TS関係のオススメ本11


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真城 悠


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おと×まほ 2
(2007年・白瀬 修・ソフトバンククリエイティブ)
おと×まほ 2 (GA文庫 し 2-2) (GA文庫 し 2-2)
おと×まほ 2 (GA文庫 し 2-2) (GA文庫 し 2-2)

10-06 「おと×まほ」(レビューはこちら


 少し前に放課後保健室」(レビューはこちらでやったんですが、同じシリーズの続巻を純粋に別のレビューにするのは桜ish ―推定魔法少女 」(レビューはこちら以来です。

 ライトノベルの世界にTS要素を持つ作品が溢れ始めたのが明らかに去年(2007・平成19年)あたりから。
 でもってライトノベルと言えば「同じシリーズが大量に出版される」ものなんですよ。ええ。

 所謂(いわゆる)「ライトノベル」の定義ってのは今もってはっきりしないんですが、この「続巻が大量に発売される」のは明確な特徴の一つでしょう。
 少しヒットした作品ともなればふと気が付くと10巻〜20巻くらいは出ていたりします。いやマジで。

 次から次に沢山の巻数が出続けることで、最新刊のみを目にした人も遡(さかのぼ)って読む人も出てきて、結果として過去の作品にも増刷が掛かり…という「良循環」を形成する分けです。

 この「続巻商売」めいたものはライトノベル以外ですと「架空戦記」シリーズなどに顕著で、明らかに続き物として書かれているのにシリーズ最初の巻に「第1巻」と明記されていないシリーズが結構あります。
 何故こんなことになるかというと、「売れたら2巻以降を出版する」という体制で臨むからなんですね。
 出来たら続巻が出た時点で第二版から「第1巻」表記をして欲しいんだけどなあ…と探すのに苦労した思い出のある人間としては思ったりします。
 あ、そういえばこのおと×まほも第1巻には「1」表記が無いですね。

 そんなこんなで、おと×まほにもめでたく第2巻が発売されました。

 現在続いているTSシリーズは幾つかあって、どれも個性的なのがポイント。 先陣を切った形になるぼくのご主人様!?」(レビューはこちらはかつてないユニークな設定が売り物。挿絵の絵柄も可愛らしいし、メイドという設定も絶妙。

 けんぷファー」(レビューはこちらシリーズは当ホームページでも大人気。パンクな地の文によるロックンロールTS。順調に続巻が出ているのにあんまり紹介出来なくて申し訳ないです。
 でもって思わぬダークホースが桜ish ―推定魔法少女 。「新世紀エヴァンゲリオン」の系譜を継ぐ
セカイ系TS。個人的にはもっとも注目したい力作。
 そしてポルノからの進出という異色作品がAKUMAで少女」(レビューはこちら。18禁コンテンツを含まない作品としてはトップクラスの「肉体派」。

 さて、そんな中にあっておと×まほはどの様な作品なのでしょうか?


 実はある意味
一番の問題作(?)。

 というのも、一応は「少年魔法少女もの」ではあるものの、主人公の白姫彼方(しろひめ・かなた)くんは「変身」しても身体が女性のものになる訳でもなく、
女装する必要も無い(としか思えない)のに女装しているんですね。

 桜ish ―推定魔法少女 みたいに変身してのミッションが世界の存亡に直結する訳でもなく、どこまでも能天気。
 明らかに「お約束」を大前提に進む「おふざけ感覚」は生真面目な読者は怒っちゃうかも?という作品。クールに突き放すけんぷファーシリーズとも、どこまでも真面目で真摯な桜ish ―推定魔法少女 とも違う作風…と言えば察していただけるかと。


 カバー裏のキャッチコピーは
「ドタバタ魔法少女コメディ」とありますが、実際そんな感じ。つーか魔法“少女”ってのは看板に偽りありじゃないかと思うんですが。せいぜい「魔法少女“役”」というところです。

 当ホームページにおいては続巻のレビューの際にも一応前巻を読んでいなくても大丈夫なように構成していますが、
まずは第1巻のレビューをお読みになってからこの続きをお読みいただきます様によろしくお願いいたします

 さて、本編。
 いきなり「ノイズ」と戦うグレイス・チャペルの格好いい場面からスタート。語尾に「〜ですの」がつくキャラなので
のっけから試される読者(爆)。

 ここで設定の再確認。
 なんと、彼方くんを始めとしたこの物語内における
「魔法少女」(チューナー)たちは「ノイズ」を倒すことで「報酬」を得ている、ということが明記されます。
 しかもノイズの「レベル」によってその額が違う…というのですから相変わらず切迫感には乏しいですね(^^;;。

 というか
職業魔法少女ってことですね。
 これは相当にドライな設定です。

 ただ、「襲ってくる怪物と半ば共存している世界」ってのはありはありです。
 そうなると、主人公たちが「性急に世界の存亡を揺るがす訳では無い」怪物と戦う理由をいかに設定し、使って見せるかが問われることになると思います。

