TS関係のオススメ本06-09


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真城 悠


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はじまりのグラシュマ(2006年・スエカネ クミコ・角川書店)

 「SFってのは絵だねえ」というのは言わずと知れた野田宇宙大元帥の名言な訳ですが、私・真城悠はそれのTS版を提唱したい!
 ずばりそのまんま
「TSとは絵である」と!

 今回ご紹介するはじまりのグラシュマは系統で言えば間違いなく
「アホ系」に属します。あ、勿論これはTSを基準としての評価ね。普通の漫画としては…そういうのは普通の漫画評論サイト行って下さい(えー。

 「こんなことが実際に起こったら凄いよなあ」という妄想というか想像を実際に絵によって表現することが出来るのは
絵が描ける方の特権ですよ。
 人類発祥以来、恐らく星の数ほどのTS系の妄想がなされてきたことでしょう。多分
原始人とかも洞窟の中で「明日起きたら女の身体になってたらどうしよう…」とかの妄想をしていたはずです(断言)。

 ただ、その手の妄想というのは
お仲間には分かってもらえても、そうしたことを全く考えたことも無い人間には首を傾げられるだけです。
 拒否反応以前に
「何を言っているのか分からない」んですね。言わんとしていることがどういうことなのか想像も出来ないんです。

 そういう時には問答無用で「絵」ですよ。「絵」。
 「絵」ならば間違いなく「どういう状況なのか」というのは理解してもらえます。
 勿論、だからすぐに共感してもらえるとは限りませんよ?
 ただ、「何を言おうとしているのか」だけは分かってもらえます。

 京極夏彦先生の余りにもセンセーショナルなデビュー作「姑獲鳥の夏」(超名作!絶対に読むべし!)も、意外なことに最初は「書評」の類が余り出なかったんだそうです。
 
余りにも斬新過ぎて、的確に表現するだけの言葉も何も見つからなかったということらしいんですね。…ありそうな話です。

 「女の子」が突如消失するという謎の事件が起こった直後の世界として物語は始まります。
 残された男たちの中には
何故か「魔法使い」となるものが続出
 総務省統計局に設置された「魔法課」による調査の顛末を描くのがこの漫画。

 そんなもん調べている暇があったら
女がいなくなったことによる種の断絶を心配した方がいいと思うのですが、…そこは“そういうもんだ”ということで我慢して下さい。

 主人公たちは「魔法課」の職員たちです。

 この世界に残された男たちは「魔法が使える人間」と「使えない人間」とにはっきりと分かれます。そして主人公の日暮里くんは使えない側。
 何しろ出てくる奴出て来る奴がどんな魔法を持っているのか分からないのですから、そこいら中の人間が
スタンド使いみたいなもんです。
 …こう書くとかなり面白そうですね。ぶっちゃけ“女の子が一人もいない世界”というのは余り魅力的な世界観だとは思えません。それこそ自分たちが生き残った最後の男数人…とかの方がいいし、或いはどうせ生殖の危機ならば、全ての男が女になっちゃった世界とか。

 ともあれ、
透明人間になってしまう能力が自分でも制限出来ない先輩が、ある日何故かメイドスタイルに変えられてしまうという事件が起こります。

残念ながら若干説明不足というか、情景描写が淡白に過ぎるところが目立ちます。
この先輩のメイド姿なんてこのコマが初出。ちゃんと見せてくれていません。う〜ん

 どうやら魔法調査の対象になっていなかったマンションに潜伏していた一群による事件の模様。
 そこに踏み込んだ日暮里くんは、
いかにもなアキバ系のあんちゃんに触れられてしまいます。
 すると!

こ、このエフェクト!「あ…あ…」とか言いながら身体の各部に装着されていくメイドのヘッドドレスにスカート!
これを待っていた!こういうのを見たかったんだよ!(;´Д⊂…。


…Σ(゜Д゜)!!!

 そう!彼らの「魔法」とは、触った相手(この世界には男しかいないので必然的に男)を
メイドに変えてしまうものだったのです!
 しかもそこはオタクですから、性の慰み者にするとかではなくて
写真を撮るとかその程度(核爆)。
 彼らの能力は完全ではないらしく、下半身は男のままだったりしますが、徐々にパワーアップしていくその能力!

 暴走したオタク男は、
仲間すら次々にその毒牙に掛けます

きゃ、「きゃわん」って!「きゃわん」!
こぼれそう…というかこぼれているおっぱいに下着も完璧!これって元は写真をバシャバシャ撮っていた
キモオタですよ!恐らく全身女性になっているはず!はず!はずーっ!


余りにも素晴らしすぎる能力にすっかり有頂天になるオタク魔法使い。気持ちは分かるぞ!
ちなみにこの後「先輩」もメイドにされ、彼自身まで自分の能力でメイドに

 どうですこの
気持ちがいいほどのアホぶり(最大級の賛辞)
 確かに沢山ある内の1エピソードでしかないですし、該当描写もそれほど多い訳ではないんだけど、私なんかこれだけでもう十分過ぎてお釣りまで来ますけどね(*^^*。

 これほど気持ちがいいほど突っ走った描写って「うる星やつら」の「青い鳥」(後日レビュー)以来じゃないかと思うんです。
 物語はこの一冊で完全に完結しています。色々あるけど一応はハッピーエンド。この世界が男だらけになった理由もちゃんと説明されますよ!

 はっきり書きますけど、こういう「妄想の具現化」が出来ているというだけでもう大プッシュですよ!
 今回ばかりは「TSファンにはオススメだけど、普通の漫画ファンにはどうかなあ(^^;;?」物件ですが、言い方を変えれば
TSファンならば間違いなくオススメ!なのです。

 スエカネ先生はこの他にも該当作を次々に手掛けている新進気鋭の方でして、これから先もウォッチを欠かさない様にしたいと思います。
2007.01.06.Sat.
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