18歳未満お断りのアダルト(成人)TS
作品の紹介ページ
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DESIRE 第11巻(2001年・小谷憲一・集英社)

 英語の「デザイア」とは「願望」という意味になります。
 ちなみに真城が即座にイメージする「デザイア」といえばこんなデザイアだったりするんですが、まあそれはそれで(^^;;。

 このシリーズはかなりの巻数が出版されていますが、要するにアダルト版…つまりセックスにまで至ってしまう…「BOYS BE・・・」みたいなもんだと考えて頂ければまあ間違いないかと。
 いろんな意味で「軽い」「薄い」漫画なのですが、これだけの巻数が出るってのは「いつ読んでも同じ」安心感に支えられているんでしょうね。「コスチューム・パラダイス」もこれ位割り切ることが出来れば…ってそれを言っても仕方が無いんですが。

 いつもは憧れの女の子とか、憧れの上司(女性)とかといかに上手くヤれたか…みたいな話が展開するところなんですが、この11巻には「EXTASY」という
かなり変り種の一編が収録されていますので、TSファンは注目です。

 飛行機の中で一瞬意識を失った藤井貴史氏は次の瞬間、自分の身体に違和感を覚えます。

個人的には主観視点で見える女性ものの靴のビジュアルがツボです(爆)




変化(?)に気付いた後のお約束も一応こなします

 「気が付いたら女になっていた」パターンとしてはお馴染み「朝起きたら」がありますが、飛行機での移動中というのはなかなか意表をついてくれます。
 そして、ここからがちょっと違います。

 分かります?こういう場合というのは普通は次の2パターンしか考えられません。

@ 性別が変わってしまったので、同一人物だと認識してもらえない
A 全く別人の中に入り込んでいる。または別人になる

 この短編はどちらでもありません。
 間違いなく性別は女になっているのですが、
変身後も「自分」なんです。
 そういえばよく考えればきっちり女装(?)した状態で目覚めています。もしも身体だけが性転換したのならば服は男物のままのはず。
 あえて表現するならば、
自分が女として同じキャリアを積んできた前提の別世界(パラレル・ワールド)に意識だけが飛ばされた状態ということになるでしょうか。
 これに似た設定ということになると「ぼくのご主人様!? 」ということになるでしょうが、あちらは全く別世界。時代設定(?)すら違いますが、こちらはサラリーマンとキャリアウーマンです。

 何だかここまで巧妙(?)だと「胡蝶の夢」の寓話を思い出します。
 今までサラリーマンだと思っていた自分の人生が実は夢であって、本当は自分は女だったのでは?と。



すっかり調子に乗っている藤井さん(男)。大人なんでそれほどうろたえもしないし

 普通はパニックを起こすんですが、それはいろんな意味で「将来が不安」だからです。
 キックアウト・ラヴァーズでは「身元不明の不審な女」でしかない主人公が自分の立ち位置を確保するのには大変な苦労をします。
 「別人になった」場合には「入れ替わりもの」でおなじみの「その人物を(四苦八苦して)演じる」必要があります。
 ところがこの場合、
そのままでも何の不具合も無いのです。何しろ移り変わったのは性別こそ女になっていますが、それ以外は何の変わりも無く「自分」なのですから。

これもお馴染み「男の視線を気にしながらいい女モードで街を散策」シークエンス

 そして…表ページで紹介出来ないということは、当然やることは一つです(爆)。

やっぱりいい女になったからには男を誘わないと?


あれこれ解説しているのは藤井さん(男)の精神

 読むにつけ、
「なるほどこりゃ『願望』だわい」と合点する次第。
 これまでも、この後も様々な「願望」を描いていく漫画な訳ですが、これも「願望」の一つのパターンであるのは間違いないでしょう。
 ハインライン御大があれだけの枚数を掛けてどうにか描いた「女性になっての男性とのセックス」に
ものの十数ページで到達してのけるのですから、漫画と言う形式のビジュアルの強さを思い知らされる思いです。ぶっちゃけハインライン先生が漫画を書けたらこういうの書いたんじゃないかな(爆)。
 
遂に絶頂に到達するも何故か勝ち誇っている藤井さん(男)

 アダルト漫画なので、18禁未満閲覧禁止表現もバリバリ。最初に飛行機の中でパンティを下ろして股間を確認するシーンなんて素朴なだけにドキッ!とする艶かしさがあります。
 何より最後のセックス・シーンの迫力は流石です。

 ここでは書きませんが、
衝撃の結末がこの後に待っております。
 正に「お手軽疑似体験」にはぴったりの一編。
 最初に書きましたが何より読後感が軽く、薄いのでセックスシーンありありですがそれほど長く心に残り続けるということは無いでしょう(^^;;。
 しかし、18歳以上のお仲間ならば間違いなく値段分は楽しめますのでオススメ。
 是非「衝撃の結末」をその目で確かめて下さい(^^;;。2006.12.16.Sat.



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