 相変わらず
「契約に従って戦わないとペナルティとして女の子にされてしまう」という「ためにする」設定と、女装姿の写真でいじられる彼方くん…という展開。

 レギュラーキャラ(?)ということになるであろうグレイス・チャペルの奮戦ぶりとその過去の生い立ちを紹介したところで何と
新キャラ登場

 この新キャラの名前は幾瀬依(いくせ・より)。落ち着きのある大人の女性チューナー。

 …と、思いきやこの人も
「可愛い女の子好きの女の子」という「マンガ的にエキセントリックな特徴を持つ典型的なライトノベルの登場人物」だったのでした。

 そんなこんなで
抱きつかれたり撫でまわされたりして愛玩される彼方くん
 このお話って儀礼的に「変身」行程は踏むけども、身体は男の子のままなので、純粋に「可愛い男の子」として愛でてもらえている訳で、正直読みながら
「これはショタコン方面の需要も満たそうとしているのかな?」と思ってしまいました(爆)。
 だって「幼い体型」とかそういう描写ばっかりなだもん。

 ちなみにここでちょっと脱線。
 とあるインターネットラジオで声優の清水愛(しみず・あい)さんがこんなコメントをしていたことがありました。
 ちなみに清水さんは「萌え萌えジャパン」というオタク方面のルポルタージュで単独インタビューにも答えている人気アイドル声優のお一人ですが、結構思想的に深い(?)ものをお持ちの「侮れないパーソナリティ」です。

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萌え萌えジャパン 2兆円市場の萌える構造 堀田 純司

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starsオタク的要素のあるひとには
stars「萌え」の世界に興味がある初心者向け
stars著者の執念を感じます
starsインタビューで綴る「萌え」の概略
stars「萌え=初恋論」に思わず頷いてしまった!

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 その清水さんがラジオ番組のこんな読者投稿を受けていました。
 曰く「女の子同士のタッチし合いなどを見ていて羨ましいと思った」という男性読者の声を紹介していたのですが、ここで清水さんは
「これは同性同士のコミュニケーション云々ではなくて、純粋に『女の子を触るのが気持ちいい』ってことだよ」と喝破したのです。

 これは
鋭い指摘です。

 だって、男同士でもそりゃボディタッチ含めたコミュニケーションは存在しますが、それは全く意味が違います。
 
女の子同士が戯れでおっぱいにタッチしたりお尻を撫であったりする様には男同士は、股間を掴んだりは…あんまりしない訳です。ま、中にはしている人もいるかも知れませんが(ウホッ)。

 何故男同士だと美しくない場面が、女の子同士だと美しいか?と言えば、それはもう純粋に「女の子」という存在そのものが美しいからに他なりません(言い切った)。

 ちょっと話が脱線しますが。
 アメリカ合衆国における「ポリティカル・コレクトネス」(政治的正しさ)論争には根深いものがあります。例えば「黒人」を「ブラック・ピープル」と呼ばずに「アフリカン・アメリカン」と言うとか、「チェアマン」(司会者)に「マン」という「男性を表す接尾語が付いているのはおかしい」として「チェアパーソン」に変えさせる、とかそういうのです。

 その中に「映画の登場人物には人種を均等に配置しなくてはならない」とか「自律した意思をもった女性キャラを描かなくてはならない」というのがあったりします。
 人種の問題はともかくも、女性キャラ云々ってのは日本人には良く分からないところです。

 そして、この様にわざわざ「〜しなくてはならない」などという決まりがあるということは、如何(いか)に普段それが守られていないかという証拠でもあります。

 わが国のアニメ・漫画においては例
え「男性視聴者」をメインターゲットに製作されている作品であろうとも女性・女の子が主役になることは全く珍しくありません

 真面目に数えた事が無いので分かりませんが、下手すると新規に放送がスタートするアニメなんて「主役が女性」率は半数に迫るくらいの勢いなんじゃ?と思うほど。

 「萌え」系のアニメを話題にすると表情が曇る御仁もかのスタジオジブリのアニメが「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」など、女性どころか「少女」とか
「幼女」を主人公にしたものばかりであることを指摘すればお分かり頂けるでしょう。

風の谷のナウシカ 風の谷のナウシカ
島本須美 納谷悟郎 松田洋治

天空の城ラピュタ となりのトトロ 魔女の宅急便 もののけ姫 紅の豚

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 なので日本ではそもそも「萌え」系の作品が受け入れられる土壌がある訳です。「魔法のプリンセス ミンキーモモ」などは
当初から「大きなお友達」をある程度視野にいれて製作されていた訳ですが、こういう「特殊なファン」だけではなく、例えば「機動警察パトレイバー」という「リアルロボット」アニメの主人公は泉野明(いずみ・のあ)という女の子であり、しかもそれに特別の理由がありません

 特にだって野明は誰かと恋愛関係になる訳でもないし…「どうせなら女の子がいいよね」くらいの。「女主人公」について書き始めると長くなるのでまた別項で。

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starsロボットアニメはガンダムだけではない!
stars漫画(原作)とはまた一味違います♪
starsコミック版とTV版は別物?
stars最終話のエンディングに涙(ネタバレ気味)
starsやっぱり傑作。

