で直後の狼狽の描写でどうしても不足気味となっていて結構不満だった
「下腹部の消失感覚」を強調しているのが好感が持てます(^^。
 どうしてもこの所のTSものって「性転換する」ことを「可愛らしくなっちゃうボク」みたいな感じで純粋にメリットの獲得と解釈するもんだから、「おっぱいをゲットしたボク」みたいな描写になりがちでした。
 勿論、「可愛く(美しく)なったボク」もね(*^^*。

 ただ、それは基本的には「女になる」以前の段階として
「男でなくなる」ということであり、それはつまり「男性器を消失する」ということなんです。

 勿論「書くまでもない当たり前のこと」ではありますが、恐らく男性が突如女性になったとしたならば「なかったものがある」違和感よりも、「本来あるべきものがない」感覚の方により違和感を感じると思うんですよ。

 
「衝撃の展開」は更に続き、その「美しい男性」は余りにも突飛なことを次々に口にします

@ 実は
自分は男ではあるが、和也(主人公)の母親である
A 家系的に女性は子供を産むと早世してしまう家系であるため、仕方なく
「繁殖期には男性が一時的に性転換して子供を産む」ことを繰り返してきた
B なので、この一族には「性転換能力」がある
C 和也くんは、その能力を引き継いでおり、不随意に性転換してしまう

 む〜ん、なるほど。そういうことでしたか。
 
…っておい!

 この「主人公が種の保存の為に性が未分化の時期を持つ特殊な種族の末裔である」、という設定としてはフレックス キッド(レビューはこちら)がありました。
 「11人いる!」(レビューはこちら)やファイナルジェンダー―神々の翼に乗って(レビューはこちら)もこの亜種と言えるでしょう。
 生殖能力もある「性転換体質を持つ」一族という意味ではふたば君チェンジ(レビューはこちら)と一緒です。

挿絵ギャラリーその1
敢えて状況の説明はしませんので、詳しくは本文をどうぞ(^^。

 何でもこの「母方」(…と言っていいよね)の家系は代々魅力的な容姿その他を持つ一族なのだそうで、それを受け継いだ息子にして主人公の和也くんもモテモテである…ということみたいですね。
 行方不明かつ
ミステリアスな母から受け継いだ「魅力」を持つ息子ということになりますとランジェリー・パブリシティ(レビューはこちら)に似ていますね。
 そうそう、元・男性の母から性転換体質を受け継ぐという意味ではX+Y(レビューはこちらとも同じです。
 更に、男女問わず(?)突発的性転換体質を受け継いだ一族、という難儀な主人公が登場する当ホームページでも抜群の人気の「ナイトウィザード ヴァリアブルウィッチ(レビューはこちら)なんてのもありましたね。

 そして、「その証拠」とばかりに
目の前で美女に変身してみせる「自称・母」。
 な、何と!可逆能力!?

 そのスタートからてっきり不可逆で引っ張ると思ってたんですが、この「遺伝体質」は可逆であるという事が明らかになってしまいました。む〜ん、
この作者さんは全ての要素をぶちこむ積もりなんでしょうか?

 この
「最終的には可逆の能力として獲得できるが、現時点では不随意に不可逆」という設定としては実はけんぷファーシリーズ(レビューはこちら)があったりします。

 これまでTSモノの「ジャンル分け」の方法を幾つか紹介してきました。
 まずは「性転換する形式」を表す
「変身・入れ替わり・憑依」という区分。

 次に「性転換したり戻ったり出来る」という意味の
「可逆」と、「基本的になったらなりっぱなしで元には戻れないという前提で進むお話」という意味の「不可逆」

挿絵ギャラリーその2
敢えて状況の説明はしませんので、詳しくは本文をどうぞ(^^。

 実はここにあと2つの分け方があります。
 それは
「随意」と「不随意」

 つまり
「なりたくてなる」か「勝手になってしまう」かという違いです。
 これは「ある程度能力を操る」ことも考え方に含めます。

 「ふたば君チェンジ!」や「ヴァリアブルウィッチ」などは、一応前提としては「不随意」(意思とは関係なく勝手に性転換してしまう)のですが、特に前者はかなり自由に操れますのでもう「随意」と考えて構わないでしょう。
 最近登場した「随意変身」ものとしては、これまた当ホームページで大人気の成城紅茶館の事情(レビューはこちら)があります。紅茶を飲むことで美少女に変身です。

