TS関係のオススメ本11-08


*アップロードする際に在庫を確認してから行ってはいますが、なにぶん古い本が多い為、時間が経過することで在庫切れになる場合もございますのでご了承下さい。
真城 悠


・スポンサーサイトもご覧ください。

ナイトウィザード
ヴァリアブルウィッチ 2巻

(2007年・猫猫 猫・エンターブレイン)
ナイトウィザードヴァリアブルウィッチ 2巻 (2) (マジキューコミックス)
ナイトウィザードヴァリアブルウィッチ 2巻 (2) (マジキューコミックス)

ナイトウィザード ヴァリアブルウィッチ 1巻」(レビューはこちら


 当コラムで取り上げる作品で人気がある作品ということになりますと、一定の傾向があります。
 小説よりは漫画の方が人気ですね。
 ま、それはそうでしょう。見た目に分かりやすいですしね。

 結局「小説」によるTSものとなると、「ディティール描写」まで文字で説明することになるのでどうしても回りくどくなったりします。その点、ビジュアルで直接的にアピール出来る「漫画」は強いです。

 では、「オートマティックに目に飛び込んでくる」アニメとなるとどうか?
 これが当方で取り上げたアニメがそれほど数がある訳では無いのですが
案外人気がありません

 理由はハッキリしていて、どうしても
その価格から楽に入手するという訳にはいかないからです。

 漫画・小説ならば高くても1,000円程度。数百円で入手できるのですが、アニメは一本数千円。少し古いシリーズものとなると、万単位の「BOX」でないと鑑賞出来なかったりもします。これでは気軽に観るという訳には行きません。

 ちなみに私は劇中で「イエロー」というキャラが性転換する、という風に
“読めないことも無い”記述がアニメ雑誌になされていたことをきっかけに「機甲創世記モスピーダ」の全話LD−BOXを購入したことがあります。
機甲創世記モスピーダ Complete BOX
機甲創世記モスピーダ Complete BOX
これはDVD−BOX。私が購入したのはLD−BOXでした。当時は4万円近くしたのに今では全話入って1万円を切るってんだからいい時代になったものです。つーか恐ろしくお買い得ですな…。

 学生の身分で月に1万円の小遣いをコツコツ貯めて3万8千円の商品を買ったのですから、当時の自分の情熱は我ながら呆れるものがあります。
 え?中身はどうだったかって?

 …男女キャストによる演じ分けで「ステージ上では女性ボーカルっぽいキャラ」というだけで、別に性転換とかではありませんでした…orz。
 それはそれで、絵が萌え(当時はそんな言葉はありませんが)られればいいんですが、作画が辛い辛い。

 元々田舎者の私は、「存在しているという情報のみ知っている」幻のアニメではあったのでその意味では楽しませてもらいました。
 眠気をこらえながら全話鑑賞した後、友人に格安で売り飛ばしてしまったのですが。

 話を戻しましょう。TS作品のジャンルについて。
 小説も、現在のライトノベルみたいに魅力的なビジュアルがあればかなり好評ではありますが、やはり漫画のキャッチーさには適いません。

 では、漫画なら何でもいいかといえば勿論そんなことは無くて、ウチで紹介して好評ということになると
「適度にマイナー」「新しい」ことがポイントです。

 
この頃のオタクは本当に「TS的コンテンツ」を普通に楽しむ様になってきました。

 「にゅーあきばどっとこむ」や「アキバblog」何かではちょっと話題になった「女装少年」ものやら、性転換が登場する作品は大抵一項立てて特集が組んでもらえますし、「ニコニコ動画」発のブームとして「涼宮ハルヒの憂鬱」の登場人物の性別を逆転させた「キョン子」シリーズもあります。

 掲示板でも書いたんですが、私がブログでやっている「キョンバニー」シリーズの方が時期的には遥かに早いんですよ(;´Д⊂・・・。
 ま、あの
「女の子もの」は微妙にTSファンのツボからずれるし、その「ずれ方」は非常に興味深くかつ大量の説明を要するので別項で取り上げたいところではあります。

