TS関係のオススメ本12-02
*アップロードする際に在庫を確認してから行ってはいますが、なにぶん古い本が多い為、時間が経過することで在庫切れになる場合もございますのでご了承下さい。 真城 悠 |
「トランス・ヴィーナス (1)」 (2009年・たまきひさお・徳間書店) |
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トランス・ヴィーナス (1) (リュウコミックス) |
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先日の「あめのちはれ 1」(レビューはこちら)の時もそうだったんですが、思う存分趣味に打ち込めない生活(資格試験の受験勉強のため)をしていますと、「どうやら気になる作品が発売されたらしい」という情報を耳にすることはあっても、「ならば手に入れて完全攻略!」とはならず、とりあえず購入だけしてあとは放置…なんてことも少なくありません。 特にライトノベルだったりすると完全に放置状態。読むの時間掛かるしね。 この「トランス・ヴィーナス」もそんな一冊で、amazonで「この賞品を買った人はこんな商品も買っています」表示で引っかかった一品。 タイトルも作者も全く聞いたことが無くて、カスタマーレビューなどの情報しかなかったんですが、半信半疑で購入して大正解! これはもう大傑作です。 ただし、内容がかなり過激なのでamazonの分類ではアダルト商品カテゴリには入っていませんけど、当サイトとしては18歳以上推奨作品とします。 |
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このたまきひさお先生はムチャクチャ絵が上手いです! 主人公が「どうして自分がここにいるのか分からない」状態でスタート。 |
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TS作品の分類の話は散々してきたのでもう食傷気味の読者さまも多いでしょうが、実はかなり大きな分類をここまでスルーしてきました。 それは「精神系」と「肉体系」です。 当サイトで紹介しているようなTS作品(女装含む)はほぼ全てが前者「精神系」に属します。 それこそ「可愛くなっちゃった自分をコロコロと弄(もてあそ)ぶ」系のお話。 もう説明の必要は無いですよね?つまり「雰囲気」を楽しむ系統のTS作品郡。 それこそ「可愛い服を着て(着る羽目になって)鏡に向かって顔が赤くなる」とかそういうのが物凄い「山場」になったりするお話です。 ま、他愛が無いと言えば他愛が無い訳ですが、そういうところがいじましいではないですか。 当サイトで紹介したことのある作品としては 「成城紅茶館の事情」(レビューはこちら) なんかは例外的にかなり「肉体系」ですが、それもこの「トランス・ヴィーナス」の前ではかすんで見えます。 |
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森の中でイメージシーンの中にとらわれてしまう主人公の須藤タケヒロ。 実際に巨大なわけではなくて、作り上げられた「イメージ」でのやりとりです。 ここで地球外知的生命体と「契約」することで物語に巻き込まれていくことになります。 TS作品としては「魔法少年マジョーリアン」(レビューはこちら)がこのタイプ。 |
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結論から言ってしまうと、私にとって「トランス・ヴィーナス」は「肉体系」TS作品の到達点だと思います。 これがあればもう他の「肉体系」TS作品を読む必要は無いと言っても過言ではないです。はい。 この結論は「アダルト描写(要は18禁表現)を含むTS作品」全てを含んで考えても一緒です。 ま、もちろん個人的な見解ではありますが。 では、どの辺が「到達点」とまで言わしめるのかを駆け足で解説して参ります。 実はこの作品も一応「少年魔法少女もの」に分類できます。 つまり、「主人公が男であるにも関わらず、倒すべき敵を“魔法少女になって”倒さざるを得ない状況に追いやられる」というもの。 |
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変身系TS作品の醍醐味!女体への変身シーン! 可逆ものではあれ、「初変身シーン」はまた独特の感慨が! |
