不条理劇場8(華代ちゃんシリーズ)

「日記」

原作・真城 悠

加筆・風祭玲(Vol.M03)

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こんにちは、初めまして。 私は真城華代と申します。

最近は本当に心の寂しい人ばかり。

そんな皆さんの為に、私は活動しています。

まだまだ未熟ですけれども、たまたまた私が通りかかりましたとき、 お悩みなどございましたら是非ともお申し付け下さい。 私に出来る範囲で依頼人の方のお悩みを露散させてご覧に入れましょう。どうぞお気軽にお申し付け下さいませ。

報酬ですか?いえ、お金は頂いておりません。

お客様が満足頂ければ、それが何よりの報酬でございます。

さて、今回のお客様は

 

 

―― 西暦2199年 射手座α星より黒船来たる。

その3世紀ほど前より地球宙域には交易を求めて 異星船が度々出没するようになったが、 異星との交わりはまだ時期尚早と判断した 時の亜米利加幕府は月の裏側にコロニー「出島」を建設。 異星との交易はこの出島を中継して行われることになり、 月軌道の内側にはいかなる異星船の進入を禁止していた。

しかし、銀河系内における列強諸国の覇権争いは激化の一途をたどり、 ついには辺境のオリオン椀宙域で広大な殖民星を持つζ星連合軍と 新興のψ星統合軍との大規模な軍事衝突にまで発展する事態になっていた。

そのζ・ψ両軍の動きに憂いを感じていたα星大統領は 幕府に対し、開星とα星艦船に対する食料の補給を求めて α星オリオン腕方面軍提督に親書を託し、地球へと派遣した。

幕府の姿勢を熟知していた提督は 常套の月軌道を横切る事をせずに 地球の北極上空に強引にワープアウト、 大都市が密集する北半球上空に 直径6000キロとも言われる巨艦の姿を見せつけた。 これによって、 コレまで隠し通してきた幕府と異星との交易行為が暴露。 幕府は朝廷(国連)より激しい責めを受けた。

むろん、幕府もスグに対応をとろうとしたが 時運悪く幕府内に将軍(大統領)急死に伴う 将軍継承問題(大統領選挙)が浮上、 そのためのモタツキを露州(ロシア)・華州(中国)の 各藩が猛然と抗議をすると同時に幕府に対する不信感を募らせた。

その後、暫定的に政権の座に着いた大老による 強引な反対派取り締まりに ついに業を煮やした若手将校が小雪の舞う、2月26日 宮中松の廊下において大老を暗殺。 これに乗じて御所(国連ビル)の警護についていた 露・華両軍が激突。 結果3世紀続いた幕府の支配体制は瓦解、 地球星内は群雄割拠が乱立する戦国乱世へと突入した。

 

 

まさかこんな日が来るとは思わなかった。

しかし、これは現実なのだ。 受け止めねばならない。

失ってみて初めてその価値が分かる… まだ子供の頃何かの漫画で読んだ。

今となってはその日々も懐かしい。

俺は日記を書くペースを速めた。

「日記」とはいえ、随分前に正確な日付は失われている。 いや、調べれば分かるのかもしれない。 しかし、興味が無かった。 自分の日記が後に誰かに発見される可能性?確かに考えない事は無い。

しかし、それは日常の下らないことを書き留める日記でもある程度は想定している。 曰く、誰に振られただのそういう他愛ない話であれ、 一応、第三者に読まれたとしても少しは分かりにくくしておくものだ。 少なくとも俺はそうだった。

しかし、下らない話だ。

今日は何回の突撃があったのだろう? そんな中、俺のような運動音痴が生き残るというのはまさしく皮肉である。 「軍隊は運隊」…だっけか。

あ、今にして思えばもっと本も読みたかった。 この日記帳と一緒にどういうわけか戦場に一冊だけ持ってくる事の出来た本… 確か「フェルマーの最終定理」とかいう難しい本だった。 ”本がこれ以外に無い” という現在の状況にでもならない限り、絶対に読みそうも無い本である。

面白かった。

その理論自体については全く分からないが、 それに取り組む数学者たちの悪戦苦闘が面白かった。 同時に、ちょっと昔までそんな半分自己満足みたいなことが新聞の一面を飾る時代も、 それもほんの少し前まであったのだな、と感じざるを得ない。