 ともあれ、余りにそうしたメディアに先に大々的に取り上げられてしまうと、ウチみたいなマイナージャンルに特化したホームページでは情勢が厳しくなります。
 「成城紅茶館の事情」なんて正にそうで、発売直後にはあちこちのオタク系ホームページ・ブログに見せ場のスキャンを大量に使用しての紹介記事が溢れました。
成城紅茶館の事情 (ヤングキングコミックス)
成城紅茶館の事情 (ヤングキングコミックス)
(レビューはこちら

 正直、大手さんにそういうことをされるとマイナージャンルの側としては苦しいんですが(爆)、ともあれ流行と関係なく紹介はしていきます。

 ウチのホームページ経由で売れた作品で
歴代ぶっちぎりの第一位は文句なく3レボリューション」(レビューはこちらです。
3レボリューション 1 (1) (あすかコミックス)
3レボリューション 1 (1) (あすかコミックス) はるえるぽん

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 それに次ぐのが巻数が若い頃のけんぷファー」(レビューはこちら

 そして、今
現在そのランキングに猛追を掛けているのがこのナイトウィザード ヴァリアブルウィッチ 」なんです!…すいません。前置き長くて。

ナイトウィザード ヴァリアブルウィッチ 1巻 (マジキューコミックス)
ナイトウィザード ヴァリアブルウィッチ 1巻 (マジキューコミックス)
(レビューはこちら

 この3タイトルに共通しているのが
「適度にマイナー」「新しい」ということなんですね。

 もっと言うと
「短い」ということもあるかもしれません。

 ウチでらんま1/2」(レビューはこちら)を紹介した時には流石にいまさら「らんま」でも無いだろということで期待はしていなかったのですが、クリックすら殆ど無かったのには驚きました。

 
月の子」(レビューはこちらなんて本当にオススメの大傑作なんですが、
文庫で全8巻という長さが壁になってしまっています。

 その点、3レボリューション」(レビューはこちらとか革命の日」 「続・革命の日」(レビューはこちら)とかは薦めやすいんです。全2巻だし、最近まで新品の在庫があったのでオンライン書店ならば入手は容易。
 幾らオススメだからといって能瀬くんは大迷惑」 「能瀬くんは大迷惑Jr.編」(レビューはこちらなんて絶版の上全10巻ですからね。

 この
ナイトウィザード ヴァリアブルウィッチ (レビューはこちらは突如登場した全1巻の新発売コミック。しかも(失礼ながら)マイナー。…つまり、それまで余り知られていなかったものを当ホームページでご紹介出来た形です。
 そして、勿論
内容もTSファンのハートをがっちり鷲づかみにしていたのです(*^^*。

 詳しくは上記リンクからのレビューを読んで頂くとして、第二巻の冒頭の人物紹介には
トンでもないことがさらりと書いてあって度肝を抜いてくれます。


 
「ドキドキすると女の子に変身してしまう体質」などという、ちょっと大変な体質をまるで血液型か何かみたいにサラリと書いてあります。

 しかも、
変身後の方がメインビジュアル

 いや、もうこの手の作品が全く珍しくなくなっているのは2〜3年前から分かっているんですが、たった一冊の「該当作」探して何ヶ月も古本屋めぐりをした世代なので本当に隔世の感だなあ…と。


 「主人公の男の子が女の子に性転換する」お話と一言で言ってもそりゃもう千差万別であることは何度も書いてきました。
 この「ナイトウィザード・ヴァリアブルウィッチ」は中でも「可逆・不随意変身」と呼ばれるタイプ。
 
「不随意変身」なので、基本的には変身を自分では制御出来ません。つまり、「なりたくも無いのに勝手に身体が女の子に性転換してしまう」訳ですね。


着々と陰謀が進んでいる舞台裏。第1巻で割合あっさりやっつけた「敵」が引き続き登場です。

 しかし、「戻る」事に関してはそれほど不都合は無さそう。

 これまでは「コメディ路線の可逆性転換」ものというのは、
「ライトなセクシャルコメディ」みたいな路線に落ち着くことが大半でした。
 らんま1/2」(レビューはこちら)、ふたば君チェンジ」(レビューはこちらなんかが典型ですね。