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TS作品ってのは、劇中で「どの様に主人公を性転換させる理屈を捻(ひね)り出すか」もポイント。 ここで「無理の無い」「読んでいて違和感を覚えない」レベルにしておいてもらわないとすんなり入り込めません。 状況としては「ウルトラマン」と全く同じです。 地球に存在するモンスターを、もう一方の知的生命体である「ヴィナモンドのセルダ」が討伐します。 実際、連載の第一回目では「地球に危機が迫っている」ことをやたらに煽っています。 しかし、「ヴィナモンドのセルダ」が現実に地球に降り立って、物理的な力を行使しようと思ったらその際に現実の肉体を借りなくてはならないので、たまたまそこに居合わせた主人公に「乗り移る」訳です。 |
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変身シーン続き。大幅にはしょってますので、全てご覧になりたいかたは是非どうぞ。 ご覧の通り、この漫画は「乳首OK」です。 とにかくその凄まじい画力に圧倒されます。足元をローアングルで捉えたフェチ的描写も最高。 ちなみにこの「初変身」の時はまだ方針が定まっていなかったのか、いきなり「金髪美女」になっています。 この後の変身はまず「肉体的に女になっただけ」の状態を経ることになります。 |
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こう書くと「なんだ憑依か」と思われる方もいらっしゃるでしょう。 「憑依」(ひょうい)とは異性の身体に乗り移ることで擬似的に性転換と同じ状態になる一連の物語で、これまたサブジャンルを構成する一派です。 この場合「男性の魂が女性の肉体に」入り込む展開になります。 ところが、これが「変身」ファンなんかには余り評判がよろしくない。何故か? というのも、そういう場合は「男性が“望んで”女体に入る」こととなるからです。 当然、その主人公にとって「(女体に入るのが)嫌々ながら」とか「(女体の感覚に)痛し痒し」というよりも、女体にガツガツした「男性的欲望」が先に立つからです。 つまり、「憑依」というのは形を変えたポルノの一形態なんですね。 「ちょっと性転換を疑似体験してみたい」とか、ましてや「可愛くなっちゃった自分に萌え萌えしたい」といった可愛らしい願望を満たそうと言う読者の求めるものとはかなり違うんです。 では、この「トランス・ヴィーナス」はどうでしょうか? この場合、「男性の肉体に女性の精神が入り込む」というパターンです。 |
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精神同士で会話しています。 それにしても軽く「神様やってたんだからね!」といわれても…。 |
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こうした「精神同居変身」パターンで、精神の主導権を取られた時にそれが女性なので性転換してしまう物語としてはおなじみ「鉄腕バーディ」がありますね。 |
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女体を共有する「精神同居」ものとしては既に紹介した 「悪徳なんかこわくない」(レビューはこちら) があります。 つまり、パターンとしてはそれほど新しくありません。 ありませんが、ここにはまぎれも無く「新機軸」が盛り込まれています。 まずこれは「憑依」ではないですね。 間違いなく「変身」ファンの土俵です。 実は「入れ替わり」とか「憑依」を好むファン層ってのは「変身」を毛嫌いする人が少なくありません。 「入れ替わり」というのは繰り返しになりますが、物語に「社会性」を多く含むんですよね。 入れ替わった「相手」を含めたコミュニティ(共同体)全部と折り合いを付けたり、はぐらかしたりする必要がどうしても出てきます。 「憑依」も移動するのは「精神」だけで「肉体」が変形する訳ではないので、「荒唐無稽」度はそれほど高くなりません。 どうしても、「変身」となると、自分ひとりで完結してしまうので内向きでかつひとりよがりなイメージになりがちなんですよね。 その極北が 「PERFECT BLUE―夢なら醒めて」(レビューはこちら) でしょう。 何しろ「男がひとりでアイドルを想う余りに自分の身体がその憧れのアイドルと化す」という物語なんですから。 それだけのことになっていながら、自分の部屋だけでその感覚を独り占め出来るんですから、そのローリスクぶりはかなりのもの。 ま、そんな甘い結論にはならないわけですが(詳しくはレビューをどうぞ)。 それに比べるとこの「トランス・ヴィーナス」は間違いなく「社会性」(他人との関わり度合い)は高めです。 セルダが現世に出現するためには、まずタケヒロを性転換して女体化させ、そこにセルダが入り込んでタケヒロの精神を押し出して、「セルダ」の肉体へと変身します。 つまり、二段階変身というわけ。 |