”炎の7日間” 後にそう呼ばれる開戦初期はスーパーハイテク兵器が大量に投入され、 半ば最新兵器の見本市会場の様子だったが、 電磁波などを強力に妨害するM粒子なるものが散布されるようになると コンピュータや兵器の電装品が誤動作を起こすようになり 結果、戦場は徐々に前近代的な人間主役の白兵戦へと移りつつあった。

戦争が始まってから様々な噂を聞いた。

現在優勢なのは某国だとか、 ある国の大統領が暗殺され、 後を引きついだ首相が敵に国を売ったとか 別の国では強力な兵器の開発に失敗して首都を吹き飛ばしたとか、 まったく、どいつもコイツも好き勝手なことをしてやがる。

そう言う俺自身、実際どの国とどの国が戦っているのかすら分からない。 そんなのは俺たち末端の一平卒が考える様なことではないのだろう。 俺は塹壕の中で日記のページを閉じた。

黄昏てから少し時間が経った。 どこから流れてきたのか、 麻薬と覚せい剤が戦場にはびこり、 心理的プレッシャーに耐え切れない者は次々に手を出していった。

この一年間でどれくらいの人間が死んだのだろうか?

分からないが億単位で死んでいるはずだ。 国一つが消滅してもおかしくない人数である。

はぁ…昔に戻りたい… 平和だったあの頃に… 何時の間にか俺はそう思うようになっていた。

そして、平和だった頃に見たバレエの公演を思い出し、 戦いが終わったらもう一度見てみたいものだ… と思いながら食糧の配給を受けるために並んでいるとき、

カサ

俺は一枚の紙を踏んだ。

「?」

何気なく拾い上げると、紙には 『ココロとカラダの悩み、お受けいたします 真城 華代』 と書いてあった。

「新しいカウンセラーが来たのか…」

 俺はそう思いながら紙に書かれている文章を読んだ。

軍のほうも一応兵士の士気が気になるようで、 こうしてカウンセラーを派遣してくるのだが、 その殆どは役に立たないと聞いている。

翌朝…

静かな朝だ…

この平原の東西南北併せて500万もの兵力が集中しているとは思えない朝だった。

俺がつかの間の平和なひと時を過ごしていると、 突然

「お兄ちゃん!!」

と声をかけられた。

女の子?

少女を思わせるその声に、 ふふ…俺もついにヤキが回ってきたか… と自笑するが、

「お兄ちゃんってば…」

再び聞こえてきたその声に、

「誰?」

思わず振り向くと、 俺のスグ横に白のワンピースに大きな帽子を被った 一人の女の子が立っていた。

「女の子?  こんなところにか?」

俺は状況とあまりにも不釣合いな彼女の姿に驚いていると、

「お兄ちゃん、あたしを呼んだでしょう」

「え?」

彼女の言っていることが理解できない俺に 彼女はゴソゴソとポシェットの中をかき回すと、 ハイ と言って1枚の紙を俺に手渡した。

『ココロとカラダの悩み、お受けいたします 真城 華代』

そう、昨夜俺が拾った紙と同じ文言がそれにも書かれていた。

「なに?、きっキミがカウンセラーなのか?」

こんな少女をカウンセラーとして前線に送り込む 軍の考えていることが俺には分からなかった。

「かうんせらー?  ってなに?」

「はぁ?」

少女には俺の言っている意味がわからない様だったが、 それ以前にココがどれだけ危険なのか分かっているのか心配になった。

「悩みを聞いて、解決へのアドバイスをすることだよ」

俺が少女・華代にそう説明すると、

「なんだ、そのことか」

アッケラカンと華代は答えた。

「で、お兄ちゃんの悩みは何なの?」

そう言いながらまん丸の眼で僕を見る。

「いや…悩みと言ってもなぁ…」

言いたい事はいっぱいある… しかし、いざ改まって言われると俺は何もいえなかった…

「ねぇ、教えてよ…」

「う〜ん…」

俺が考えているそのとき塹壕の外で誰かが怒鳴った。

遂に敵の一斉攻撃があるらしい。

手に手に銃剣付きのアサルト・ライフル(突撃銃)でなだれ込んでくるらしい。

やれやれ、甘い言葉を吐いていた技術の発達と言うやつも 根っこを抑えられれてしまえば所詮はコレか… 俺は思わず空を見上げた。

周囲が慌しくなる。

みんな既に勝利に向かって意気を上げているのではない。

一種の自暴自棄である。 逃げるものはとっくに逃げ出している。

俺もここまでか。

そう思った俺は、華代のことは放って どういう訳か日記を開くと一心不乱に書き始めていた。

“今日死ぬ”