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 かの「ローゼン麻生閣下」のインタビューを掲載することに成功したサブカル雑誌「メカビ」では海外のアニメバイヤーの日本アニメ観や海外事情をうかがわせるインタビューが掲載されているのですが、非常に興味深いのは
大半の読者・視聴者は基本的に作品に求めるのがマッチョで力強い男の主人公である…とのことです。
 それこそシュワルツェネガーとかスタローンみたいな。
 
女子供が主役を張るみたいな軟弱なお話なんぞ馬鹿馬鹿しくて観ていられない訳ですよ。ええ。

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starsもっと軽いアニメ本かと思った
starsローゼン疑惑に答えるというわりには・・・
starsこれはありがちなオタ・萌え陶酔本ではない
stars先生が、

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 わが国のアニメ・漫画を始めとしたフィクションの世界では「女性上位」方針も
ちょっと行き着くところまで行っている感はあります。
 「ガンダムSEED」シリーズで主人公たちの乗る軍艦の艦長はどちらも女性という設定です。これはアメリカあたり…いや、日本以外の国ではちょっと考えにくい事態でしょう。

 こう書くと女性差別みたいですが、決してそんなことはありません。

 軍艦の艦長ってのはひとつ舵取りを間違えれば乗員全員が死んでしまいます。なので、大変な責任が必要。あの感情的も甚(はなは)だしいマリュー艦長に命を預けられますか?
 恐らく女性にしてすらが、あんな小娘同然の「司令官」よりも分別のある50男を選ぶでしょう。これは仕方が無いことです。
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starsポッドなんていらない。
starsなかなか面白い
stars文句無しの移植
stars満足!
starsきたいが多すぎる

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 ともあれ、観客が求めるのが「逞(たくま)しい男」である以上、どうしてもそういう時代に作られたフィクションの中に於いては女性は添え物にならざるを得ません。
 古典ホラーにおいては怪物に追いかけられてきゃーきゃー言っているだけの女優のことは「スクリーム・クイーン」と呼んで揶揄されていました。ここでいう「スクリーム」とは「悲鳴・絶叫」の意味。
 なので、それこそ「スター・ウォーズ」のレイア姫みたいに「男まさり」のヒロインが出てくるとそれだけで話題になったりするんですね。

 そして、「女主人公」となると、それはもう「特別な事」ですから「そうである理由」が必要になります。それこそ女性向け映画であるとか何とか。
 今でこそ映画「エイリアン」はシガニー・ウィーバー演じるエレン・リプリーが主役みたいなことになってますが、あれは数ある登場人物の一人がたまたま生き残った…というのが基本スタンスです。
 なので、今でも「エイリアン」のキャスト表ではダラス艦長を演じたトム・スケリットが必ず一番目に表記されます。ま、そのダラス艦長も「主役」って感じではないので、あくまで「主役はエイリアン」の群像劇というところでしょうが。
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 ところが日本のアニメはどこまでも能天気。

 「パトレイバー」で主役が女の子である理由はどこにもありません。別に遊馬(あすま)であっても構わない訳です。ま、遊馬はパイロットでは無いのですが、それでも野明役は男でもいいでしょう。

 あれがアメリカのアニメだったら、恐らく野明役の男と遊馬との殴り合い含めた友情ものになったことでしょう。うわっ!目に浮かぶ様だ。

 要は「屈託が無い」んです。女性キャラを出したり、あまつさえ少年漫画であってすら主役に女の子を配することに屈託が無い。ある意味一番「男女差別が無い」状態でしょう。

 日本では
「三国志の英雄が女子高生に転生してお色気バトル」みたいな設定だけ聞くと頭がくらくらしそうな作品まであったりするんですが、じゃあアメリカでカスター将軍が鬼女教師に生まれ変わって、「スー女子高」に乗り込んで猛威を振るう企画が通るか?と言えば通らないでしょう。つーか正気を疑われます。多分。

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 それなら女子高生に生まれ変わった愛染葉羽(あいぜん・はわ)ちゃんと葉頓須美(ぱっとん・すみ)ちゃんたち「連合女子高」が愛院呂芽瑠(あいん・ろんめる)ちゃんを使いこなす亜取府火虎(あどるふ・ひとら)率いる「第三女子高」との対立を…って書いててアホらしくなってきました。

 ともあれ、これほど日本が「マッチョイズム」から遠いのは良くも悪くも戦争から遠ざけられたことが大きく影響しているんじゃないかと。
 アメリカは「全面敗戦」した経験が無く、今も現役でバンバン戦争している国ですからそりゃマッチョイズムでしょうよ。
 つまり「男らしいこと」が至上価値のまんまなんですね。

 では日本はどうかというと、是非はあれど表面的には平和なのでマッチョであることが至上価値ではありません。
 それなら何かと言えば「可愛らしいこと」とか「綺麗な事」とかになってくる訳です。

