第505回(2004年02月08日(火))

 手がぶるぶると震える。
 明らかにサイズが合っていない。
 男の頃に比べればウェストが細くなっているということもあるが、何と行っても止める位置が違う。
 とんとん、とノックをする。ここは廊下、聡(さとり)の部屋の前である。
「さとりー、終わったぞー」



イラスト:おおゆきさん

「はいはーい」
 がちゃ、とドアが開く。
 その時、ぶかぶかの男物の制服を着た華奢な美少女はドアに向かって背中を向けていた。
「じゃ、これ・・・」
 適当に畳んだ女子高生の制服を背中の方に向かって差し出す。
「ありがとー・・・ってなんでそっち向いてるの?」
 視線どころか身体の向きすら合わせない兄・・・今は姉をいぶかしむ妹・・・今は弟。
「うるさいなあ、いいから早くしろよ」
 文字で見ると乱暴だがそれほどとげとげしくは無い。むしろ鈴の様な声が可愛らしい。




第496回(2004年01月30日(日))
 歩(あゆみ)の提案はこうだった。
 今の聡(さとり)は男なので、少々露出度が高い格好をしていても構わないことにする。本人に確認を取るとそれで構わないという。開けた妹だ。今は弟だが。
 ということでまず男になった聡(さとり)に今着ている服を脱いでもらう。
 今度はその服を持って、今は女になっている歩(あゆみ)が、今いるような開けた場所・・・ダイニングとか・・・ではなくて、それこそ自室に行って、その場で女物の制服を脱ぎ、そして持ち込んだ男物を着る。

イラスト:おおゆきさん

 そして、今脱いだばかりの女物の制服をもって、下着姿で待っている聡(さとり)の元にやってくる。 
 そこで今度はその制服を持って聡(さとり)が密閉した部屋に入る。
 ここでお互いにお互いの身体を元に戻す。
 そうすると、“男装の少女”状態になっている歩(あゆみ)は“男装の少年”状態になって元の鞘(さや)に納まり、聡(さとり)は“下着姿の少女”となるので、その状態で目の前の女物の制服を身に付ければ万事OK、と言う訳だ。