ギャラリー

「魔法少女ナナシちゃん!」連載第12回(2002.10.2.)
「例えばですよ」
 黒田が立ち上がった。
「相手がアメフトよろしく前傾姿勢で突っ込んで来たとしますね」
 興味津々で聞き入る新旧女子アナ。
「そこを体捌き(たいさばき)でかわして、足を残したとします」
 何だか足だけを差し出した様な姿勢になる黒田。
「そうすると、当然突っ込んできた奴はこの足に引っかかって転びますね」
 うんうん頷いている女性軍。

イラスト 水原れんさん

「ねえ、進藤」
 先輩アナウンサーが声を掛けてきた。
「はい」
「“ナナシちゃん”って聞いたことある?」
「・・・何ですって?」
「“ナナシちゃん”よ“ナナシちゃん”」
「いえ。知りません。何です?それ」

「魔法少女ナナシちゃん!」連載第9回より
イラスト 水原れんさん


連載第5回(2002.9.25.)より
 彼にはそれが黄泉の国に見えた。
 校舎はのしかかる様に聳え立ち、弱者をそれだけで圧殺してしまいそうである。
 気分が重い・・・。その少年は靴を引きずっていた。
 その隣を黄色い声をあげて走り抜けていく少女たち。その様子は小学生の子供のものでも、女子高生の嬌声でも無かった。中学生独特の雰囲気を持っていた。

イラスト 水原れんさん



「魔法少女ナナシちゃん!」
連載第2回(2002.9.22.)
より
 体制を整えた女の子は立ち上がり、暴漢の方をビシリ!と指差してはっきりと言う。
「大人しく観念しなさい!暴行未遂の現行犯で逮捕よ!」

イラスト 水原れんさん


「魔法少女ナナシちゃん!」
連載第106回(2003.1.4.)
より

 現実が認識できなかった。
 何だ?これ?
 現在身の上に起こっている出来事をそのまま形容すれば・・・僕はふわふわと浮いていた。
 少しずつ大きくなる地面。
 僕は、綿の様にそのばにふわりと着地した。
 真横に広がったスカートが、ふぁさ・・・と落ち着く。
 
た、助かった?のか?

イラスト 水原れんさん


「魔法少女ナナシちゃん!」
連載第100回
(2002.12.29.)より

 どの部屋なのか分からない。
 そこには鏡があった。
 これは・・・夢だよ。
 夢に決まってる。
 そこには女の子がいた。
 暗くてはっきりとは分からない・・・いや、暗いから叫ばなかったのかもしれない。
 金髪のとんがり帽子に膨らんだ肩。
 膝まであるブーツ。
 そして・・・横に広がったスカート・・・。


イラスト 水原れんさん