 というのは「可逆」なので
「どうやって戻ろうか?」という路線が取れないんです。
 一応「らんま」には
「変身体質を何時(いつ)の日か直したい」という大きなテーマはあったんですが、これが「不可逆」系のそれに比べて切実さにおいて比較できないものであるのは言うまでも無いでしょう。

 そんな中「可逆」ジャンルに新たなトレンドが現れます。
 それが「少年魔法少女」路線でした。


 上記のリンクも「一部」というべきもので、
いかにこの路線が「ライトなTS作品」の嗜好に合致しているかが如実に伺えます。

 まず、「女の子に変身して毎度現れる敵を倒す」役割を背負っているために、
「変身すること」に必然性が生まれるのが最大の利点。

 また、アストロ!乙女塾!(レビューはこちらMr.Clice」(ミスタークリス)(レビューはこちら)に見られる様に、
「超人化」願望も同時に満たすんですね。

 「女の子になると綺麗になる」というメリットだけではなくて「強くなる」んですよ。
 というか、「強くなるには女の子に変身しなくてはならない」
という「設定」なので、劇中では嫌々ながらも「敵を倒す」ためには性転換せざるを得ない…というわけ。

 基本的には「(望んでないのに)男が女にならなくてはならない」という形式を取らなくてはならないにも関わらず、
「随意・可逆」(自分の意思で女になることが出来、いつでも戻れる)ということになると、では一体何の為に変身するのか?そもそも嫌がってないじゃん…という話になってしまいます。

 個人的には「個人的趣向」を満たすために、あたかも「女装趣味」であるかのごとく「変身体質」を嗜好するお話があってもいいとは思いますが(18禁系のTS作品には稀にあります)、それでは
「健全な娯楽作」にはなりにくくなってしまいます。
 「渋い短編」とか、「考えさせる社会派作品」みたいなのならばありなんですけど、その場合「下(しも)の問題」は避けて通れないですし、少なくともウチのホームページにいらっしゃってくださっているファンが喜ぶものにはならないでしょう。


 話を戻しますと、この「少年魔法少女」は「変身ヒーロー」の側面を併せ持ちます。
 「ウルトラマン」とか「仮面ライダー」の世界ですね。

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 「女の子が変身して悪を倒す」という点では、「キューティーハニー」やら、何と言っても「美少女戦士セーラームーン」という「先駆け」がありました。

 この点では
「いかに周囲にバレない様にするか!?」というサスペンスも楽しめる訳です。
 というかこの辺りの構図はまんま「伝統的」な変身ヒーローの文法を引き継いでいると言えるでしょう。


「本人」に対して変身後の姿を熱く語る登場人物。「変身ヒーロー」作品ではお馴染みの構図です。

 更にここに「TSもの」…つまりは、「男の子が女の子に性転換する」…物語の文法も加わります。

 ポイントは
「バレると恥ずかしい」と言う点と、「女の子に接近出来る」と言うところでしょう。

 「バレると恥ずかしい」に関しては説明するまでも無いでしょう。
 「変身ヒーロー」に関しては、「正体を秘匿しなくてはならない」という使命があったりするのですが、それにしても別に恥ずかしくは無い訳です。

 ところが「TS作品」…「少年魔法少女もの」…に関しては「バレる」ということは、
「女になっちゃう」ことがバレるということであり、同時に(好むと好まざるとに関わらず)日常的に女装していることが「バレる」ということも意味します。


「らんま1/2」より。女物の下着を着た状態で元に戻ったらんま。

 これは思いのほか重大なことです。
 わが国では日々「そっち系」の方々がテレビ画面を賑わしていて、表面的にはそれほど極端な拒否反応は無いのですが、西洋においてはこの辺りはかなり倫理的に厳しいみたいです。

 彼が彼女になったわけ」(レビューはこちら)において、終盤に遂に「望まざる性転換手術を人違いで受けさせられ、美女となってしまった男性」がマスコミに囲まれるシチュエーションが描かれます。

彼が彼女になったわけ (角川文庫)
彼が彼女になったわけ (角川文庫)

 これがまあキツいキツい。
 「男とヤったのか!?」だの「○○○○してんのか!?」とかもう、下世話な好奇心丸出しですよ。
 正直、「こういう立場になったならばこんな立場に立たされるのか!」と背筋が冷たくなったものです。

 でも、これはある意味当たり前ですよね。
 もしも「らんま」が実在したとしたら、みんな
そういうことは知りたくてたまらないですよね?