 私はオタク第二世代ですが、中学生の頃とかにはバブル景気でしたから
「女子大生」が至上価値でした。実際にどうなのかはともかく、「女子大生に売れる」ものがもっとも優れたものであり、それを目指すのが企業の目標だった訳です。

 それこそ競馬場だの牛丼屋だのといった「男しか行かない」「オヤジ臭い」場所にオシャレな女性が次々に進出し、凄い勢いで洗練されて行きました。
 一ゲーマーとしてはこの時期古風な「ゲームセンター」が軒並み「若い女性でも入れる」という看板の「アミューズメントセンター」なるものに変貌してしまい、コアなゲーマーの切り捨て政策を行なったことが残念でなりません。
 現在のゲームセンターの隆盛を見るに、長期的な目で見てこの判断は正しかったのは間違いないのですが…ねえ。


 これが90年代に入ると、もう最終形態「女子高生」に到達します。
 ことここに至ると「女子高生である事」による「人生のアドバンテージ」はどうしようもない域に達します。
 何しろこれらは
「努力によって身に付ける」ものではありません

 「若い」「女の子」であることが至上価値なのですから。

 生まれつき男だったりしたらもうアウトだし、仮に女でも女子高生ブームの時点で年齢が過ぎていれば同じくアウトです。

 今では考えられないことですが、
「女子大生ブーム」やそれ以前の時期における「女子高生」なんぞ野暮ったさの象徴であり、何の注目も集めていませんでした。「単なる若い女の子」というだけ。「女子高生」には年齢区分以上の意味は無く、大袈裟に言えば存在しないも同然でした。

 ところが今では
「女子高生である」というだけで勝ち誇った様な権勢ぶり。高校を卒業後も高校の制服に身を包んで繁華街を練り歩く「なんちゃって女子高生」が存在するという一事をもってだけでも「女子高生」の持つ無言のステイタスが伺えるではありませんか。

 しかし連中が何か努力によってその地位を勝ち取ったか?と言えば別に何もやってない訳です。現在日本に生まれた若い女」という「生まれつき」によるものだけなのです。


 しかし、「努力しても得られない」ものであるからこそそれは貴重であり、かけがえの無いものなのです。これは「負け犬の遠吠えで一気に有名になったライターの酒井 順子さんによる「制服概論」(硬い書名ですが、要は「女の制服フェチによる愛の告白」です)に
ねちねち書いてありますので興味のある方はどうぞ(^^。

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制服概論 酒井 順子

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stars嗜好の表明+αで読ませる秀作
stars制服好きもいろいろ・・・
stars軽い気分で読みきって欲しい本
starsこれから街を歩く自分が怖い

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 まあ、グダグダ書いてきましたが要するに
「可愛い女の子であること・可愛い女の子になること」は逞しく・勇ましいことが求められる戦争とも縁遠いわが国に於いては下手すりゃ「最終目標」なのではないか?…ということが言いたいんです。

 だって
これ以上のことってあります?元々我々オタクはリアルな三次元で夢を追うことは諦めて二次元で楽しい妄想に耽(ふけ)る生活を選んだではありませんか(少し大袈裟)。
 その空想の世界では何だって出来るんだから、ならば可愛い女の子になって楽しく過ごすのも悪く無いでしょう。

 
本来は「可愛い女の子」になればそれは「肉体的な弱さ」も併せ持つはずです。それは大袈裟に言えば人類の摂理でした。

 ですが、この作品はまがりなりにも「少年魔法少女もの」です。

 つまり、この世界で「変身」するのは
「怪物を倒せるほど強いのに可愛い少女」という願望で塗り固めたみたいな存在ということなのです。
 そう!
このご都合主義こそが「少年魔法少女」の醍醐味なのですよ!

 今思い出しましたが、アストロ!乙女塾!(レビューはこちらもこの路線ですね。魔法変身はしないけど、女装によってスーパーパワーを得ちゃう。

 多分個別にレビューはしないと思いますけど、顔だけ女に改造され、身体は男のままなのに女装して女子生徒として学園生活を送る…という無理のありすぎる設定の「プリティ・フェイス」とか、小さい頃に女の子にされてそれっきりの元・少年である美少女が活躍する「天使な小生意気」の主人公などは、どちらも外見は美少女ですが
意味無く肉体的にトンでもない強さを誇ります。

プリティフェイス 1 (1)
プリティフェイス 1 (1) 叶 恭弘

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stars期待と違ったものの面白い!
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starsプリティフェイス 第1巻
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天使な小生意気 (1) (少年サンデーコミックス) 西森 博之

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starsおもしろい!
stars美少女
starsラブコメが好きな人読め!
starsめぐにドキっ