そう感じたのかも知れない。

最早誤字脱字など気にしていられない。 俺は猛烈な勢いで文字を叩き付けた。

周囲が愈愈武器を取る。

俺は最後の一行を書き終えたとき… ふと横に居る華代を見た…

「そうだ、この子に託そう」

そう思った俺は、

「華代ちゃん…」

と声をかけた。

「あっ、決まりました?」

華代はニコッと微笑む。

「君に会えてよかった。  コレを預かって欲しい…」

俺は手にしていた日記を彼女に手渡すと、

「それが、俺からの願いだ!!」

と叫ぶと塹壕から飛び出した。

 

 

荒涼とした大地を見渡す。

味方の一部は既に敵陣に向かって突入した後だった。

嫌になるほどの陽気である。

平和だった日々の事が否応無く思い出される。

だが、不思議と涙は出なかった。

「行くぞ」

心の中でつぶやくと、敵がやってくると言われた方向に一気に突進する。

空気が流れる音が聞こえる。

 

 

「あ〜ぁ、行っちゃった」

華代は突撃していく青年の後姿を見送りながら 預かった日記を開いた。

そして、最後に書かれた文句を見たとき

「!!  分かったよお兄ちゃんっ  華代に任せてっ」

と叫ぶと、華代は塹壕の上に上った。

うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…… 総勢500万の雄叫びが大地を揺るがしていた。

すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ… 華代は大きく息を吸い込むと、

「いい天気…  華代にとって一世一代の大仕事だわ…」

そう呟くと、

そうれっ!!!!!

と叫んだ!!

シュンッ!! ゴォォォォォォォォォン

彼女を爆心地にして衝撃波が四方八方へ広がっていく

 

 

「核だっ!!」

後ろから襲ってきた衝撃波に俺は思わず突っ伏すと身を屈めた。

しかし、轟音も熱線も感じられなかった。

「なんだ…今のは…」

しばらくして顔を上げた時だった。

「…?  はて…?」

何やら身体に違和感を感じる。

ろくな衛生環境ではない。

十分な栄養も到底とれていない。

健康的な側面から見れば最悪の環境である。 風呂に入らなくなってからの日数など当の昔に数えるのを止めている。 細かい病気は数知れず、 破傷風を筆頭として伝染病の類は間違いなく数種類は保有してしまっているはずだ。 今さら“違和感”などあろうか。