 TSカテゴリにおいては
圧倒的に「不随意」変身が人気があります
 どうしても「女の子になってみたい!」という「疑似体験」としては「受け身」であることが求められるのですね。変身したい時に変身出来ず、変身したくない時に変身してしまう。これです。どうせ疑似体験なんだから。

 ちなみに更にもう一つあります。
 何だか分類の話ばかり延々続いてしまっていますが、TSファンならばこれ読んで「退屈だ」とか思わないですよね?(^^


 それが
「他者性転換」ものと「自己性転換もの」
 …と言ってもこんな区分をしているのは私だけかもしれませんが…。

 
TSファン界隈に流通している「TSもの」としてはほぼ100%が「自己性転換」ものです。要するに「変わってしまう」側に主観を置いた物語。そして、随意・不随意、可逆・不可逆に関わり無く原因は超自然的なものであって、誰かに制御されたものではありません。

 これを「人為的に操作してしまう」系のお話は、かなり少ないです。
 
「他人を無理矢理性転換させてしまう」ことが出来る能力が登場するお話…。これはかなりの程度「攻撃的」に物語を引っ張る形式です。

 
「他者性転換」形式がTSファンに人気が無いのは、「どちらに感情移入していいのか分からない」ためでしょう。
 他の男を女に変え、その相手を思うがままに「する側」に感情移入すればいいのか、「他人に無理矢理変えられてしまう」側に感情移入すればいいのかが。

 
「他者性転換」ジャンルの貴重にして究極な商業作品としては「うる星やつら」の幸福押し売り! ピントはずれの青い鳥!!(195話)(レビューはこちら)があります。
 この中では、れっきとした男である面倒終太郎

が、諸星あたるに触れられることで
女性へと性転換させられてしまい

、その上着ている服までをも
下着まで完全に女物のセーラー服に一瞬にして着替えさせられたのみならず、
思いっきりスカートをめくられて、

嬌声を上げさせられる

という
屈辱を与えられます。

 その後も「触ることで男を女に性転換させ、女装までさせる」能力を付与されたあたるは校内を走り回って、男子生徒や男性教師を
無差別に性転換&女装させまくるという暴挙

に及びます。
しかも不可逆

 最後も元に戻れる可能性は示唆するものの
投げっぱなしで終わってしまうというカオスぶりでした。

 
私などは面白くてたまらないのですが、この趣向は本当に人気がありません(^^;;

 実は
TSファンにとっては「不随意」までは許容できても「他人に性転換させられる」まで行ってしまうと許容範囲を越えるのかも知れませんね。

 同時に「他人を性転換させる」のもまた望んでいることではないと。
 それでいて
「随意・可逆」ではヌルすぎるというのですから中々匙(さじ)加減が難しい話です(^^;;。


 話を戻しましょう。
 れっきとした人間でありながら、「一族の血を絶やさない」為に何故かこの一族を産むための出産に耐性の無い
「女性」一般になりかわって男性が性転換して出産を担当する運命が示されることになるのです。

 こ、これは過酷。
 「ふたば君チェンジ!」や「フレックスキッド」では、種族的な体質として不随意に性転換してしまうことを利用しただけのほのぼのコメディだった訳ですが、こちとら「種の保存」が完全に目的そのものです。

挿絵ギャラリーその3
敢えて状況の説明はしませんので、詳しくは本文をどうぞ(^^。

 そう、主人公の和也くんは
性転換した瞬間に「子供を沢山産んでね!」と言い渡されてしまうのです!!

 じょ、
女性は産む機械ですか!?