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「天使な小生意気」より不良相手に飛び蹴りをかます天使恵(あまつか・めぐみ)さん(元・男)。
幼少の頃に女の子にされ、それ以来そのまま少女として成長。
それ自体は問題ないし、楚々とした美少女になるのもいいんですが、何故こんなに肉体的に強いんでしょうか。
特に説明は無かった様な…。あんまりちゃんと読んでないので分かりませんが。
この他にも校舎の高いところから飛び降りても普通にふわりと地面に降り立てたりさながら「超人」ですよ。

 これまた個別レビューは厳しいでしょうけど、「性転換して強くなる」と言えばこの頃は「シグルイ」の方が有名になった山口 貴由さんの「覚悟のススメ」に登場する葉隠散(はがくれ・はらら)がいますよね。

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覚悟のススメ 2 (2) (チャンピオンREDコミックス) 山口 貴由

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star君には歌がある。
star物語の全貌が明らかになる

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折角なので散(はらら)さんが目立つ2巻の表紙で(^^;;。

 この人は主人公の覚悟のお兄さんなんですが、「強さを求めて性転換」というわけの分からん行動に出ます。
 実はこれは中国の武侠小説に材を取る行動。わが国においては「マスター・アジア」の方が有名な「東方不敗」という達人は、最強を求めて自ら去勢した…というんですね。
 中国の『笑傲江湖』という小説が原作、映画化もされたんですが東方不敗役は美人女優さんが演じるのが定番となっております。

 ほぼ全編に渡って散(はらら)さんのセクシーな肢体を堪能することになるのが「覚悟のススメ」なのですが…萌えるかどうかはともかく、
折角なので晴れ姿だけご紹介


主人公の兄・葉隠散(はがくれ・はらら)さん。
Σ(゜Д゜)…???強さを求めて去勢までは分かるけどこの着こなしっぷりは…?
ちなみにこの場面は勿論結婚式ではありません。どんな場面なのかは読んでのお楽しみ。
色んな意味で凄い漫画です。

 「強さと美貌」の両方を物語内TSで得た例としてはMr.Clice(ミスタークリス)(レビューはこちらが典型な訳ですが、上記3作品などはもう「理屈じゃない」世界ですね。

 このおと×まほというシリーズは「セカイ系」とは違って、世界の存亡が自分のごく近くの世界の事情と直結はしていません。しないはずだったんです。
 ですが、このあたりの展開を読んでいて
「あ、そうではないな」と気が付き始めました。

 要するにこのおと×まほ」の舞台は
世界の構造そのものが「こんな世界だったらいいな」という「願望の世界」のみで構成されている夢の国なんですね。

 
自分は若くて可愛らしい男の子で、「美少女」的な外観でみんなのアイドル。一応魔法少女に変身しなくてはならない大義名分ってことで敵はいるけど、それほど強くない

 中学生の自分に瓜二つの母親のことを考えると彼方くんもまた「いつまでも若い」体質なんだろうなあ…というのは容易に想像が付きます。
永遠に若くて美しい不老不死願望そのものではありませんか。

 「新登場した新魔法少女(チューナー)」たる幾瀬依(いくせ・より)はどんな人でしょうか?

 この「おと×まほ」の世界の中での「変身」が肉体的な変容を伴わないものである以上、女性として登場したこのキャラが「生まれつきの女性」であることは間違いないでしょう。

 では彼女は
女性でありながら、「女性として」何故ここまで過剰なスキンシップをしてくるのか?


 
普通は(?)女性の性的対象は男性です。

 この場合、彼方くんは男性なので一応関係性としてはノーマル(正常、という意味ではなくて「普通とされる」という意味で使ってます)ということになりますが、「美少女として」愛玩されている構図です。つまり、
客観的にみれば「同性愛」の構図になっているのです。ここが重要。

 逆に考えて見ましょう。
 彼方くんからしてみれば、肉体こそ男性のままですが「少女役」です。立ち位置的に言えば完全に女の子です。いや、物語内の要請で「肉体的性転換」という非現実的な状態にすらならず、ナチュラルにフェミニンなのですからある意味本当の女の子よりも女性的な状態です。


 現実世界においても
「女の子好きの女性」はこの頃勢力を伸ばしてきています。妙な言い方ですが。
 前述の清水愛さんは勿論、漫画家の青木光恵さんが「この道」では有名ですね。

女の子が好き
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 彼方くんの就任している「魔法少女」(チューナー)という立場がどの程度までの義務を負うのかは明記されていませんが、別に男性との恋愛関係までは含まれていないでしょう。
 となると、彼方くんは、恰(あたか)もバイト先の制服に身を包む程度の感覚での「変身」しか必要とされていないはずなんです。物語内の都合では。

 あ、はいはい。ちょっくら怪物退治しますよ。ほらっ!変身だっ。
 よーし、怪物倒したんで戻りまーす。店長あがりまーす。みたいな。

 実際、ナイトウィザード ヴァリアブルウィッチ」(レビューはこちらなどがそれに近いですよね。バイト感覚の必要に迫られたお気楽変身。いや、お気楽性転換&女装。
 桜ish ―推定魔法少女 魔法少年マジョーリアン」(レビューはこちらも構図は同じです。

 でも、「書く側の願望」としてはどうでしょうかね?
 ここで引き下がっていいんでしょうか。

 いい訳がありません。だって、「可愛い女の子(の立場)になって色々いいことをしたい」から物語を紡いでいるんですから。

 女の子の可愛らしい色んな衣装を無理矢理着せられる「着せ替え人形」体験はもう既にしていますので、更にそれ以上を体験したいですよね。

 ということは男性と睦(むつ)み合いを?