しかし、この時に感じた違和感はそれまでのものとは違っている。

なにやらモゴモゴと自分の身体の中身が移動するかのような奇妙な感覚… しかし不思議と痛みは無い。

筋肉痛などで自分の身体が意思に反して痙攣することがあるが、 それにほんの少しだけ似ていた。

…何やら成長痛のようなものを感じる… 子供の頃に感じたあのほのかな痛みだ。

そして成長する先には何やらコリコリしたものが蠢いているのだ。

俺ははっきりとソレを感じた。

そう、紛れもなくそれは乳首だった。

「なんだっ!」

もう止まらない。

俺の胸はムクムクと盛り上がり、 まるで女の胸のようになってしまった。 いや、女の胸そのものだった。

もともとその大きさを許容する前提で着用していない上着の前は パンパンに張り詰めている。

それによって寄った皺がツンと上向いた乳房の形を余計に強調し、 実に卑猥だ。

「あ…あ…」

俺は言葉にならない言葉を上げた。 しかし、その服の緊張状態は徐々に緩和されつつあった。 何故なら身体の別の部分がそのサイズを縮めていたからだ。

「おおおおおっ!!」

身体が小さくなる恐怖に背筋が凍りつく。

が、しかし同じに別の感触が身体を襲いつつあった。

それは脚だった。 ぐぐぐ…と内側に曲がって行く…。

「か、身体が…  俺の…身体…が…」

目の前でほっそりと美しく、 まるで白魚の様に形を整えて行く手。

全身に満遍なく付いてくる薄い皮下脂肪… それは俺の身体をふっくらと柔らかいものに変えて行った。

モゴ… 妙な感覚が下腹部を蠢いた。

さらに股間が妙に寂しくなる、 それに気がついた俺はその可愛らしい手で股間をまさぐった。

予想通りつるりとその表面をなでるだけに終わる。

「ま、まさかさっきの内臓を掻き回される様な感覚は…  し、子宮…が作られていく過程…だったと…言うのか…!?」

ザザザ…と伸びてくるストレートロングの髪の毛。

全身がダブダブになる。

しかし逆にお尻、そして太ももの部分のズボンはピチピチに張り詰めた。

「おっ、女に…」

そう、俺は完全に女になってしまった…。

随分前に取り落とした突撃銃に気付く。

吹き抜ける風が緑なす黒髪をなびかせる。

「な、何でだ?どうしてこんな…ことに?」

そう思っていると また妙なところに妙な感覚が走り始める。

ダブダブの泥まみれだった無骨なズボンがピッチリと脚に張り付いて来た。

「あ…」

それは自分でもはっきりと感じられる異変だった。

その表面に刻まれたささくれもほつれも全てが消えうせ、 スベスベの光沢が表面を覆って行く。

そのなまめかしい脚線美が純白に染め上げられ、 俺の心に何とも言いようの無い複雑な感情を催させる。

「服…が」

長袖が凄い勢いで縮んで行く。

透き通る様に白い肌が紫外線の元にさらされる。

「あっ…」

あっという間に腕全体を越えて肩までが露出する。

胸から上は細い肩ひも状の部分を残してすべて消滅してしまう。

「なんだ?これ…は?」

靴の表面からあらゆる装飾が消滅し、 脚全体と同じく光沢が乗って行く。

その色は純白である脚に対して肌の色に近いピンク色であった。

目の前でグニャグニャと形を変えて行く衣服… そのシュールな光景はまさしく悪夢であった。

ギュッ つま先がコチコチに堅くなる。

同時にその靴から伸びてきた同じ色のリボンが足首をぐるぐる巻きにしていく。

「わあっ!わっ!」

思わず飛び跳ねる様に逃れようとするが、 その靴はしっかりと足を包み込んでしまった。

その度に大きく揺れていた髪がひとりでにスウッと纏まって行く。

「い、いや…あ…」

女の声が戦場に染み込んでいく… それによってそれまで隠されていた肩が正真正銘さらされる。

羽毛の様な髪飾りがその髪をまとめ、長い付け睫毛が出現する。

「誰か…たす・・け…」

唇をスゥ…と撫でられるかのような感触… 俺の顔はメイクで覆われているんだ… 見えないが確信できた。

羽毛は俺の胸を覆う服の縁も覆っていた。 身体全体の生地が柔らかくてスベスベに変わって行く… その光沢を美しい刺繍が補完する。

今や俺の身体は全身にピッチリと張りついた露出度の高い レオタードのような衣装によってその女性的なラインを満天下にさらしていた…

腰の部分から、まるで傘の様に真横に向けてスーっと伸びていくスカート。

「一体…何が…」

きらきらと陽の光を反射するフェイクパール。 見下ろすその先には間違い無く自分の身体がある。

「起こったん…だ?」

間違い無かった。

俺は…俺は…バレリーナになってしまったんだ!

何度も見返す自らの手… それはか弱い女性のものに間違いなかった。

その背景には白銀色に輝くチュチュと それに身を包んだはかない美しさの自らの身体がある。

俺は前に一歩踏み出してみた。

キュッとトゥシューズの音がし、 そして足先を包み込むそのなんとも言えない感触…。

ササッササッ 一歩歩いただけでフワリと上下し、 軽い音をあげる まるで夢の様な風情を漂わせるスカート…

俺は一瞬、自らの境遇を忘れて その浮世離れした美しさにウットリとしてしまった。

爪先立ちこそ出来なかったが、 その場でクルリと一回転する。

声が出せれば思わず 「うわあ…」 と感動の声を上げていたかもしれない。

その美しさと、 それが自分と一体になっているという高揚感が全身を包んで行く…。

…その時だった。

何やら妙な物音がする。

「…?」

そうだ思い出した。 俺は兵として戦場にいたんだ。

荒涼とした大地の地平線に視線を向ける白鳥。

「…!!!」 信じられない光景だった。

地響きの様な振動を響かせながら、 白い津波が大地を突き進む バレリーナの大群が押し寄せて来たのだ!