 「らんま」はやっぱりこの辺が上手い!
 私が最初に読んだ時に背筋がゾクッ!としたのが以下の描写。


Σ(゜Д゜)!!

 この年…恐らく女性経験も無いであろう…にして
「女になった自分の身体は見慣れた」とのたまうこの境遇!!

 もうゾクゾクしましたね。
 「見慣れた」ってことは、当然「女の身体になってしまった自分の身体の感触」も含めて総合的に「慣れた」ということな訳だから…。

 この「押し付けられた」境遇(意思に反して女の子に性転換してしまう体質)に
耐え忍んで、必死に平静を装う男の子…っていいじゃないですか。
 「らんま」だって
本当は慣れている訳が無いんです。
 本当に慣れていたらこんなこと言わないでしょ。この場面ではあかねにあてこする為に敢えて言ってるに決まっているんですよ。


 話がいい具合に暴走しまくっておりますが(爆)、この「女の子になってしまう」体質は、こと「正体を隠す」要素が要請されるならば必然的に「女装」も抱き合わせる必要があります。

 変身後の姿で長時間活動し、変身前の姿を悟られない様にするには「着替え」は必須でしょう。常に男装やらユニセックスな格好ばかりでは何かと剣呑なので…やっぱり「女装」が穏当でしょうなあ。

 ここで面白いのはこの「ナイトウィザードヴァリアブルウィッチ」は、「美少女戦士セーラームーン」に代表される「変身美少女」とは違って、
「変身するのは肉体だけ」であるというと。

 つまり、
彼ら「変身美少女もやらん(女の身体になった後の)変身後の女物への着替え」を強要される破目になる訳です。


自主的な特訓の為に変身して水着姿で登場する竜之介。Σ(゜Д゜)…。
制服とかならば、上から羽織るだけということも可能ですが、水着となると一度全裸にならなくてはならないということに…。りゅ、竜之介ぇえええっ!

 この「性転換」と「女装」ってセットな様でセットでないことが少なくありません。
 言うまでも無く「女装」だけならば
フィクションに頼らずとも「物理的」に可能です。
 なので、「性転換」を伴わない「女装もの」もジャンルとして一大勢力を誇ります。

 フィクションの醍醐味は「現実にはありえないこと」が起こせるということなので、一番のポイントはやっぱり「性転換(変身)」部分ですよね。

 現実に癒し系TS漫画の代表作としてオススメしたいフレックス キッド」(レビューはこちらは第一巻ではなんと一度も「女装」はしていません。

 「性転換」は言ってみれば「超常現象」であり、「(超)自然現象」なのである意味抗いようが無いと「擁護」が出来る訳ですが、「女装」ということになると明らかに「随意」…つまり、どんな形であれ
本人が「女物を着る」ことを受け入れて、女物に袖を通した…ということに他ならないんです。
 着替えまでオートマティックにやってしまう「不随意・女装」に分類される作品ならばこの問題は回避されることになるのですが、前にも書いた通り「強制女装」というのはライトなTSコメディジャンルとしては成立しにくいんです(18禁ならありあり)。存在はしても「論理的に無理がある」ことが少なくない。

 つまり、
「性転換」と「(性転換の先の)女装」の間には大きな壁があると言える訳です。

 猫猫 猫先生は
その辺りにかなり敏感に気付いておいでで、この辺の説明にかなりの描写を裂いています。


「女の身体になってしまう」ことは体質なので致し方ないにしても、その「都度律儀にちゃんと女装する」ことに突っ込まれる竜之介。「変身は嫌で着替えはいい」というのはおかしいだろ、というのは正に的確な指摘。
この「男の服のままってわけにもいかないし…」というのが誰の台詞なのかがはっきりしないのですが、「男に変身してしまう女の子」ならば着替えが必要なのはわかりますが、この場合は我慢出来る範囲でしょう。つまり、無理があると(*^^*。

 前巻も単発のTSものとしてかなりオススメだったんですが、
この繊細さは本当に素晴らしいです。
 「女装に抵抗が無い」(そりゃな)女性作家の場合、この辺りのデリカシーの描写はおざなりになりがちなのですが、本当に「かゆいところに手が届く」感じです。

 ちなみに、前のレビューに思わず書いてしまったのですが、「常に女物を持ち歩いているのか?」という疑惑にもきっちり答えてくれています。


「ナイトウィザード」シリーズの設定にこういうのがあるそうです。ファンなら分かるこういう描写をきっちりしてくださるのがありがたいですね。何しろ「ナイトウィザード」ファンを増やすのが目的の漫画のはずですからね!

