こんにちは。初めまして。私は真城華代と申します。
最近は本当に心の寂しい人ばかり。そんな皆さんの為に私は活動しています。まだまだ未熟ですけれども、たまたま私が通りかかりましたとき、お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。
さて、今回のお客様は…。
山崎は困っていた。
確かに今日は暇である。
しかし、一番苦手なことなのだ。
結局、応援が大挙駆けつけてきた。他の部署も暇、ということなのだろう。
「おう、山崎」
「藤村か、何とかしてくれよ」
目の前で大勢の子供が騒いでいた。
今日は婦警たちによるチャリティイベントがあるはずだったのだ。それが別の急用とかで、結局誰もいなくなってしまった。日程をずらせばよさそうなもんだが、今日以外には暇そうな日が無い、ということでそっちのイベントの方が強行されたのである。
しかし、よりにもよってその貧乏籤を引いたのが、屈強の猛者ばかりが集まる交通機動隊であった。
もともと子供の扱いには慣れていない上、そのゴツイ風体に見ただけで泣き出す子供まで出る始末である。
どっかと腰を下ろす山崎。
「ふう、畜生め」
場を無理やり部下に任せて座りこむ山崎。名うての暴走族も震えあがる鬼の山崎も子供相手では形無しであった。
ま、これも平和な証か…などと考える。
まだ山崎は子供を持ってはいなかったが、その気になってみれば可愛いもの…なのかも知れない。
「おにいちゃん」
ふと気が付くと、隣に小学校低学年程度の女の子がちょこん、と座っている。
「お、おう」
個別に話し掛けられたことが余り無い上に、「おにいちゃん」などと言われてはそう悪い気はしない。
「どうしたの?座りこんじゃって」
「うん?ああ」
「疲れたの?」
「まあね。疲れた」
「どうして?」
「う〜ん」
苦笑する山崎。
「おにいちゃんたち、怖いだろ」
こっちから質問してみる山崎。
「ううん。そんなことないよ」
無邪気なその笑顔。
「ははは、お嬢ちゃんはそうかも知れんが…」
「かよです」
「ん?」
「かよです。ましろかよ」
そういって、どこからともなく名刺を差し出す。そこには「ココロとカラダの悩み、お受けいたします。 真城 華代」とある。
「へ〜え、かよちゃんね」
「なんか悩みがあったら聞いてあげる」
「ふ〜ん。悩みねえ」
視線を会場の方に向ける。そこでは屈強な男達が慣れない「小さな」凶悪な集団にてこずっている。
「俺達はともかく、子供が可愛そうだよ」
「ん?子供?」
「いや、最近警察の評判が悪いからねえ。まあ、俺達交通課からは遠い話なんだが…」
「つまりどういうこと?」
「折角来てくれたんだから可愛い婦警に対応させてあげたかったね」
「ああ、なるほどね。わかりました。任せて下さい」
「ん?」
余りに変な自身満々の様子に少し疑問を抱く山崎。
「頼むよお〜泣かないでくれよ」
自分が泣きそうな吉川。
「おい、前田!そっちにえりちゃんっていないか?」
「知るかよ!?そんなこと!」
「なんだかはぐれたとかでさあ」
「そんなことでいちいち…?……ん?」
「なんだよ、どうしたんだ?」
「いやその…身体が…なんか…変…なん…だ」
と、前田のズボンをある子供がちょいちょい引っ張って来る。
「おにーちゃん、あのおにーちゃん、おっぱいが出てるよ」
「え?」
振りかえると、そこでは自分の、ぷっくり膨らんだ胸を見て固まっている吉川がいる。
「…あ、あああ…」
「お、お前…」
そう言っている内にもヒップが豊かに張り出し、その脚は美しい脚線美を形成し、内股になって行く。続いて大きなバストを支えるには頼りないほどウェストが細くくびれる。
「な、何だ…?これは?」
無駄毛がかき消えながら美しく変わっていく自分の手を見ながら、もう原型を留めていない吉川が言う。
背中まで長く伸びた黒髪は動きやすくまとめられる。そして上に上がっていた腰の位置から融合する様にズボンが一つになり、ミニスカートが出現する。
するっと素足をこすり合わせる。
「ひゃっ」
こ、これがスカート…だと…言うのか?
「おねえちゃん可愛いー」
すっかりご機嫌の子供達はお尻をぺたぺた触って来たりする。
「お、お前…どうしたんだ?」
「そ、そういうお前こそ…」
「え?ええええええ!?」
イラスト 神木亨太さん
前田もまた、制服姿の若く綺麗な婦人警官となっていた。
ふと見ると、会場には交通機動隊の猛者はひとりもおらず、婦人警官のみがいたのだった。
いやー、あの隊長さん、いい人でしたねえー。だもんだから私も奮発しちゃいました。子供達も大喜びでしたね!中小企業のみならず国家公務員の味方、真城華代ちゃんでーす。でもあの後あの地域で暴走族がとっても増えたとか…不思議ですねえ。
ま、ともかくこれからもよろしく!
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