その数約500万!!

「きゃああっ!」

思わず女の様な悲鳴を上げる俺。

ズドドドドドドドド!!!! 逃げる間もなく俺は白鳥達に囲まれてしまった。

「あ…ああ…」

風に乗ってどこからか音楽が流れてくる。

ザッザザン!!

500万人の白鳥たちによるコールドバレエが演じられはじめた。

「おっおい…」

すると いつの間にか俺の足がす…と爪先立ちになる。

「ん?」

それは不随意な動きだった。

そこから先はもう、何も意識では制御できない。

俺の身体は重力の束縛から逃れるかのように地面を蹴り、空中に舞いあがった。

「ああっ!」

見事着地し、回り、そして舞い続ける。

「か、身体が…勝手に…踊って…」

それは心の中の言葉だったのかも知れない。 俺は白鳥だった。

気が付くと目の前には、いかにも王子然とした男がいた。

「ま…まさ…か…」

俺は爪先立ちになるとツツツ…と王子に向かって近寄っていた。

「い、いやだあ!…  や、やめ…やめてええっ!!」

苦悶に顔を歪めてもそれは何の役にも立たなかった。

俺の身体は王子に抱きかかえられる。

「あっ…」

 俺は…どうして…こんな…。  女として男と一緒に踊る…なんて…」

なおも舞い、踊り続ける俺。

恐らく俺と同じ運命を辿ったのであろう回りの白鳥たちにではあったが、 こんな大勢に見られながら、 こんな恥ずかしい格好で男と踊る破目になる…なん…て…。

羞恥に身をよじりながらも、 それがゾクゾクするような快感に変わりつつあった…。

持ち上げられた白鳥の表情。

 

 

それから程なくして戦いは終結した。 天下が統一されたのではない。

戦うことその行為その物ができなくなったのだ。

勝者も敗者もなかった… 始まりと同様、実に呆気ない不思議な終結だった。

さらに平和になったのは地球だけではなかった。

地球から始まった”異変”は太陽系のみならず 瞬く間に全銀河の実に99.89%を嘗め尽くし、 さらに隣り合う大・小マゼラン雲をも飲み込んだ。 しかし、それは戦いに明け暮れていた各星々に静かで優雅な時を与えた。

「船長!!  あれは…」

「うむぅ…」

アンドロメダ星雲より発進し銀河系に近づいてきた 一隻の調査船の船長は 銀河系の形が徐々に変わっていくことに驚きの声を上げた。

「………よし…バレリーナ星雲と名づけよう」

しばし考え込んでいた船長はそう呟いた。

「はぁ?、バレリーナとはどういう意味で」

「いや、意味はわからない、ただそう名づけたいのだ」

船長はそう言うとコンピュータに打ち込み始めた。

 

 

はーぃっ華代でーす 今回の依頼も実に簡単だったけど、 ちょっと力加減を間違えちゃった。(えへ)

あのお兄ちゃんがあたしに渡してくれた日記を読んだら 最後の一行に 『今日で最後だ。俺のこの戦場にいる者全てにとって今日が最後の舞台だ』 って書いてあったので、 華代が思いっきり最高な舞台を用意してあげたんだけど、 コレでよかったのかなぁ…

でも、お兄ちゃん喜んでたみたいだったから うん、良かったことにしよう。 さて、次はあなたの街にお邪魔するかもしれません。 そのときはよろしくね。 では

 

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ども、風祭玲です。 真城さんの許可を頂いたので「日記」を華代ちゃんシリーズに書き換えました。

「日記」自体は真城さん発表の段階でコアの部分が固まっていたのでそこにはあえて手をつけず、手と入れたのは環境部分と、華代ちゃん登場の部分でしたが如何でしたでしょうか。


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