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こうして背筋をつつっと撫で上げると変身します。 ちなみに高橋留美子作品ではよく男のキャラをこうやって「ああんっ!」とか言わせていじめます(爆) ↓ こんなことになります。黒髪ショートヘアの和風美少女…というよりも単に女体化しただけの状態に。 「あめのちはれ。」と同じくちゃんと「声も女性化」していることまで言及。さすがです。 背後で「あら かワイー キャー」と言っているセルダさんがポイント。男を女にして楽しむとは鬼です。 是非ウチにも来てください(えー。 |
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こういう風に「肉体だけ女」にした後、「ちょっとどいてね」と「タケヒロの精神」を押し出すと、肉体も更に変化してセクシーダイナマイトな金髪巨乳女「セルダ状態」に変身します。 |
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こういう風に変身します。この抜群のプロポーションにシャープな線のド迫力! サナギマンとイナズマンみたいなものでしょう(ぐぐってね)。 この状態になると主人公の精神は追い出されて客観的に眺める状態になってます。 …が、それだけで済むはずもなく…(後述)。 |
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そして敵を倒す…訳なんですが、ぶっちゃけその部分はかなりどうでもいいんです。 私がこの作品を「少年魔法少女もの」か或いは「変身ヒーローの変形」と言い切らないのは、「敵を倒す」部分の比重が非常に低いから。 では何がメインなのか? それは「主人公いじめ」です。 |
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一応このクモ型生物を倒すのが全編通しての目的。 ですが何度倒してもすぐ復活しちゃうのでキリが無いったらありゃしない。 |
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キャラクターを強制的に女装させたり、していじめ倒す作品としては何と言っても 02-05 「アーサー王子乱行記」(レビューはこちら) があります。 この中での「ランス君」は確かに一回本当に性転換しちゃったりはしましたが、単なるギャグとして扱われていました。そもそも単なる脇役。 ところが、この「トランス・ヴィーナス」で行われる主人公たるタケヒロに対する「強制性転換・強制女装」はシャレになってません。 完全に、「悪意を持つ他人が被害者を一方的に性転換させる」という凶悪な構図。私は「他者性転換」と読んでます。 言うまでも無く、これは相当に「絶対的な力」を握っているに等しいですよ。 こんな人間関係考えたくも無い(そりゃね。 何しろ、先ほどまでご紹介してきた通り、セルダはちょっと触るだけでタケヒロの肉体を強引に女体へ性転換をさせることが出来るんですが、それのみならずタケヒロ本人の意思を全く無視して着ている服を女性ものに変えてしまうことが出来るんですよ。 その決定的な場面をご覧ください。 |
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こんな具合に指をひと鳴らしするだけで… こ、こんなことに!!!もう私の中で「ハヤテのごとく!」9巻を超えました! |
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これ…性転換はともかく女装…って、冷静に考えるまでもなく「怪獣退治」と何の関係も無いんですよ。 もともと、「女体化のみ」の「中間段階」が存在することもおかしいのに、その段階で強制女装って…完全に主人公を精神的に痛めつけているだけです。 …そこがいいわけですが(鬼)。 ウイグル獄長も言っています「嫌がっているやつを性転換(女装)させるから面白いんだ!」と(嘘。 強制女装ともなると、実は変身後の衣装についてもTSファンは一家言あったりするんですが、このオリジナル衣装はかなりいい感じですよ。 |