 まさか!
誰がそんな気色の悪いことを!
 ここは大事なところですがTSファンは別に本当に性転換願望があったり、男性が性的に好きな訳じゃなくてごく普通に可愛い女の子が好きなんですよ。
ちょっと興味のアプローチの入り口が違うだけで。

 「女の子の立場であれこれされたい」のに「男とは嫌」、
だったら相手は女性しか無いでしょ?

 でも、自分自身も女の子になっちゃってるんでは好きなあの子や普通の女の子とは「友達として」スキンシップを取る以上のことは出来ません。基本的に。

 そこで
「お相手」として登場するのが「可愛い女の子好きな女性」なんですよ。これならば都合がいい訳です。このお膳立てならば女の子同士いちゃいちゃしたりされたりしても辻褄は合います

 これまでこのコラムではあんまり書いてこなかったんですが、実は
TS妄想で最もポピュラーなのの一つがこの「女になってレズ」状態なんですね。
 「女性といいことしたい」と「女になってみたい」の両方が満たせるでしょ?まあ、そういうことです。

 もっと言えば出来たらその「可愛い女の子好きな女性」は
同性愛的に好きなんじゃなくて、猫や犬を可愛がるのと同じレベルで「可愛い女の子」が好きだとベストだったりします。

 幾ら
女同士とはいえ、恋愛沙汰となるとやっぱりドロドロしかねないじゃないですか。いや〜都合のいい願望もあったもんだ(爆)。

 そういえばこのおと×まほの顕著な特徴の一つとして、「戦う理由の切迫感の無さ」がありました。
 ちょっとタイトルを失念してしまったのですが、何故かブラックな結末の多い藤子・F・不二夫先生の短編作品で「自分の願望がどこまでも適ってしまう」男の子のお話がありました。
 結局は行き着くところまで行ってしまって何が何だか分からないところまで行ってしまいますんですね。詰まるところ「何でも願いが適う」ってのは余り幸福な状態ではないのかも知れません。

 どうしてこの「おと×まほ」では「敵」がこれほどまでに存在感が無いのか?と不思議だったんですが、要するに
「万が一にも深刻な事態になる敵」を設定したくなかったんじゃないかと。
 要は「いやいやながら(という体で)も女の子になっちゃって、そこで色々楽しむ」ことがやりたいわけで、「敵の存在は二の次」なんですよ!


 もう「手段のためには目的を選ばない」の世界です。
 だって、「もしも殲滅するのに失敗したら世界が滅びる」様な敵を設定しようと思ったら「そういうこと」を考えなくちゃいけないじゃないですか。
 でも、
そういう深刻なこと考えたくないんですよ。あくまでほのぼのまったりと気持ちのいい妄想の世界に酔っていたい訳で、犠牲者が出たり人が傷ついたりはまっぴら御免な訳です。

 とはいえ、その「考えたくないことは考えない」という、「都合のいいことのみで構成された世界」が与える印象としてどうなるかというと、これは前巻でも書いたんですが物語全部が絵空事になっちゃうんですね。

 これはある意味「読者」として作者と同じ立場にシンクロしていないから感じる「違和感」な訳です。とはいえ、これにシンクロしようと思えば…悪い言葉で言えば同じレベルの現実逃避をしていなくてはなりません。

 ぶっちゃけた話、
今の「萌えアニメ」ってのはこういうのばっかり。現実にリンクするものが何も無い話が多いんです。
 もっとも、一概にそれが悪いとも言い切れないと思いますけどね。だって正に「現実逃避」の為にそういう作品ってのは鑑賞する訳だし、本当に100%そんなのばっかりしか読んだり観たりしていないんならばともかく、今のオタクってニュースも人並み以上に観るし、読書量だってかなりのもの。沢山ある趣味の内の一つが「現実にまるでリンクしていない」作品ってだけの話です。


 方向性として、このおと×まほみたいに「現実を見たくない」方向での現実逃避もあれば、桜ish ―推定魔法少女 みたいに「現実に押し潰される」ことによる「破滅への甘美な願望」系の現実逃避もあります。かなり違いますが実は狙いは案外似ているのかも知れません。

 ストーリー解説に戻ります。

 あれこれあって「ひたすら萌え萌えする」新しい魔法少女の状態が
落ち着くのにたっぷり30分掛かる…などという有様に。


ひたすら「可愛い子」を愛でている新キャラさま

 でもってここでも象徴的なお膳立てがありました。
 なんとその正体が
24歳のOLであったことが明かされます。

 そして本人は「24歳である」ことを大いに気にしており、「どうせ老けてるって言いたいんでしょ」とばかりに拗(す)ねまくります。
むしろ外見は幼すぎるくらいで「年相応でない」くらいなのに。

