あなたは結婚式場についた。

 今も結婚式が行われている様だ。

 こういうところに入るのは意外に難しくない。

 あなたは舞台裏に入っていった。と、そこにはこれから披露宴に向かおうと言うタキシードの男がいた。

「な、何だお前は?」

 突然の来訪者に驚く新郎。もっともな反応だ。

 しかし、あなたはそのリアクションにむかついた。

 ポン、とそいつに触る。

「な、何するんだ」

 と、みるみるその一張羅の下に乳房が盛り上がってくる。

「…ん?」

 美しい黒髪が伸びる。そしてヒップが豊かになり、蜂のような腰が出来あがる。

「な、何だ!?」

 目の前でその手がグググ、と細くなっていく。身体全体がやわらかな、女性的な体型になる。

 すっかり美しい女性になってしまう新郎。

 変化はそれに留まらず、タキシード見る見る白く白く変わって行く。ズボンはスカートになり、上着は縮んで行く。

「あ、あああ…」

 清楚なナチュラル・メイクがその顔に施され、アクセサリーがどこからともなく現れる。その衣装は、純白のウェディングドレスへと変貌していた。

 そこには新郎ではなく、美しい花嫁がいた。

「こ、これは…一体…どうしたと言うんだ…」

 ヴェール越しにヴーケを持つ手を見ながら言う「新婦」となってしまった新郎。

「そろそろ時間ですよ」

 あなたはそこに入ってきた会場の係員を挨拶がてらポンポンっと触ってウェディングドレス姿に変える。

「ああ!」

「お、お前…その格好…」

「お、お前こそ」

 お互いの姿をみて驚いている二人の花嫁。

 あなたは披露宴会場に入った。既に来賓が大量にいる。みんな礼服に身を包んだ紳士淑女たちである。

 と、仲人らしい年配の夫婦が目に入る。

 あなたはおっさんの方にポン、と触る。

「まあ!あ、あなたあ!」

 目の前で夫が一瞬にして若い女になったどころか純白のウェディングドレスに身を包んだ花嫁となってしまったのである。

「な、なんじゃ?…これは?」

 うめくように言う「花嫁」。しかし、その口調には似合わない綺麗な声であった。

 会場もその異常事態に気付いた。が、手遅れだった。あなたは会場の男という男に触りまくり、「花嫁」を量産した。

「ああ!こ、これは…」

「なんだあ!?」

「そんな…」

「こ、これが…」

「き、綺麗だ…」

 会場は数十人のウェディングドレスがうごめくファッションショー会場の様だった。

 しかしあなたは調子に乗りすぎた。思わず自分に触ってしまったのだ。

 あなたはやはり美しい「花嫁」となってしまった。

 

 

GAME OVER