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一応「魔法少女の衣装」ってことらしいです。 全体的には少女趣味なのに、この艶(なまめ)かしい黒のハイヒールとかリボンつきオーバーニーソックスとかフェチっぽくて本当に最高です。 えてして“折角強制女装させているのに、あんまり着心地とかよく無さそう”な衣装だったりする場合もあるのですが、この場合は満点です。見えそで見えないカメラアングルも神。 これほど悲惨な「オレは男だ〜っ!!」も滅多に見られません。 |
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あんまりこの趣向を前面に押し出すのは躊躇(ためら)われるのですが、「TSもの」の醍醐味の一つとして、「被虐の快感」というか、「受身の快楽」の読書体験が出来るがあることは否定することは出来ないでしょう。 「可愛い」系のTS作品ですと、「萌え」とか「ぷに」とかは存分に味わえるのですが、上記に類する感情…「受身の快楽」…は殆(ほとん)ど味わうことが出来ません。 これって難しいんですよ。 というのはこれって「シモの話」に直結します。というかそのものです。 そして、TS作品というのは…少なくとも、少年誌・青年誌で連載・掲載される作品においては…、女装だの性転換だのがバンバン登場していながら、「それは言わないことになっている」というところがあるんですよ。ええ。 だから、ギャグにしてごまかしたりする訳ですね。作品名はいちいち挙げませんが。 ところが、セルダによるタケヒロいじめはこのレベルですら止まりません。 |
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女体化した状態で母親に自室に踏み込まれてしまい、必死にごまかすタケヒロ。 一応こうした「お約束」も押さえています。 |
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というのは、この「セルダ」は…控え目な表現で言えば性的に奔放です。 数百年ぶりに実体としての肉体を得たことをいいことに、「セルダ」に変身した状態で、複数の男性と性交渉に及びます。…つーかこんな「変身ヒーロー」いる? …つまり、そういう女なわけですよ。 なのでこんな悲劇が襲い掛かります。 |
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なんと!目が覚めてみれば全裸で果てた男どもの中に取り残されているのですよ! 前夜にセルダが一体何をやってたのかは書くまでも無いでしょう。 これは「肉体共有もの」にはまま見られる展開です。 「肉体共有もの」はよく「二重人格」的な展開となってしまい、それがTSファンの興を削ぐところです。 つまり、肉体的に女性になっただけではなく、そこで「女性の人格」が支配してしまって、結局「女性の肉体に女性の精神」となってしまって、面白くもなんともなくなってしまうんですね。 ただ、「女性人格(この時は女性の肉体)」の状態で女装したまま人格も肉体も男に戻ってしまい、「女装した状態」で放り出される…という笑いどころを持った作品はいくつか存在します。 以下の作品群にはいずれもそうした場面があります。実写作品もありますので、男優さんの「迷演」をご覧になりたい方はどうぞ(*^^*。 |
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「何だ二重人格ものか」と思う無かれ。 それではわざわざ紹介しませんよ。 そう、つまりこういうことなんです! |
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…Σ(゜Д゜)!!! そうなんです。 タケヒロはセルダさんがあれこれやっている時にもしっかり意識があって、「感覚」を共有しているんですよ! 彼は精神的には全くのストレートで、男性が好きなわけでも女性になりたい訳でもなんでもありません。 ですから、自分の身体を勝手に女にされたり、強引に女装させられたりするだけでも大変なのに、セクシーダイナマイトの女性になった肉体が勝手に「そういうこと」をして、しかもその感覚を根こそぎ共有させられているのですからたまりません。 |
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一応「男性との性交渉で男に戻れる」という解除法はあるんですが、セルダが勝手にその方法を使いまくる(お分かりですね)上、そもそも女の身体にしているのはセルダ自身なんですから非道い話です。 |