 この頃台頭してきた「アンチエイジング」(抗年齢)商品郡などを見ていても思うんですが、もう
「若いこと」そのものが至上の価値になりつつある。
 本来「若い」というのは「フレッシュ」という側面もありますが「幼い」「未熟」というマイナス面もあるもんです。
 ところが、これらのマイナス面が目立たない社会的な風潮があるために、
一方的に「若い」ことがいいことになってきました。

 24歳ってのは確かにそこからスポーツ選手として大成するなんてことを考えればそりゃ老けていると言えるでしょうけど、社会的に見れば「若造」「ハナタレ小僧」の年齢です。
 しかし、「女子高生である事」などというあやふやな価値観が至上とされる世界では「致命的」なんですね。
 何しろ「女子高生」に代表される「若くて可愛いこと」が最も重要視される価値観の中では、
「女子高生として何かをすること」が大事な訳では無いんです。もしも「〜として何かをする」ことが大事ならば、「何かをすること」のみにフォーカスすればいいんです。それこそ年齢なんて関係ありません。

 しかし、大事なのはそこではない。
 もうひたすら「若いこと」そのものが大事なんですね。

 極論すれば「女子高生である」だけでもう買ったも同然なのですよ。

 若ければ「これから何でも出来る可能性がある」じゃないですか。
 実際にその「何か」をやるかどうかは問題じゃないんです。
 …というか多分何もしないんですよ。でも
「その気になればやれる状態である」ことが大事なんですね。

 上手く言えないんですが、
降ってわいた「三連休」に舞い上がって「何でも出来る!」とウキウキしている内に何にもしないで気がついたら三日目の夕方になっていたみたいな感じ

 「ああ、もうこんなに時間が経っちゃった(老けちゃった)」と落胆はするものの、
ならば時間を戻して(若返って)連休初日の朝に戻ったとしても、「これから何でも出来る!」とウキウキはするものの、多分結局何もしないまま同じく二日目の夕方になっちゃうでしょうね。

 
「実際に何かする」ことよりも「何でも出来る状態である」ことが重要なのですよ。というか「何か」をしてしまえば、「無限の可能性」がある状態から「何かの状態」に帰結しちゃうでしょ?量子力学的に。
 例えそれがどんなに素晴らしいものであれ、「何にでもなれる(可能性がある)」状態には勝てません。

宇宙消失 (創元SF文庫)
宇宙消失 (創元SF文庫) グレッグ イーガン Greg Egan 山岸 真

おすすめ平均
starsハードSFとしてはどうだろう?
stars量子力学の観測問題を題材にしたSFなんだけど、
stars☆★☆★ダウンタウンdx☆★☆★
starsハードSFの真骨頂
stars量子力学的小説

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 言い方を変えれば
「女子高生でない」(若くない)だけでもう負けです。

 平均年齢が恐ろしく低かった頃のモーニング娘。内では皆が
「二十歳(はたち)こえたらもう人生終わったみたいなもんだよね」などと嘯(うそぶ)いていたんだとか。

 ムカつく話ですが(爆)、恥ずかしながら私も幼い時には似たようなことを考えていたんです。なので人気絶頂のアイドルだった彼女達がそう思ってもなんの不思議もありません。何だかそう言い合っている光景が目に浮かびそうです。

 私が「アンチエイジング」に感じる違和感もこの辺にあるでしょう。
 ある程度まで年齢を止めることが出来たり、多少は肉体的に若返ることが出来たとしても、
「それで何をやりたい」というビジョンが全く見えないんですよね。というかそんなものは何も無い。ただ「若くて何でも出来る状態になる」ことが目的であると。
 なるほどそう考えればいかにも中身がカラッポな「アンチエイジング」が持て囃されるのも納得です。

 話を戻しますが、なんと現在24歳のこのチューナーさんは
19歳の時から今の任務に就いているとのこと。つまり劇中の時間で5年です。

 前巻で彼方くんが魔法少女に就任する
最低でも5年前からこの「ノイズ退治」は行なわれていた訳で、その間にも人類の日常生活にはほぼ支障が無かった…ということであります。

 う〜ん、やっぱりノイズと戦うことの必然性がそれほど高く無いみたいですね。
主人公の彼方くんも大勢いるチューナーの内の一人、ワンオブゼブでしか無いんだから。彼方くんがいなくても何とかやっていけるでしょう。

 でもこれってある意味興味深いです。
 テレビアニメ「機動戦士ガンダム」はかつてない「リアルな戦争」という概念を持ち込んだことで歴史的な傑作とされています。
 が、「リアル」路線の構想を推し進めれば推し進めるほど「主人公の立ち位置」は相対的に低くならざるを得ません。たった一機の試作機の存在が戦局を覆す訳がありませんからね。