 個人的にはTSものはストーリーよりも
ディティールに神は宿る率が高いと思ってますので、正にジャストフィット!
 これは完全に私見ですけども、ストーリーテリングに重きを置いたTS作品は、物語としての完成度は上がりますが、「TS萌えポイント」は下がることが少なくありません。
 ひたすらディティールを描くことに特化した作品は「物語の完成度」は犠牲になってもTSファンとしてはポイントが高いものになったり…。

 ちなみに竜之介の口から「申し開き」を聞くことが出来ます(*^^*。


ま、そうではあるんですが…。ちなみにこの一族の男性は代々「女への変身体質」を持って生まれていますので、伝えられている「コツ」とかがあるのかも。父親から息子に「いいか、咄嗟にブラジャーを付けるコツはな…」とか「ストッキングで電線しないコツ」とか「パンツの見えないミニスカートの扱い方」とか(嫌すぎる)。でも、全く無いのも不自然でしょう。TSファンは行間を読ませれば朝まで可能です(何の自慢か)。

 うん、理屈は通っています。「変身体質が嫌なこと」への理屈は。

 通ってますが、
女装に積極的なことの説明には全くなってません(爆)

 あ、これ別に糾弾してる訳じゃないですので誤解なきよう(*^^*;;。
 
楽しくツッコミを入れてるってことですから。
 「ライトなTSエンターテインメント」においては、女装・性転換に対する「痛し痒し」「嬉し恥ずかし」みたいな感触こそが読みどころですので(*^^*。

 ちなみに、今回も「敵との戦い」も描かれますが、
TS的には割りとどうでもいいので適当に済ませときます。


えらくスケールが大きな話です。短期のオリジナル作品なので、実際にやりかねない…(アニメのスピンアウトだったり、長期連載だったりすると、「どうせそんな大規模災害なんて起こらない」と分かっちゃってたりします)のがポイント。
悪役が悪そうに見えるためには「残酷なところ」も見せないといけないんですが、「やりすぎ」ると後味そのものが悪くなってしまうのが難しいです。かといって「ご近所トラブル」程度の悪役では切迫感が無いし…。
大傑作OAV「R.O.D-READ OR DIE-」もラストの「自殺強要電波」の「威力」の描写が余りにもエグいのでかなりトラウマになっちゃってます…orz…。お陰で「こんなのが全世界にばら撒かれたらえらいことだ!」という切迫感はかなり出たんですが…

 もう一つの「少年変身美少女ヒーロー」もののポイントである「女の子に接近出来る」という点もバッチリ押さえられています。

 俗に「物語の基本とは何か?」という質問があります。
 これに関しての「定番」の答えは時代によって色々ありますが、典型的なものの一つは「ボーイ・ミーツ・ガール」です。

『ボーイ・ミーツ・ガール(Boy Meets Girl)とは、物語の類型のひとつ。直訳すると「少年が少女に会う」。つまり、少年が少女に出会い恋に落ちる話。

転じて、主人公の一人の少年が一人のわけありの少女と出会い、少女の近辺で起こる騒動に巻き込まれながらも、少女と共に騒動を解決しようとする、といった一連の話も指す。逆に少女が主人公の場合は「ガール・ミーツ・ボーイ」と呼ばれる。「月並みな話」という意味で用いられることもある。』
(Wikipediaより)

 主人公が男で、「好きな女の子と仲良くなりたい」という展開は少年漫画ならば当然のことです。
 ただ、主人公自身の性別が相手に合わせて変わってしまっているとなると、展開はいきおい複雑にならざるを得ず、
そこがまた読みどころになります。