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これは、セルダが女性で、「セルダ自身の欲望の赴くままの結果巻き込まれた」という複雑な構図はしているものの、要するにタケヒロが「無理やり性転換させられた上に望まない男性との性交渉をさせられている」のと全く変わりません。 実は本編にはモザイクも登場し、どうしてこれがアダルトコミック指定になっていないのか不思議なのですが、確かに「アダルトか?」と言われるとそうとも言い切れないところもあります。 そもそも、実は肝心の「セルダが夜な夜な行っている」場面そのものは本編に描写されていないのですよ! |
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セルダの差し金で女子生徒として元々通っていた共学高に通わされるシチュエーションもあります。 ここだけ見てると普通の変身系学園ドラマみたい(爆)。 |
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にも関わらず主人公をここまで精神的に追い込むのですから、これは演出の勝利です。 この「トランス・ヴィーナス」は1巻中盤あたりから、クモトカゲとかそっちのけで「身体に残る女体の快感」と自らの精神との葛藤が延々と描かれます。 「その場面」を描いたから「そうした感慨」を読者に味合わせられるか?と言われると必ずしもそうではありません。 それは結果として見た目は「単なる男女の性交渉場面」にしか過ぎないからです。なので、18禁描写なしでも「肉体系TS作品の極北」だと言いたいんです。 精神的には純粋な男であるタケヒロにとって、実は単に女性の肉体にされることも、強制的に女装させられることもそれほど大きな問題ではありません。 |
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物凄く実も蓋も無いことを言い放つセルダさん。この漫画のテーマですな。 背後でパンティ丸出しの「見た目完全女の子」で悪態をつくタケヒロもひそかに見物だったり。 |
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では何が最も恐るべきことなのか? 「この一線だけは越えてはいけない」ポイントとは何なのか? 仮に身体が女体化したとしても、それはちょっと乳房が重いとかその程度の話。女装ったって煎じ詰めて言えば布着れ一枚の問題でしかありません。 それは「女性としての肉体的快感におぼれること」でしょう。それに負けて快楽に身を任せることでしょう。 この一線を越えてしまえば終わりです。 どれだけ恥ずかしい格好をさせられようが、「オレは男だ!」と言えます。 事実タケヒロくんは常にそう主張しています。 そして、それをいかに突き崩すかが肉体系TS作品の醍醐味でしょう(ひどい)。 |
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とある戦闘中、吹き飛ばされたタケヒロくんは… ウチのサイト的にはギリギリの状態になってしまいます |
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実はこれまでにも散々に好き放題を繰り広げてきたのは「セルダ状態」の時だったんですね。 感覚こそ共有していたものの、「女タケヒロ」状態でここに至ったのは初めて。 そう、これが正真正銘の「ロストバージン」だった訳です。 やおい漫画などのそれではなく、肉体的に女性になっていますので、本当にそうなんです。 さて、これまでもセルダに共有させられた感覚で自己嫌悪の余り精神的に追い詰められ続けていたタケヒロくんはここでどうなってしまうでしょうか。 少し考えてください。 なんと、それまでの人生が走馬灯のように脳裏をよぎるんです。 |
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…こ、これは悲しい。 もう涙が出て来そうです。 つまり、男としてこれまで生きてきたのに、女になって…こんなことになってしまった。なんでこんなことになってしまったんだ…という嘆きと悲しみが全身を貫いている訳ですよ。 あの無邪気に、ゆるぎなく「オレは男だ!」と信じていられたあの日々はもう二度と戻らないんだ…という悲しみ。 これです! TSものの醍醐味の一つは正にこの破滅の快感ではありますまいか! 私が「肉体系TS品の決定版」と繰り返す意味がお分かり頂けたでしょうか? これまでも散々「セルダの感じている女体の快感」を共同体験させられて自己嫌悪に陥っていたんですが、この一件を契機にタケヒロくんは自己嫌悪を突き抜けて自暴自棄となり、遂に半ば精神崩壊し始めます。 |