 タイトルは失念したのですが、惑星間航行をする宇宙船の船内で女性がいなくなった為に人類を存続させるためクルーの一人が女性に性転換させられて出産を担当させられる物語を思い出してしまいました。

 しかし、これは案外上手い舞台設定かもしれません。
 というのは「リヴァースキス」みたいに、「元に戻るため」の条件の締め付けが緩いものではないから。

 ところが、この「世界で一番不思議なあの子」においては「子供を産む」ことそのものが女性化にあたって強要される運命なのです!
 もしも「本当に出産する」ことになるならば、それはそれで大いにドラマチックに出来ますし、どうにかしてそれを回避するにしてもかなり大変です。

 更にこの一族には変身体質を制御する「指輪」なるものがあり、この自称・母はそれを利用しているとのこと。やっぱりコントロール系です。
 しかし、
和也くんにはその指輪が無いので、不随意に性転換する体質に付き合わざるを得ません

 「水晶玉占い」(!)によると、その指輪は「相葉学園」に存在しており、かくして主人公の和也くんは理事長でもある自称・母の麗人(自由に性転換出来る能力を持つ)たる寛成(ひろなり)の導きで「相葉学園」への転入を果たすことになるのでした。
 「女子生徒」として…。

 全265ページの小説なのですが、
ここまで何と32ページ!
 いやあ、正にジェットコースター・ムービー。いやノベルです。

 恐らく「書評本」ならばここまで紹介すれば充分でしょう。「さあ読んでね!」という具合に。

 しかし、こだわり派のブックレビューとしてはどうしてもシチュエーション等々にこだわって語り倒したいのでもう少し続けます(^^。あ、大丈夫。ここまで読んで「読みたい!」と思っていただいたならばこの先は読む必要はないですし、既に読んだ方ならば一緒に娯楽を共有しましょう。

挿絵ギャラリーその4
敢えて状況の説明はしませんので、詳しくは本文をどうぞ(^^。

 転校の初日、
慣れぬスカートの制服にどうしても語尾についてしまう「だっちゃ」を気にしつつ、登校中の車の中で両親(?)と会話するんですが、ここでまた意識が遠くなって気絶してしまう和也くん。
 気が付くと保健室で寝かされています。
 枕元にはスカートの女子制服が畳んであります。

 そう!なんと不随意に和也くんの身体は元の男のものに戻ってしまっていたのですね。
 これは…かなり美味しいシチュエーションではありませんか!

 また「分類」の話になって恐縮なんですが、「変身」の中でも
「ムクムク型」と「覚醒型」があります。

 「ムクムク型」とは「うる星やつら」の原生動物の逆襲!プールサイドは大騒ぎ(レビューはこちらに代表されるもので、読んで字の如く
目の前でムクムクと変わっていくタイプのお話。実はこれ、「華代ちゃん」とかで私が持ち込むまで「少年少女文庫」にも殆ど見られない形式でした。
 まあ、元々現実味が無いTSものにあってもなお
現実味がひとかけらも無いタイプなので(^^。

 やっぱり圧倒的に多いのは「覚醒型」…つまり「朝起きたら」とか「目が覚めたら」とか「気が付くと」…という形式です。
 朝起きたら身体が女のものに性転換していた。目が覚めたら女の子と身体が入れ替わっていた。気が付いたら…。

 可逆ながらほぼ完全に不随意という形式のこの「世界で一番不思議なあの子」は「変身形式」としては「覚醒型」を採用しました。

 …ん?
不随意可逆で覚醒型!?


 そうなんです。彼は意思に反して唐突に気絶し、起きると性別が逆転しているんです。
 もうお分かりですね。
 彼が
女の子の状態で気絶した場合、その場にはミニスカートで太ももも露な女子の制服のみならずパンティやブラジャーなどの下着まで着込んだ「男」が気絶した状態で残されてしまうのです!!

 お、
鬼!これは鬼ですよ!

 逆の場合はまだいいですよ?ブカブカの男子の制服に身を包んだ美少女が気絶していても…まあそこは「男装のスリーピング・ビューティー」ってことで許されるでしょう(そうか?)。
 しかし逆は…例え美男子とはいえ、「女装の気絶男」が出現…。
 こ、
これはキツい。これはキツいですよ!

 私はこれまで数々の「不随意性転換」ものやら「随意(任意)女装」ものを読んできましたけど、
これほど「自分だったら絶対嫌」なシチュエーションを持つものは初めてです。

 確かに「らんま1/2」なども、「女に性転換した状態で女装し、そこでお湯を被って男になってしまい、「男が女装」状態になる」というシチュエーションは頻発し、そこが「笑いどころ」ではありました。
 しかし、「(不随意)変身の際には必ず気絶する」ことから、
ここまで恐ろしいことになってしまっていたのです!