女の姿で好意を寄せている女の子に出会い、「男の子」や言うまでも無く「本人としての立場」では聞くことの出来ない「心情」を聞いてしまうシチュエーション。女装・性転換作品では正に定番のシーン。
ここで「正体の暴露」へのハードルがまた高くなるという寸法。「正体を隠して本音を聞きだした」に等しく、言ってみれば「隠し撮り」「盗聴」にも等しい「卑怯な行為」に該当してしまいます。
まるでシンデレラボーイ」(レビューはこちらなんてもうこれで悩む悩む。確かに全てが暴露されたあと、女の子に「あなたいつも女装してたってことなの…」と白い目で追求されるのは辛いなあ…。

 女装していないと命も危ないシチュエーションなのに、ターゲットの異性のことばかり考えているといえば、先日ご本人が掲示板に光臨頂きました「リバーシブル」(レビューはこちらもありましたね。
 この作品も「正体バレ」が重要な要素になります。

 言ってみれば「ウルトラマン」系の「変身ヒーロー」に存在する「超人願望」の充足、「正体秘匿」の醍醐味に加えて一種の恋愛要素まで絡む訳で、
「少年魔法少女」もの、或いは「少年変身少女戦士(ヒーロー)」ものが現在隆盛を極めるのも至極当然というところです。
 重すぎず軽すぎず。

 そして、「可逆変身」ものではこれまた定番である
「ふとしたきっかけで不可逆に」…つまり「女の子の身体になったまま男に戻れない」状態になる…シチュエーションもちゃんと押さえています(*^^*。


この「男装した少女」姿というのもなかなかいいもんですな( *´∀`)…。
「スカートを履いた少年」と「ズボンを履いた少女」では字面の萌え度がそれぞれ違いますよね(*^^*。
少女民俗学―世紀末の神話をつむぐ「巫女の末裔」」にこのフレーズが登場してかなり萌えました(爆)。

 元々「性転換」という大事を「気軽に」扱えていた「可逆」ジャンルにおいて、ちょびっと「男に戻れない!」という醍醐味も味わってみようという贅沢極まりないアイデアです。正に「いいとこ取り」。


お馴染みエピソード間にある猫猫さんの細かい漫画。前回も「変身体質ったっていつも女子の制服姿で出て来るけど、ちゃんと着替えてるってこと?」という疑問にきっちり答えてしかも軽妙に笑わせてくださったんですが、本編にない「TSものの醍醐味」をしっかり押さえてくださってます。本当に凄い方です(*^^*。TSジャンルに親和的なスエカネクミコ先生に並ぶ救世主になる可能性があるかも!?

 Mr.Clice」(ミスタークリス)(レビューはこちら)でも書いたんですが、「女になってしまった男の普段着」ってのは想像するだにそそるものがあります(*^^*。

 元々「普段着」というのは、「いつもユニフォーム姿しか見ていない」女性の意外な魅力を引き出すものです。
 中学生の頃、普段は制服姿しか見ることが出来ないクラスメートの女子が、なんてことない格好をしているのをみて、なんというか可愛らしさが数倍増しになっていてかなりドキドキしたもんです。


 もう随分前に終了してしまったんですが、衛星放送で「激☆店」なる番組がありました。
 司会は山本麻里安、新谷良子。三重野瞳(敬称略)という当代の人気声優・歌手の女性三人組。
 全員がカラフルな色違いのメイド制服に身を包んでオタクグッズを紹介するという
「テレホンショッピング」のオタク版という趣の番組でした。

 筆者は毎週とても楽しみに観ていましたが、中でも特に楽しみにしていたのが「出張」と称して新曲を発売した歌手などに会いにロケに行くシチュエーション。

 流石に
普通に街中をうろつくのにカラフルなメイド服姿ではマズイので、この時ばかりは普段着です。
 これが…
かなり可愛いんですよ( *´∀`)…。

 これは「普段着」が持つ威力に加えて、いつもは制服(ユニフォーム)姿ばかり見ていたことも大きな要因でしょうね。

 ここから話が繋がるんですが…でもって「男に戻れなくなった」…つまり「怪獣退治」以外でも日常生活を女の子として過ごさざるを得ない状況に陥った竜之介がどうなるか?