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「女体の感覚の余韻」に悩まされるという描写はTS小説ではまま見られるんですが、本当に悲惨です。 というか、TS展開を本当にちゃんと段取り踏んで描写しようとしたならばこういう段階は必ず通らなくてはならないはず。その意味では誠実にシミュレートしているともいえます。 |
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正直、ここまで物凄い作品だとは思いませんでした。 「肉体系TS作品」はこれだけ買っていればあとはもういらないんじゃないか?と思えるほど究極の作品です。アダルトカテゴリにならずにこれを実現しているのが何よりも凄い。 というか、「TS作品としての」ポイントを付くことが一番大事なのであって、アダルトかどうかは二の次なんですよ。 実はまだ続いていて2巻以降もあるんですが、それすらもいらないんじゃないか?というほど完成されています。 世の中にTS作品は沢山あります。 この頃は本当にTS展開すらカジュアル化してきて、ちょっとオシャレな服を着替える様に気楽に性転換したり可愛らしい女装をしたりします。 もう最初から女の子にしか見えない「おとこのこ」が“なんちゃって女装”みたいなことをする作品も少なくありません。 それはそれで悪くないんですが、「女になる」というのは「男で無くなる」というリスクを差し出して初めて手に入るものなんですよ。 そのあたりの精神を体現しているのが正にこの作品。 とにかく私的にはセルダさんが「ひょいっ!」と指を回すだけで嫌がる男が見る見る女体化して女装させられる場面だけでも千両の価値のある作品です。超オススメ。ただし18歳以上推奨で。今更遅いか(爆)。 まあ、これほどはた迷惑な「ナビゲーター」もいないでしょう。もうこのヒドさはTS作品の歴史に間違いなく残ります。 ということで、この作品を象徴するセルダさんの一言が登場するコマを紹介してお別れです。 2009.05.06.Wed. |
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いや、そういう意味じゃないだろ…と思いつつ案外真相を衝いているセルダさんなのでした。 |
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散々「肉体系TS作品」として「これが究極!これ以外はいらない!」とまで言い切ってしまったんですが、これは構造的に「行くところまで行く」ことがありえる「肉体系」だからこそ。 「精神系」は当然「行くところまで」は行かないので、どれだけ描かれても新たな趣向への欲求が尽きることはありません。 「行くところ」部分は決して作品では描かれず、想像で補完するし(爆)、そもそもそれが必要ない作品すら少なくありません。 「あめのちはれ。」なんて典型的な「精神系」で、あの主人公たちの制服姿のシルエットだけでOK!なのですよ(^^。 あと、「絵柄が古臭い」という意見があるそうです。 たまき先生はかなりのベテランですし、絵柄がこってりしているので確かに薄味の漫画に慣れた読者さまにおいてはちょっと胃もたれしてしまうかも。 この独特の「濃さ」はある程度読者を選ぶかも知れません。一本木蛮っぽいんですよね。 でも、肉体系の絵があっさりしていてどうするのかと。むしろこの超絶技巧に酔うべきでしょう。 写実的でいながらギャグ風味のアレンジも秀逸。男女問わず(ん?)おっぱいの形もムチャクチャ綺麗!最高です。 2巻以降の展開をちょっとだけ予想してみます。 1巻の段階でもうこれ以上タケヒロくんをいたぶることは不可能なんじゃないか?というほどえらいことになっているんです。1巻ラストで「女性として体験してしまった」後に路上に放り出された主人公が、自暴自棄になって優しく声を掛けてくれたクラスメートに「やらせろ!」と獣欲丸出しで迫ってその子の友達にボコられるという展開。 こうなったらもう後は「周囲バレ」しかないでしょう。 衆人環視とかでもいいんだけど、赤の他人じゃなくてその彼女の前で「女の肉体への性転換&女装」をさせられ、それを見られてしまう…と。 更に言えばその状態でもっとひどいことになるところまで見られてしまう…ってな感じではないかと。 考えるだけで鬼です。これは楽しみ…って結局楽しみにしているのでした(爆)。 2009.05.08.Fri.付記 |
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