1/144 HG ガンダムヴァーチェ ~ガンダム00(ダブルオー)シリーズ~
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おすすめ平均
stars00では一番組みやすく、丈夫
starsGNバズーカの破壊力
starsかなり良いです(°д°;)
starsプラモでナドレは出ないね多分
starsここまでのOOHGでは最高の出来かと

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 そりゃ「たった一台のスーパーマシンが人類を救う」展開にしようと思えば出来ますよ。でも
それは「マジンガーZ」「ゲッターロボ」の時代に逆戻りするってことに他なりません。

 アニメ「機動戦士ガンダム」は一年戦争と俗称される戦争の最後の三ヶ月を描くアニメですが、
恐らくアムロがガンダムに乗らなくても戦争は連邦軍の勝利に終わったでしょう。最終的に連邦軍の勝因はその物量でジオン軍を押し潰したことです。

 最終決戦の地となったア・バオア・クーでアムロの乗るガンダムは十数機の敵モビルスーツを撃破はしていますが、戦局に与えた影響は些細なものでしかありません。むしろキシリア・ザビを射殺してザビ家の命脈を絶ったシャアの方が功績が大きいくらいです。
 この冷めた視点が「ニュータイプ」などという絵空事を主張しつつもちゃんと「地に足の付いた」物語として消費される土台となっていたと思います。
 それが後続の作品では無理矢理主人公達の相対的な価値を高めようとするもんだから凄い勢いで観念的になっちゃう。

 「幻の第三の波」である「超時空要塞マクロス」においては主人公の戦局への貢献度は更に低くなり、
最終決戦が行なわれている真っ最中に彼女といちゃいちゃしているのにちゃんとハッピーエンドになるんですから凄い(TV版。少し表現を誇張しています)。

 要するに桜ish ―推定魔法少女 が相対的に言えば世界存亡の局面に対する主人公の貢献度がまだまだ高い「ガンダム」や「エヴァ」だとするならば、
「自分のあずかり知らないどこかでそういうことが行なわれているらしい」という暢気(のんき)でかつ無責任なのが「おと×まほ」であって、「ガンダム」に対する「マクロス」みたいなもんなんじゃないかと。

 大袈裟に言えば「スーパーパワー」を持ちながらも、その「責任」は負っていないというご都合主義も極まる素晴らしいお話(爆)。でも、願望そのものでしょ?

 その後クラスメートの委員長と一緒に遊園地デートするところが描かれるんですが、常に母親にちょっかい出されている彼方くんは妙に女の子慣れしているところを見せます。
 でもって今度は
遊園地内イベントでの女装強要…と相変わらずです(^^。


 ただ、今回は思いのほか強かったノイズが出現し、幾瀬依(いくせ・より)は
病院送りにされてしまいます。そこで気になるのは「チューナーのスポンサー」なる存在が入院費を出してくれている、というちょっとリアルな設定が出てくること。

 む〜ん、これは
現実味皆無のラノベが徐々に生臭くなっていく「ありがち展開」の端緒かも知れません


 現実にリンクすることが殆ど感じられなかった各種設定にも、物語が進んで行くにつれて自然に要請されるということなのか
徐々に「裏設定」めいたものが明らかになりつつあります。

 前回は丸っきり強さが感じられず、
「ご近所トラブルの処理」レベルだった「ノイズ」も今回はかなりの強敵が出現します。
 この闘いのラストについて書きたいことはありますが、ネタバレになるので第3巻のレビューに回します。

 ともあれ、能天気一色だった物語に徐々にそれぞれの思惑が暗躍する展開にシフトして来ます。
 特に、
最後で明かされる「黒幕」の正体には読者全員がひっくり返って驚くことでしょう。私もかなり驚きました。あの一行でこれまで読んできた2冊全ての展開の意味が違ってしまいます。慌てて全編読み直しに掛かった読者もいるんじゃないかな。

 …こりゃ、
これから化けるかも知れません。

 登場人物が少なく、主人公側が実質1人しかいなかった1巻に比べてグレイス・チャペルこと樋野留真(ひの・るま)と「魔法少女」ならぬ「魔法お姉さん」幾瀬依(いくせ・より)も登場。それぞれに「深読み」を許す設定と動機を持ちます。

 相変わらずエキセントリックな展開は目立つんですが、1巻に比べても「地に足のつかなさ」が激減し、シリアス度合いが上がってきています。
 でも、イメージシーンで死屍累々の惨劇になったりはもちろんしないし、トラウマを掘り起こされて精神的に痛めつけられたりもしません。
 あるんですよライトノベルの中には実際に残虐な事態になっちゃったりするお話が。でもそうはならなかった。その要因はここまで書いてきた通りです。
 加速度的にシリアス度合いを増している本作ですが、恐らく表現としてそこまではいかないでしょう。安心して読むことが出来ます。

 まだ巻数が控え目なので今の内に抑えておくのがいいかも知れません。
 こりゃまた期待のシリーズが登場ってところですね。これからが楽しみです。

2008.01.10.Sun.
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