 そう、
「女の子として普段着を着る」破目になるんですね。


ちゃんと「私服のスカート?」と言っています。猫猫先生は神!

 
女子の制服(ユニフォーム)を着ざるを得ないシチュエーション、というのもかなりそそるものはあります。
 
「制服とはボンデージ(束縛)である」という側面から考えると頷けますよね。

 しかし、実は同じくらいに「自由」「プライベート」な女装ってのも趣深いのではあるまいかと。

 特に「少年魔法少女」ってのは「使命」…場合によっては
「仕事」と割り切って…女をこなしているんです。つまり、必然的にひっついてくる「女装」にしたって「義務」の一環な訳です。

 ところがこの「プライベートな女装」ってのはそうではない訳です。
 確かに必然性も切迫した急迫不変の原因がある訳でもない。

 しかし、ストーリー上一応は無理が無い形で仕掛けられているし、こういう形で
「TSキャラの普段着姿」を観られるなんて…素晴らしいです( *´∀`)…。

 よく歌手だのアーティストだのの「オフショット」なんて言ってアルバムに写真集なんか付いていたりして、ファンもそういうのを喜んで見るでしょ?


 ま、論より証拠。こちらをご覧下さいませ。


































































  。 。
     / / ポーン!
( Д )

 
Σ(゜Д゜*)カ、カワイイ…

 分かります!みんなの言いたいことは分かる!
 確かに、「女装」ったって別にスカートである必要は無いです。女性のパンツルックだってある!
 しかし、この
「飾らない魅力」の威力はどうですか!

 もうあくまでも個人的な意見なんですけど、私はこういう「オシャレ」で「可愛い」姿の方が露出度の高いセクシー路線よりもよっぽど魅力的です(*^^*。
 ちなみに某女性の意見によると、スカートはパンツルックに比べて
「ヒップラインが出にくい」のでそうした効果を期待して愛用する方もいらっしゃるとか。
 この
「セクシーよりキュート」嗜好ってのも現代的でいい感じではありませんか。

 ストーリーの内容に殆ど触れずに、こうした要素に対しての感想ばかり書き連ねてしまったのですが、これぞ「正しい」TSレビューかと。なんちゃって。

 残念ながらこの「ナイトウィザードヴァリアブルウィッチ」はこの
第2巻で完結となってしまいます。
 「敵」にしても「毎回現れる敵を次から次へと倒していく」という形には余りなっていません。
 何しろ、2巻通して1人の敵を倒す形になっていますので。

 「可逆・変身」路線を続ける以上、どの様に頑張っても「マンネリ」の弊害は避けられません。
 なので、ここで綺麗に終わっておくのは賢い選択だったかもしれません。

 そもそも、
「TSものの醍醐味」をきっちり…それこそ殆ど全部と言ってもいいほど…押さえきっていることはここまで読んで来られた方にはお分かり頂けたでしょう(*^^*。
 
全2巻に収まったことも「人に薦めやすい」メリットとなっています。

 確かにストーリーを俯瞰(ふかん)して眺めれば「小さくまとまった」感は否めないのですが、実にバランスの取れた佳作です。
 エクスカリバー」(レビューはこちらみたいな「女の子になっちゃった可愛い男の子」を愛玩動物の様に愛でる路線という訳でもなく、「論理的に説明がつきにくい」ところにはきちんと目配せをし、何と言っても
TSものの醍醐味である「痛し痒し」「嬉し恥ずかし」感覚を…偉そうな表現で恐縮ですが…「分かって」下さっているのが素晴らしいのですよ!

 まだまだ書きたいことは沢山あるのですが、とにかく間違いなくオススメの一品。是非どうぞ!

(2008.09.07.Sun.)
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本家:「真城の城」 http://kayochan.com


ブログ「真城の居間
http://white.ap.teacup.com/mashiroyuh/






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 5位ローゼンクロイツ―仮面の貴婦人」(レビューはこちら
 6位月の子」(レビューはこちら
 7位「放浪息子」

*ベスト1と2は不動ですが残りは大激戦状態!甲乙付けがたいです!

 マーケットプレイス無しで手に入るオススメ物件(^^。

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