 そもそもこれは「女子生徒」として編入した判断は正しかったのでしょうか?
 和也くんは無事に「指輪」を発見してこの体質を克服することは出来るのでしょうか?
 そして、突如降りかかってきた「一族の子供を作る」運命にどの様に向きあっていくのでしょうか…!?

 ということで流石にストーリー紹介はここまで。
 何と言っても謎の「だっちゃ」口調が厳しいです。
 細かいところを見てみても、「TS小説を書きなれている」作者さまとはちょっと言い難いものがあります。
 そしてAKUMAで少女(レビューはこちら)のわかつき先生みたいに徹底的に研究したという訳でもなさそう。
 しかし、この「TSもののパターンに詳しくない」ことが期せずして数々の
「読んだ事も無い」舞台立てを生み出すことにつながっているのです!

 
逆にある程度詳しいとここまで奇跡みたいなシチュエーションは次々生み出せないでしょう。そんなことが出来たら天才ですよ。

 偉大なる漫画原作者梶原一騎氏は「巨人の星」の連載を始める前に
野球のルールを知らず、一塁がどっち側なのかも分からなかったそうです。

 しょっちゅうある、「スライディングで滑り込んだら砂ぼこりが舞い上がって一瞬見えなくなり、晴れてきてアウトかセーフか分かる」という場面ですが、
草野球の経験が一回でもあればこんなバカなことがありえないことは分かります。

 ですが、
「漫画的」には圧倒的にOKです。
 「知らないなら丸っきり知らない」方がいいんですよ。だってピアノを弾いたことのある人間が「身が軽い」ことを表現するのにピアノの上に飛び乗って足で鍵盤弾くシチュエーション描くか?(「柔道一直線」)

 本当に序盤も序盤、詳しいシチュエーションという意味では最初の50ページにすら到達していない解説でこれですからね。
 これから読まれる読者さまにあってはこの「本編」という楽しみが残されているんですよ。
 もう、全てのシチュエーションについて語りたくて語りたくて仕方が無い(^^。
 でもそれをやってしまうと、それこそ本文を数倍上回る「解説」が出来上がるだけなので涙を呑んでここまでとしましょう。
 いやー、ここまで解説をぐっとこらえたのって「成城紅茶館の事情」以来かも。大抵は数十ページ単位でダイジェスト的に紹介すれば済むんですけど。

 とにかくもう、下手すればこれがTS小説でなかったら途中で投げ出しかねないムチャな設定がてんこもり。
このムチャさと現実味の無さは山田風太郎にも匹敵か!?(言いすぎ)
 本当はここでの「物語の転換の仕方」には私が脚本の学校で習った「やってはならないパターン」で展開しているところもあったりしますが、それも踏まえて楽しみましょう(^^。

 いや、そんな下らん「常識」「セオリー」なんぞクソ喰らえですよ。
 この作者の森山侑紀さんは天才でしょう。いや、天才は言いすぎかでも「奇才」「異才」であるのは間違いありません。

 開始50ページくらいまでは保たれていた「この世の均衡」が崩れ落ちたその先の余りにも凄すぎる展開は、連打される内に読者に軽い酩酊感覚を引き起こします。
これは現実が崩壊する「ディック感覚」に匹敵か!?(だから言いすぎだって)


 いや〜
これは凄いです。
 表紙の感じやら、裏表紙のストーリー紹介に騙されて買った人は腰を抜かすでしょう。いろんな意味で凄すぎる小説です。
 あ、そういう意味で「うる星やつら」に似てるのか。なるほど。

 もう「解説になってない」ほどムチャクチャですが、読んでみてくださいとしか言えません。いやホントに。
つーか何じゃこりゃ(爆)。

 オチも何だか物凄い。今度こそ「うる星やつら」の正当後継者か!?
 これはもう「読むうる星やつら」とか「活字ギャラクシーエンジェル」とでも言うべき「快作」(怪作?)の誕生です。
 怖いもの見たさの勝るチャレンジャーは読むしか!

2007.11.23.Fri.
世界で一番可愛いあの子 (講談社X文庫 もF- 2 ホワイトハート)
世界で一番可愛いあの子 (講談社X文庫 もF- 2 ホワイトハート)
続編も既に出版されています。レビューは後日の予定。
 それにしてもこれほど続編の執筆に無理の無いライトノベルも珍しいかも(^^;;…。
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