「華代ちゃんシリーズ」
 このイラストは「オーダーメイドCOM」によって製作されました。 クリエイターの有野由樹さんに感謝!

「カーマニア」

作・真城 悠

「華代ちゃん」シリーズの詳細については

http://geocities.co.jp/Playtown/7073/kayo_chan00.htmlを参照して下さい


 こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。

 最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんな皆さんの為に私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散あっせてご覧に入れましょう。どうかお気軽にお申し付け下さいませ。

 報酬ですか?いえ、お金は頂いておりません。お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。

 さて、今回のお客様は…

 

 夜が明けようとしている。

 そこに、立派なカメラを抱え、目をランランと輝かせている青年、轟木がいる。

 そこは湾岸に建設された巨大なイベントホールの前だった。

「おにーちゃん」

 びっくりする轟木。

「…!」

「何してるのこんな所で?」

 突如目の前に現れた少女に面食らっている轟木。

「あ…いや君は?」

「あたしはこーゆー者です」

 少女が名刺を差し出してくる。そこには「ココロとカラダの悩み、お受けいたします 真城 華代」とある。

 ふう、と胸をなで下ろす轟木。

「何だ…ライバルかと思った」

「何?ライバルって?」

「知らないのかい?ここでもうすぐモーターショーがあるんだ」

「へー」

「本当は今日は完全に業者限定なんだけど、極秘にチケット入手してね」

「へーえ」

「今回は噂新車が発表になる。アマチュアで見るのは俺が日本で、いや世界で初めてってわけさ」

「カーマニアなんだ」

「まあね。もう楽しみでたまらないよ」

 うきうきしている轟木。

「…ひょっとして君、関係者?」

「いや、違うけど」

「なんだそうか…」

「でも、何かお望みが有ればかなえるよ」

「本当に!?」

「ええ」

「じゃあ、真っ先にクルマのそばにいられるようにしてくれ!スタッフとしてこき使ってくれてもいいから!一日中クルマのそばにいさせてくれ!」

「受けた!じゃあこっちおいで」

 

 時計を見ている轟木。

「もう時間無いから、行くよ」

「あそこのスタッフルームだな」

「うん。でもこのままじゃ駄目ね。準備するわ」

「準備?」

 その瞬間、轟木の胸部がふかふかと膨らみ始める。

「ん?…何だ?」

 同時に腰がきゅきゅっと細くなる。肩がなで肩に下がって行き、全体的に細く、か弱い身体に変化していく。その細い脚は内股になり、美しい髪が長く伸びていく。

「こ、これは…?」

 その声は、それまでよりも高い、可愛らしいものだった。

 その変化に驚いている暇もなく、スニーカーの表面が漆黒のエナメルに変わる。つま先はとがり、かかとの下に出現した棒がそれを押し上げる。

「うわっ…」

 一瞬にしてハイヒールになってしまたスニーカーに驚ていうちに、ズボンが真っ黒に変色し、ぴっちりと脚に張り付き、幼い脚線美を露わにする。その黒いタイツに無数の穴が広がり、なまめかしいアミタイツとなる。シャツはズボンと融合し、グググ…とハイレグになっていく。

 肩の部分に突如出現した切れ込みは背中の一部と胸から上を完全に空気にさらす。襟の部分のみが首にまとわりつくように残り、黒い蝶ネクタイとなる。上着の残りは胸の谷間が見える程に収縮し、ピアノ線が肩にくいこむ。手首にボタンが止められ、その美しい指先には真紅のマニキュアが染まる。

「あ…あ…」

 耳たぶにイヤリングが下がり、濃ゆめのメイクがその顔に施される。スポーツキャップだったそれはうさぎの耳を模した髪飾りとなり、お尻のあたりに白い「しっぽ」の様なぽんぽんが出現する。

 轟木は一瞬にして妖艶なバニーガールとなってしまった。

 このイラストは「オーダーメイドCOM」によって製作されました。クリエイターの鬼邪太郎さんに感謝!

「これは…一体…」


 少し動くとコツ、とハイヒールのかかとが鳴り、バランスを崩しかけるバニーガール。


「どう?ばっちりでしょ?」

 変わり果てた自分の身体を見下ろしているバニーガールとなった轟木。スレンダーながら、大胆な「自分の」「胸の谷間」が目の前に迫る。

「今年のキャンペーンガールのコスチュームってこれなのよ。これで一日中車のそばにいられるわよ。まかせてよね!いやいやいいってば!お礼なんて。お客さんが喜んでくれればあたしは満足なんだから」

 

 

 あたしはその後別の所に用があったんで帰っちゃったんですけど、うまくやれたんでしょうか?まあ、大丈夫でしょう。あの人みたいに情熱のある人なら、車にとってもうれしいはず。その場を一歩も動けないほど感動していたその姿が今でも目に浮かぶ様です。いやー、いいことをするって本当にいい気持ちですねえ。

 それでは!明日はあなたの街に行くかも知れません。